Facebook
Twitter
RSS

よみものどっとこむ

第15回

家電選びの基準

2017.03.13更新

読了時間

【 この連載は… 】 住まいを工夫すると、ライフスタイルが変わる。小さくてもゆとりある暮らしのキーワードは「ミニマムライフ」そして「自由」。時間と共に変化していく空間やモノと長く付き合う、心地よい住まいづくりの方法を紹介します。

■どんなときに電気機器を買うか


 以前の記事にて、家具を選ぶ基準は、「好きなもの」「譲りやすい」「小さいもの」「天然素材」をあげました。電気機器は、同じように家に置いて使うものではありますが、テクノロジーの進化は日進月歩。だから、機能性を重視したい。新しく、便利な機能が付加されたニューモデルが次々に登場します。

バブル期は、車のような大きなものでさえ、購入してから初めて車検に出す3年を待たずに、次の新車に買い替えたりするのが当たり前のような風潮もありました。今では、車を頻繁に買い換える話はあまり耳にしなくなりました。とはいえ、スマホやゲーム機などは、比較的頻繁に買い換える対象となっているようです。


 新しい電気機器を購入するときは、通常次の3パターンがあります。

「洗濯」という家事を行うのに便利な道具である洗濯機を例にとってみましょう。


1 新しい機能があるものを新規購入する


 たとえば、今まで洗濯に関わる家電は、「洗濯機」だけだったのに、あらたに「乾燥機」を導入する場合。この場合、乾燥機は洗濯機と別の機械を指します。


2 物理的に使えなくなった機器を新調する


 洗濯機が壊れて、通常している洗濯が不可能になり、新しいものに買い換える場合です。


3 機能的に古くなった場合


 昔は一般的だった2層式の洗濯機から、全自動の洗濯機への買い替えを指します。洗う機能は一緒だけれど、手動の機器に「全自動」という機能を付加するために買い換えます。また、最近では乾燥機能も付いている洗濯機も増えていますね。その機能が「最新」である期間は有限です。こうした、いわば「機能的な耐用年数」は、技術の進歩が目覚ましいパソコンや携帯などの電子機器はとくに短いものです。

 

■その機能は必要?


 新しい商品は、「便利そう」な機能がこれでもかと付加されています。日本の家電メーカーは、特にそうした「便利そう」な機能を加えるのを得意としているのでしょうか、海外の製品より、ボタンやスイッチがたくさん付いていて、操作が複雑なものをよく見ます。

もちろん、その「便利そう」な機能を便利に使いこなせている、もしくはその機能があるからその機種を選んでいるなら問題ありません。しかし、「Aの機能は使っているけど、BとCの機能はほとんど使っていない、またはほぼ使わない」というものがほとんど。機能が複雑であればあるほど、故障する確率も高まり、販売価格も高めです。便利でも、自分が使わないのであれば、実際には一切不要。「Aの機能は使っているけど、BとCの機能はほとんど使っていない」なら、最初からAの機能だけが付いている機種を選びたいところですが、そうした商品がなかなかないのは悩ましいですね。そうした商品がない場合は、初めから「便利そう」な機能の付いていないシンプルな機種を選び、Aの機能は別の方法か手動で行う、という手もあります。


 新しい技術を使った道具を使うのは楽しさがあります。ただ、それが自分の生活に「必要」かどうかというのは、別の話。新しい道具を使うのは、楽しいけれど、それを飽きずに使い続けられるかどうか。家にガラクタを増やさないためには、「必要かどうか」という問いと、しっかり向き合います。


■「なくてもなんとかなるか」を考える


 洗濯をするのに、日本人がパッと思い浮かぶ昔ながらの方法は、たらいと洗濯板を用意して、手洗いすること。洗濯するという文明が始まってから、19世紀頃まで、かなり長い間この方法で洗濯は行われてきました。大きい洗濯物はたらいのなかで足踏みをして汚れを落としたり、海外では棒で叩くなどの方法もありました。

今でも、我が家では、息子の野球の練習後の泥汚れは別途手洗いで落とします。でも、下洗い後に洗濯機が仕上げをしてくれるので、手洗いはざっくりです。


 さて、グラウンドの土のどろんこ汚れはともかく、それほど汗もかかず、体臭もほとんどない自分の洗濯物、果たして一度着ただけで毎日ガラガラと洗う必要があるのでしょうか。タオルなど、きれいに洗った手や体を拭いて、濡れただけです。

もし、私が元気な一人暮らしなら、洗濯機なしでやってみるのもいいかもしれないと思っています。下着や靴下は、お風呂に入ったついでにちょこちょこ手洗い。服は、毎日でなく汚れたときに洗う。脱水機のようにきちんと絞るのは難しそうですが、薄手のウールや絹、化学繊維など、乾きの良い素材の服なら、意外と大丈夫かもしれません。十分に絞るのが難しそうなパイルのバスタオルは、手ぬぐいのような薄手のものにしてみる。厚手のバスマットは、お風呂から上がる時に普通のタオルで足を拭いて上がればいらないかもしれません。使わなければ、当然洗濯する必要がありません。カーテンやシーツなどの大物や、自宅ではちょっと手絞りしにくそうなワンピースやデニムは、週に一度ぐらい近所のコインランドリーのお世話になってもいいかもしれません。

子育て中の家庭で洗濯機がなく、毎日の洗濯物を全て手洗いするのは地獄でしょう。我が家でも1日たりとも洗濯機がない生活は考え難いです。でも、もし一人暮らしなら、洗濯機を持たない生活も不可能ではありません。


 引っ越しの時に、プロに運んでもらいたい3大家電は、冷蔵庫、洗濯機、エアコン。どれも、設置が難しかったり、重かったり、大きかったり、水やガス漏れの心配があるものです。この3つがなければ、そして、不必要なものが少なければ、転居もそれほど面倒ではなくなるかもしれません。トランク一つとはいわなくても、もっと身軽に好きな場所に住むことができそうです。この3つにテレビを加えると、まさに現在「家電リサイクル法」で適正なリサイクルが定められている4アイテムになります。これらを持たない、または小さなものを選ぶことは、不要になったときの処理の負担も小さくなり、環境への負担も軽減されます。


 他にも、掃除機のかわりにほうきとちりとりでやってみる。毎日買い物に行き、新鮮な食材を毎日購入し、冷蔵庫は一時置きぐらいにして極小サイズに変えてみる。オーブントースターの代わりに、ガス火と焼き網で焼いてみる。電気ポットをやめてその都度ケトルでお湯を沸かす……。ほんの少しだけ昔、ごく普通に使われていた技術を用いてみると、新しい機能をもつ電気機器は、必要でなくなるかもしれません。


■家電も修理して長く使いたい


 消費は「経済を活性化する」といわれています。テレビや雑誌の広告のなかの新型モデルを目にすると、いま使っている機械がガラクタで役立たずに思われ、購買意欲を掻き立てられます。広告に乗せられ、便利で新しいものを求めると、「社会の経済」を活性化するかもしれませんが、「我が家の経済」は悪化します。そして、古い機械を家に置いたままにすると、家の中が本当のガラクタだらけになってしまいます。そして、問題はそれだけでは終わりません。


 上記の購入理由「2 物理的に使えなくなった機器を新調する」、つまり今まで使っていた電化製品が壊れた場合、買い替えが必要です。新しい技術を用いた機器は高価だけど、すでに広く普及して、安定的に使われている古い技術を用いた機器は安い。だから、長年使える電化製品が壊れてしまった場合、修理するのと、新規に購入するのとあまり値段は変わらない場合があります。そういうわけで、どうせなら新しいものを買ってしまおう、となるわけです。以前は、街なかに、電気屋さんというものがありました。家電を購入するときはそこで見繕い、必要があれば、修理や設置、簡単な電気工事を依頼できたものです。少し高くても、おつきあいの延長で、もしくはかゆいところに手がとどくサービスを売りに信用を得ていた街の電気屋さんは、量販店との価格競争に追われ、最近めっきり見なくなりました。昨今では、ネット販売の普及で、家電量販店ですら存続が厳しくなっているともいわれています。

 

 きめ細かいサービスのある電気屋さんが身近に少なくなったこと、そして電気機器の修理は免許が必要な場合が多いこと、電化製品がデジタル化されて、その修理が素人では困難になっている、修理に必要なパーツの保有期間が短すぎるなど、修理にかかるハードルはどんどん高くなり、逆に、ネット販売の普及で、「ぽち」っとクリックするだけで買い物ができるようになり、新規購入のハードルは低くなりつつあります。


 物珍しいから、楽しそうだから、安いから、便利そうだから、そして経済に貢献するから、と次々に買い替えたくなる家電機器。不用になったその不燃ゴミは地球上のどこかの社会的に弱い地域に集積します。電子廃棄物に含まれる鉛などの重金属やダイオキシンなどの有害物質は、その地域に済む人々を苦しめています。


 私たちが買い換えれば買い換えるほど、地球のとある地域では環境汚染や現地の人の健康被害が加速度的に増えていきます。消費とは、実はその言葉通り消えて使ってなくなるわけではありません。不用になった古いモノは、マジックのように消えてなくなるわけではなく、かたちのあるゴミとして必ずどこかに行き着きます。


 修理VS新規購入。それほど価格が変わらないなら、修理して、本体の寿命を延ばす。そして機能的に古くなっても、できるだけ長く使う。自分の家だけでなく、地球をガラクタ置き場にしないため、自分ひとりでもできる社会貢献の一つです。せめて、選ぶときは、そうした責任も含め、使いこなせる機器を選びたいものです。

シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

尾崎 友吏子

ブログ「cozy‐nest小さく整う暮らし」主宰。にほんブログ村「シンプルライフ」「ミニマリスト」「ワーキングマザー育児」カテゴリーで上位人気を誇る。1970年生まれ。ニューヨーク州立大卒。不動産業などを経て、現在は建設業に従事。二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。著書に『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)がある。

矢印