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よみものどっとこむ

第4回

少なければ少ないほど、ラクになる

2016.09.23更新

読了時間

■家電やツール、使いこなせていますか?


 仕事の量は、少なければ少ないほどラクになる。そんなの、当たり前です。


 でもなぜか、「コレがあるとラクになる」と思って、あまり使わないものをどんどん増やしてしまう人がいます。


 便利な機能のついた家電やITガジェット系は、新しいものが出るとすぐに飛びついてしまう。キッチンツールなどは、主婦が増やしがち。それを使いこなして、本当に仕事が速くなれば良いのですが、問題は、思ったより使いこなせない場合。「せっかく買ったからもったいない」と、手放すことができないものはありませんか?


■ガラクタのために働きたくない


 ものは、買うときに初期投資が必要なだけでなく、実はもっているだけで維持費というコストがかかります。


 ものがある限り、それが占拠しているスペースが必要です。しまいこんで、見えないところに置いていても、部屋の広さを奪います。部屋の広さとは、「何畳」「何㎡」というような絶対的な面積ではなく、空いている空間がどれだけあるかによって決まります。だから、ものが多ければ多いほど、相対的に部屋は狭くなります。大きい部屋でも、ごちゃごちゃと家具が置いてあれば、決して広く使うことはできません。


 家を維持するには、賃貸なら家賃、購入した家なら固定資産税、それが共同住宅なら修繕積立金、管理費などがかかります。住むには、光熱費もかかりますし、住み良い家を維持するためにはリフォームも必要でしょう。それらの出費は、家が広ければ広いほど、比例して多くなります。


 ものが少なければ部屋はそれほど大きい必要はありません。部屋が小さくて済むのなら、物件価格、不動産取得税、不動産業者に支払う手数料を節約することができます。不動産は大きな買い物。これから家を購入するなら、ほとんど使わないもののスペースのために、何百万円も払いたいのか、本気で考えて損はありません。


 それらのお金はどこから来るのでしょう。もちろん、自身の収入からです。自分が命を削って、大切な時間を割いて働いているのは、もちろんガラクタのためなんかじゃありません。


■ものを持っているだけでかかる「家事労働コスト」


 ものを持っているだけでかかるのは、お金だけではありません。あるだけで、それを維持する手間がかかります。不要なものがなかったら、どれだけ掃除が早く終わり、家事もスムーズにまわるのでしょう。


 我が家には、オーブントースターがありません。トースターがなくなったことで、普段は、手がまわらず、年末の大掃除でしか掃除ができなかったトースターの中、裏、下の掃除の手間がゼロになりました。


 トースターが壊れた時、買わずになんとかなるかな?と様子をみました。コンロの上で、お餅用の網で焼くと、電気のトースターより香ばしく焼けました。でも、裏返す手間がかかる。手持ちの鉄のフライパンでも、熱が均一に伝わるのか、上手に焼くことができました。でも、一度に1枚しか焼けません。次に、ガスコンロに付属の、両面焼きの魚焼きグリルで試しました。これなら、裏返す手間がなくさらにうまく焼けました。持っていたトースターでは、同時に2枚しか焼けなかったのに、魚焼きグリルだと3枚焼くことができます。5人家族の我が家では、朝食に食パンを食べる時、トースターでは少なくとも3回焼かなければいけませんでしたが、2回ですむようになりました。ロールパンなど、厚みのあるパンの場合は、アルミホイルに包むなどの工夫が必要です。でも、「ある便利さ」より、「ない便利さ」の方が上回っていたので、今でもそのまま買わずに済ましています。


 以前はトースターでしていた揚げ物の温め直しも、魚焼きグリルで間に合うことがわかりました。魚臭くならないかな?という不安も、実際はまったく気にならず。以前より、魚焼きグリルを洗い忘れて放置することもなくなったのは、予期せぬおまけでした。


■ものがないことで、家事の時間は短縮できる


 ものがないことで、掃除の手間がなくなるだけではありません。台所なら、不用品をなくすことで、作業効率がアップして、調理や片付けの時間を短縮することができます。


 台所は、「台」の場所。台=ワークスペースがあることで、調理や片付けの作業がスムーズにいく場所です。

我が家には、トースターだけでなく、独立したオーブンレンジや炊飯器もありません。キッチン家電もものもほとんどないので、そのぶんワークスペースを広く使うことができます。 もともと広くない「台」ですが、それでも最大限に使うことができます。キッチンは狭くても、すっきり広いワークトップなら、調理や盛り付けの際も、テキパキとスムーズに動き、ひとつひとつの動作に集中することができます。


 食器や器具も、よく使うものが手に取りやすいところに置いてあるので、ガチャガチャ探したり、奥から取り出すのに手間取ることがありません。必要なものをスッと手に取れる台所は、心地よく作業できます。ひとつひとつの動作はわずかな時間ですが、毎日何度も繰り返し使う台所。小さな「イラッ」が無いことで、どれだけ気持ち良く、テキパキと働けるでしょう。


■整理に対する誤解


 「部屋を片付けたい」と相談を受けるたび、多くの人が整理について誤解していることに気がつきます。それは、ごちゃごちゃした家をきれいにするために、「ものを減らしたくないけど、きれいにしたい」と、無理なことを考えていること。


 「整理」「収納」「整頓」「片付け」「掃除」。どれも、ものを美しく保つための言葉に変わりませんが、一旦定義を整理してみます。多くの人が、この似た言葉の意味を、誤解しているからです。


 【手順1】 整理

 不用品を減らすこと。「必要」「不要」に分け、不要なものを手放すこと。


 【手順2】 収納

 ものを、使いやすく、取り出しやすく納めること。キーワードは適材適所。


 【手順3】 整頓

 収納された場所を、美しく整えること。 例えば、本棚の本を大きさ順や色別に並べたりするのは整頓になります。


 【手順4】 片付け

 使ったものを戻すこと。出したものを元に戻すというシンプルな作業です。都度戻すのが理想です。


 【手順5】 掃除

 汚れを取り除くこと。普段から手順4まで終わっていたら、掃除はすぐに取りかかれます。


 部屋を美しく保つためには、この5段階の手順が必要。いずれも、1の整理から始めるのが基本的な手順です。しかし、多くの人は、手順2から、もしくは手順4の片付けから始めてしまいます。


 整理とは、「無駄なもの、不要なものを処分すること」。この初めの手順なくして部屋をきれいにしようとしても、多くの労力がかかり、大変な思いできれいにしても、すぐまた汚れがたまり、散らかった部屋に戻ってしまいます。


 まず、不用品を手放すこと。これだけで、難しい収納技術なしで、おおかたきれいになり、日々の掃除も格段に楽になります。片付けまでの手順が済んだ部屋の掃除は、パッととりかかり、さっと終わります。結果、汚れをためずに部屋をいつでもきれいにしておくことができるのです。


■忙しい人も、こうすれば整理できる


 片付けや整理に関する本はゴマンと出ています。共通する方法もあれば、特徴的な方法までさまざま。私の周りで聞く「片付けられない」人は、大抵、まとまった時間がなかなか取れない、子持ち主婦。「片付ける時間がない」人にオススメなのが、次の3つの方法です。


 【1】一気にやらない

 もっとも効率的な整理の方法は、「全部出す」「要、不要に分ける」「不用品を排除」「必要なものを戻す」。でも、時間がない人がこれをすると途中で終わってしまう可能性があります。「全部出す」ところで終わってしまったら、余計に乱れた部屋をみて、「やっぱり片付けは向いていない」と自信を失ってしまいそう。


 【2】15分だけやってみる

 少しだけやるのに、時間を区切ります。人間が本当に集中できるのは、20分といわれています。そこで、15分だけ集中して片付けてみます。残りの5分は、出したものを戻す時間です。


 【3】引き出し1つから

 場所で区切るのも有効です。引き出し1つ、扉1つなど、小さな単位のところから。全部出さなくて、不要なものを見つけて抜くだけでも有効です。引き出し1つが終わったら、その下の引き出し。というように少しずつ整理できれば、家じゅうの不用品はいつしかなくなります。


■整理はどこから始める?


 たくさんあって困っているアイテムから始めたいところですが、「困っているアイテム」は、数が多く、整理が完了するまでの時間がかかりすぎます。


 そこで整理を始めるのにお勧めなのが、下の3つのアイテム、場所から。


 【1】 困っているものに類似の、数が少ないアイテム

 【2】 家族共有でなく、自分専用に使っているもの

 【3】 主婦であれば、台所のもの


 【1】 例えば、服の持ちすぎに困っていたら、まずハンカチを整理してみましょう。複数あるハンカチから、本当のお気に入りだけを数点選んで、あとは処分。ハンカチやタオルは、捨てず、そのままぞうきんとして使い切ることができるので、捨てる時の「もったいない」のハードルが下がります。


 【2】 家族共有のものだと、「家族が使っているから」という言い訳がたって、思ったように不要なものを選べません。家族も使っているものを勝手に捨ててしまったら、怒られます。まず、自分が専用に使っているものからはじめます。


 【3】 雑多なものが多い台所から始めるのは、一見難しいようですが、まず台所を整理することによって、毎度の調理がスムーズに回るようになり、家事の時間を短縮できます。だから、まず台所を整理したら、他のところを整理する時間をより確保しやすくなるのです。


 要、不要の判断を繰り返すことは、自分と向き合うこと。初めは時間がかかっても、慣れると、判断が素早くできるようになります。まず片付けやすそうな場所を終わらせて、判断力が鍛えられれば、そのあと、「持ちすぎて困っているアイテム」を、よりスムーズに減らすことができます。


■美しい状態を見慣れよう


 ものを少なくしたら、コストやメインテナンスの負担が軽くなり、部屋の状態を美しくキープするのがラクになります。少し散らかっても、元に戻すのが簡単になります。


 美しい状態がデフォルト。


 すると、散らかっている状態が気になるようになります。

「散らかっている状態はすぐに慣れてしまう」とはよくいわれることですが、「美しい状態も慣れる」もの。すると、自然に散らかりすぎる前にリセットする習慣がついてきます。


 部屋の美しさをキープすることは、管理するものの量、面積が大きければ大変ですが、少なく、小さければ、ラクに維持することができます。

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著者

尾崎 友吏子

ブログ「cozy‐nest小さく整う暮らし」主宰。にほんブログ村「シンプルライフ」「ミニマリスト」「ワーキングマザー育児」カテゴリーで上位人気を誇る。1970年生まれ。ニューヨーク州立大卒。不動産業などを経て、現在は建設業に従事。二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。著書に『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)がある。

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