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よみものどっとこむ

第5回

「畳のリビング」という選択

2016.10.11更新

読了時間

■「リビング」と「お茶の間」


 「リビングルーム」と聞いて、どんな部屋を思い浮かべますか?

大型テレビの前に、心地よい大きなソファ。ソファの前にはコーヒーテーブル。

床はフローリングで、ソファの前にはラグが敷いてある。


 私のリビングのイメージは、テレビ、ソファ、コーヒーテーブルがセットです。


 では、「お茶の間」というと?

私が真っ先に思い浮かぶのは、サザエさんの家のお茶の間。

おそらく、8畳ぐらいの和室で、円形のちゃぶ台。こたつを思い浮かべる人もいるでしょうか。


 お茶の間は、ダイニング兼リビングの役割を果たしてきました。


 どちらのお部屋も、心地よさそうです。


 我が家のリフォームをする際、以下のメリットを考慮して、もともとフローリングだったリビングを畳敷きにしました。

昨今では、畳の部屋をフローリングに変えるリフォームが多い中、その逆をしたのです。


■憧れて洋風リビングにしたものの


 引っ越し前の家では、あまり広くない8畳ほどのフローリングのリビングにラブソファ(大きめの2人がけソファ)が1台ありました。当時自分の持っていたリビングのイメージで、リビングにはソファが不可欠でした。そしてそのソファも、リビングでくつろぐためには、座り心地の良いものが必要だと思い込んでいました。


 あれこれ考えて購入したソファでしたが、我が家の場合、うまく使いこなせていませんでした。


 間取りのせいで 、テレビの前にソファを置くと、窓から少し離れ、日中にソファに座って本を読むのに若干明るさが足りません。本を読むのにちょうど良い位置にソファを移動すると、テレビが見にくい角度にきたり、逆にテレビを移動すると、光が直接テレビの画面に当たって見にくかったり。


 ラブソファは、詰めたら3人座ることができます。テレビを見るにはちょうど良くても、ソファ1台に横並びで座ると、話が弾みません。結局、来客時は、ソファは使わず、ダイニングにお通しする場合がほとんどでした。とはいえ、ダイニングも、テーブルの大きさや、椅子の数に限りがあります。


 また、ソファがあったときは、お手入れがたいへんでした。

平日は仕事をしているので、ソファの上をさっと片付け、ソファの下に軽く掃除機をかけるぐらいしかできません。ソファの下には、きれいに掃除しきれていないホコリと一緒に、子どもの脱いだ靴下がなぜか片方だけ出てくることがよくありました。


 週末は、取り外せる座面も上げて掃除機をかけますが、そこには子どもがこぼした小さなゴミや、ホコリ、小さなおもちゃのパーツやBB弾(おもちゃの鉄砲弾)などが必ず転がっていました。

子どもがまだ小さかったので、カバーを洗い替えのできるタイプのソファを選びましたが、そのカバーを洗うのも一苦労でした。月に1度ぐらいは洗いたいなと思っていたカバーは、厚手で取り外しに手間取り、子どもが何かこぼしたときぐらいしか洗濯することがなくなりました。


 北欧製の大きめのソファは、子どもたちの体の大きさに合わなくて落ち着かないためか、テレビの前で友達とゲームをするときも、ソファを背もたれに、前に並んで座っている光景をよく目にしました。

夫が家にいる休日、夫がゴロンとソファの上に横になると、だれも座ることができませんでした。家族で同じテレビを見るときも、夫はソファにゴロン、残り4人はソファの脇や前に座っていました。


 気に入って買ったソファですが、子どもが小さく、共働きの我が家では、ソファがあることのメリットより、デメリットの方が大きく、引っ越しを機にソファを手放すことにしました。幸い、ソファはすぐに引き取り手が見つかりました。ソファがなくなり、広くなったリビングで、さっそく子ども達はプラレールやレゴを広げて遊んでいました。


■「畳のリビング」の良いところ

・畳なら部屋中が居場所になる


 床座の生活は、それほど家具がいりません。畳に直接座ることもできるし、抵抗があるなら、座布団を敷けばいい。


 我が家はソファの代わりに、座椅子と長座布団が1つずつあります。

長座布団は、座椅子の上が定位置ですが、広げて、子どもたちが並んで座ったり、ゴロンと横になりながらマットの上でゲームをしたり、子どもがお昼寝をしたり。柔軟な使い方ができます。

私は、毎朝、ヨガもどきをしていますが、本格的なポーズをしていないので、専用のヨガマットは使わず、畳にバスタオルぐらいの厚みのハーフケットを敷いています。少し痛いときには、長座布団の上でポーズをとります。

テレビを見るときには、テレビの前に座椅子を持ってきて、窓辺で本を読みたいときには窓の近くに移動。子どもが熱を出したときには、リビングに布団を敷いて、枕元に座椅子を持ってきて看病します。長座布団を敷いて添い寝もできます。こうして、部屋のあちこちで居場所が作れます。


・畳なら人数が増えても平気


 家族全員でリビングでくつろぐときには、夫が座椅子を優先して使うことが多いので、子どもたちは長座布団を使って座ったり、伸ばした夫の足にもたれたり、直接畳の上に座ったり、横になったりしてくつろいでいます。来客時は、座布団があれば人数が増えても大丈夫。子どものお友達が大勢くるときには、座布団もなしで畳に直接座ったり。折りたたみ式の座卓と組み合わせれば、食事もすることができます。


・畳はラグ+ソファより掃除が楽


 フローリング+ラグ+ソファのリビングから、畳のリビングにして、もっとも恩恵を受けているのが、掃除の手間が簡単になったこと。そもそも、きれいに保つのにあれほど気を使っていたソファやラグがありません。平日は、さっと掃除機をかけるだけ。かがんだりする必要がなく、何もない平面を掃除するのは簡単です。唯一の障害物である座椅子は、掃除をかけた後の場所にすっと動かすだけ。軽いので移動がラク。時折、座椅子のカバーを外して洗いますが、ソファのそれと比べたら、労力は半分以下です。畳は、1ヶ月に1度ほど、木部を掃除する水拭き兼用のワックスで拭きます。


・畳なら部屋は広くなくていい


 我が家のような5人家族の場合、全員同時にソファでくつろぎたければ、2人がけソファが3台ほど必要になります。リビングには、座ったときに何かを置くちょっとしたテーブルがいります。


 一方、床座の生活は、それほど多くの家具を必要としません。

現在のリビングは6畳ですが、ソファを撤去したことで、以前の8畳のリビングより広く使うことができています。我が家は決して広くないけど、それほど狭く感じないのは、リビングにも寝室にも、畳を最大限に利用して、ソファやベッドなどの大きい家具を置いていないからなのです。


 私の住む地域では、5階建のいわゆる団地の建物がちらほら残っています。元は、2DKや、3DKなどの間取りが大半。広さは、40~60㎡ぐらいのものが多いようです。最近建築されているマンションのように広くはなかったけど、その部屋で4人や5人家族が普通に暮らしていました。建築された当初、居室はほとんどは和室でした。2DK、3DKの、DK以外の居室は、1つが茶の間、残りの部屋が寝室や主寝室と子供部屋として機能していました。そこに洋家具を入れたりすると、途端に狭くなり、住むには不十分な広さになってしまいます。


 近年、UR都市再生機構(旧:住都公団)では、団地の空き部屋を現代風にリノベーションしたお部屋を貸し出しています。広さは変わらないので、間取りは1LDKや2LDK。2人暮らしや小さい子どもとの3人暮らしぐらいならできますが、年頃の子どもと4人、5人ではさすがに厳しいでしょう。

融通の利く畳の部屋を減らすと、広い住まいが必要になるのです。


■旅館のくつろぎを我が家にも


 目指すくつろぎのスタイルがホテルのスイートルームなら、広いスペースが必要。でも、旅館の1室も、くつろぎのスタイルの1つです。


 1つの部屋で、座卓を広げてご飯を食べる。同じ部屋で、座卓を片付け、布団を敷く。普段の暮らしに毎度、座卓を片付けるのは面倒だけど、その部屋が畳なら、来客時には布団を敷くこともできます。


 リラックスする方法に、正解はありません。人によってくつろげる状況は異なるし、年齢や家族構成によっても変わります。

我が家も、子どもが床で遊ばなくなったり、私や夫が歳をとり足腰が悪くなったりしたら、再度ソファのあるくつろぎを求めることもあるでしょう。でも、子どもがまだ小さく、多くの来客があり、私も夫もまだ元気な今は、畳のリビングの方が、しっくりくるようです。

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著者

尾崎 友吏子

ブログ「cozy‐nest小さく整う暮らし」主宰。にほんブログ村「シンプルライフ」「ミニマリスト」「ワーキングマザー育児」カテゴリーで上位人気を誇る。1970年生まれ。ニューヨーク州立大卒。不動産業などを経て、現在は建設業に従事。二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。著書に『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)がある。

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