Facebook
Twitter
RSS

よみものどっとこむ

第7回

家族が手伝いたくなる時短キッチン

2016.11.10更新

読了時間

【 この連載は… 】 住まいを工夫すると、ライフスタイルが変わる。小さくてもゆとりある暮らしのキーワードは「ミニマムライフ」そして「自由」。時間と共に変化していく空間やモノと長く付き合う、心地よい住まいづくりの方法を紹介します。

■人気のキッチンは対面式


 キッチンの形式には大きく分けて、対面式と壁付け式があります。シンクに立って作業するとき、壁に向かうか、部屋に向かうかの違いです。最近は、対面式が人気です。築浅のファミリー向けマンションを見ると、多くの物件が対面式を採用しています。


 対面式キッチンの人気の秘密は、こんなメリットがあるからです。


○対面式キッチンのメリット


・リビングやダイニングにいる子どもの様子がわかる

・リビングのテレビを見ながら作業できる

・来客時、お客様の顔をみながら作業できる

・カウンターが付いている場合は、手元が隠せる


 家を新規に購入したり、新築する機会は、子どもがまだ小さい家庭に多いから、「子どもの様子がわかる」のは、殺し文句。確かに、2歳ぐらいまでの子どもは、ずっと見守りが必要なぐらい、家の中でもいろいろ冒険(いたずら?)するもの。見守りがいらなくなっても、5歳ぐらいまでは、遊んでいる最中に「お母さんみてみて~」と言ってきます。対面キッチンは魅力的です。


 また、キッチンは家の中でも、一番いろいろな道具があるところ。水も火も使うから、汚れやすい。手元だけでなく、足元も見えにくいから、床にいろいろ置くことができます。 キッチン前にカウンターや下り壁(天井から40~50センチ程度下がっている壁のこと)が付いている、セミクローズド型なら、壁にものが取り出しやすいオープン収納を取り付けて道具を並べても見えにくい。台所は「裏方」だから、手元や足元、壁のごちゃごちゃが見えにくいと何かと好都合です。


 一方、対面式にはこんなデメリットもあります。


○対面式キッチンのデメリット


・カウンター式の場合は、ダイニングとの動線が長くなる

・幅が決まっているので、キッチンに複数人が立つと狭い

・スペースを必要とするので、その分他の部屋が狭くなる


 さて、次に壁付け式キッチンのメリット・デメリットをみていきましょう。

 壁付け式のデメリットは、対面式のメリットの対極にあります。


○壁付け式キッチンのデメリット


・おしゃれじゃない

・調理中の手元、足元、収納が丸見え

・子どもの顔やテレビ、お客様の顔をみながら作業できない


 そして壁付け式には、一般的に、このようなメリットがあります。


○壁付け式キッチンのメリット


・低コストで施工できる

・スペースが狭くても設置可能


 デメリットで挙げた「おしゃれじゃない」というのは、低コストで設置できるので、グレードの低い賃貸に採用されているからかもしれまん。


■私が壁付けオープンキッチンを選んだワケ


 我が家は食べ盛りの男子3人がいる5人家族。毎日の食事作りはもっとも大切な家事です。他の家庭よりキッチンに立つ時間は長く、キッチン選びはとても重要でした。そんな我が家がキッチンをリフォームするにあたり選んだのは、人気の対面型でなく、オーソドックスな壁付けのI型キッチンでした。


 そもそも、常に見守りが必要な幼児は、2、3年もたてば大きくなります。我が家がリフォームした際には、一番下の子は5歳。常に見ておく必要はありませんでした。もちろん、振り向いたら子どもの「お母さんみてみて~」にも対応できます。


 また、私はもともとテレビを見ながら作業することは少なく、「テレビを見ながら作業できる」メリットも無関係。家族で一緒にテレビやDVDをみるときは、早く終わるよう、家族が手伝ってくれ、台所作業が終わったらリビングで皆で同じ番組や映画を観ます。


 お客様がいらしたときは、キッチンになるべく立たず、お客様と一緒に座ってお話ししたいので、「来客時、お客様の顔をみながら作業できる」メリットにもあまり魅力を感じませんでした。


 LDKの面積はそれほど広くないので、キッチンを使っていないときには他のスペースを広く使える方がよいと考えました。


■キッチンを「主婦の城」から解放する、時短壁付けオープンキッチン


 さらに、実際使ってみて、上記デメリットを凌駕するメリットがたくさんあることがわかりました。


・ダイニングとの動線が短い

・丸見えだからこそきれいに保ちやすい

・たくさんの人とキッチンを共有できる


 一つ一つご説明します。


・ダイニングとの動線が短い=食器の上げ下げがラク


 ダイニングテーブルとの距離が近いのは、とても便利です。

振り向いたら、すぐにダイニングテーブルがあるので、すぐにサーブすることができます。我が家では、盛り付けは大きい子どもたちがやってくれます。

ダイニングテーブルを盛り付けの台として使うこともできます。


 加えて、我が家では、ダイニングテーブルの足に、滑りやすいローラーを取り付けています。盛り付ける手が足りない場合は、キッチンのすぐ脇にダイニングテーブルを移動させて、盛り付けが終わったらまた元の位置に戻したりすることも可能。下げるときも同じ要領ですれば、食器を運ぶのに、ほとんど時間がかかりません。


 よくある対面式カウンター型の場合、お皿の上げ下げはカウンター越しになります。でも、それはお皿を受け取ってくれる人がいる場合。小さい子どもしかいなければ、この利点は機能しません。つまり、小さな子どもしかいない場合、子どもの様子をみながら調理できるけど、食器を上げ下げするときは、カウンターをぐるりとまわりこまなくてはいけません。食事中、「ちょっとお醤油をとって」というときも、対面型は面倒です。面倒くさがりが多い我が家なら、誰が醤油を取りに行くかでケンカになりそうです。


 1食に食器の上げ下げで2回。平日は朝夕2食、休日は3食、家で食事すると、1年では900回近くも食器を上げ下げすることになります。1回ではわずかな時間でも、ずっと使うキッチンでは、どれぐらいの時間の差がでるでしょうか。


・丸見えだからこそきれいに保ちやすい


 対面式キッチンのメリットは、手元足元が隠せて、生活感がリビングダイニングから見えにくいこと。しかし、見えにくい部分だからとつい乱雑になったり、掃除がずさんになりがち。見えない「裏方」のキッチンは、美しく保つモチベーションを維持するのは、よほど掃除好きでない限り困難です。


  一方、他の部屋からキッチンが丸見えな壁付けでは、きれいに保つことが必要。見える見えないに関わらず、気持ちよく作業するためにいつでもきれいにしておきたい。使った場所はさっと片付け、さっと拭く。これだけで、コンパクトなキッチンは十分きれいに保つことができます。足元まで丸見えだから、つい床にものを置いてしまうこともありません。カウンターのない、オープンな壁付けキッチンは、掃除する場所も少なくラクなのです。


・たくさんの人とキッチンを共有できる


 また、オープンなキッチンは、ダイニングやリビングとの境界がありません。壁付けのオープンキッチンであれば、大人数でキッチンに立つことが可能。主婦がキッチンで一人にならずに、家族を台所作業に巻き込みやすいのです。我が家では、 友人を招いて料理をしたり、子どもたち総出でピザを作ったり、味噌作りをしたりします。スペースの決まっている対面式と違い、ダイニングを作業台にすれば、複数人でも参加できます。


 リビング、ダイニングと境界のない、壁付けオープンキッチン。キッチンを「主婦の城」「裏方」とせず、家族と共有し、家族がより台所作業に参加しやすい形のキッチンとして、もうすこし見直されてもよいと思っています。とくに、我が家のように共働きの家庭にはオススメです。


 対面式は、「家族を見守りやすいキッチン」。壁付けは「家族も一緒に立ちやすいキッチン」。どちらのキッチンにもメリットがあります。ライフスタイルや、変化するライフステージによって、形の最適解は異なります。

 
シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

尾崎 友吏子

ブログ「cozy‐nest小さく整う暮らし」主宰。にほんブログ村「シンプルライフ」「ミニマリスト」「ワーキングマザー育児」カテゴリーで上位人気を誇る。1970年生まれ。ニューヨーク州立大卒。不動産業などを経て、現在は建設業に従事。二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。著書に『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)がある。

矢印