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よみものどっとこむ

第8回

ストレスレスな衣類の収納

2016.11.28更新

読了時間

【 この連載は… 】 住まいを工夫すると、ライフスタイルが変わる。小さくてもゆとりある暮らしのキーワードは「ミニマムライフ」そして「自由」。時間と共に変化していく空間やモノと長く付き合う、心地よい住まいづくりの方法を紹介します。

■吊るす? 畳む? 正しい衣類の収納法


 衣類の収納方法は大きく分けて、畳んでチェスト(タンス)やプラスチックケースの引き出しなどにしまう方法と、ハンガーに吊るしたまま収納する方法とがあります。近年の住居では、押入れが少なくなり、クローゼットを各居室に設ける間取りが増えつつあります。一般的に、クローゼットは、布団を収納するために設計された押入れより、奥行きが浅いのが特徴。服をかけられるように、中央にポールが渡してあります。まさに、服を吊るすための収納です。


 日本では長い間、服の収納は、行李や長持、櫃など、木製や竹製の箱に着物を畳んで収納するのが一般的でした。和箪笥は、馴染みが深いようですが、その歴史は意外と浅く、江戸末期から。経済が安定していた元禄時代、庶民の暮らしが豊かになり、多くの服を持つようになってからです。タンスは、おもに商人から広まり、明治になり西洋文化が入ると、急激に普及したと言われています。一方、西洋では、チェストと呼ばれるタンスもありましたが、洋服を吊るす収納も18世紀から取り入れられていました。


 衣類の形状を見てみると、確かに反物からほとんど直線だけで構成されている和服(着物)は、畳むのに適し、パターンがより複雑な洋服は、吊るすほうが向いています。


 日本人は、明治以降、洋服という文化を積極的に取り入れ、とくに戦後は瞬く間に庶民にも洋服が広がったにもかかわらず、その洋服の収納方法は、とり入れてこなかったのです。日本人は、洋服を普通に着ているのに、和服より複雑な形の洋服を畳み続けていました。


 日本の住宅にポールが設置されているクローゼットが普及したのは、ここ30年ほど。服を「吊るす」文化は、西洋と比べ200~300年遅れてようやく普及し始めています。それでもなお、コートやジャケットなどの形の崩れやすいものは吊るし、ズボンやセーター、シャツなどは、畳んで収納するというのがまだ一般的のようです。


■畳むメリット、吊るすメリット


 ここで、服を畳む収納と、吊るす収納、それぞれの長所を見てみましょう。

○畳む収納のメリット


・ハンガーの形がつくことがなく、生地の伸びが少ない

・収納スペースが少なくて済む

・着ていない服にほこりがつきにくい


 ニットやTシャツなど、伸びやすい生地は、その重量でハンガーの形がついたり、生地が伸びて型崩れすることがあるので、畳むほうが向いています。また、ハンガーに吊るして収納するより、綺麗に畳んで収納するほうが、収納スペースが少なくて済みます。畳むと、吊るした場合に比べて1/3のスペースで収納できます。

○吊るす収納のメリット


・ジャケットなどが型崩れしにくい

・ハンガーにかけて洗濯物を干す場合、畳む手間がない

・一覧性があり、服を選びやすい


 服を畳むと、どうしても折じわがついてしまいます。ジャケットやコート、スラックスなど、折じわをつけたくない服は吊るす収納向き。


 洗濯物を干す時、ハンガーに吊るして干すのは一般的です。とくに、Tシャツやシャツなど、トップスはハンガーに吊るして干されることが多いです。洗濯物を乾かすのと同一のハンガーを使い、そのまま収納できれば、ハンガーから外したり、畳んだりする家事労力がなくなります。クリーニング店でYシャツのクリーニングをお願いすると、「畳み」仕上げの価格は、「吊るし」仕上げより高い場合があります。これは、畳む労働力のコストが、吊るすスペースのコストより高いことを表しています。


 また、吊るされている服は、畳まれて引き出しに収納されている服より見やすく、取り出しやすいので、忙しい朝に服を選びやすいというメリットがあります。コーディネートを考える時も、ハンガーごと鏡の前で合わせたりしやすく、一旦取り出してもすぐに元に戻せます。服が一目で見渡せると、服の総量やバリエーションを把握しやすく、服の無駄買いを防ぐ効果があります。小さなお子様のいる家では、吊るす収納は大変有効です。子どもが服を自分で選ぶ時には、引き出しの中がすぐにぐちゃぐちゃになって元に戻すのが大変だからです。


■我が家の正解は「吊るす」収納


 我が家では、トップスからボトムスまで、ハンガーに吊るして干す衣類は、すべてハンガーに吊るしたまま収納することにしています。


 もともと、私が洗濯物を畳む行為が苦手だったこと、共働きのため、家事に時間を長く取れないことが発端でした。部活のユニフォームや、保育園児のどろんこ服、野球のユニフォームなど、5人家族の洗濯物は大量でした。吊るす収納に変えたら、畳む労力が1/4に減り、畳むのは、まだハンガーにかけられない三男のちいさなボトムスや、下着、ハンカチ類だけになりました。


 吊るす収納は、畳むより収納スペースをとりますが、ほとんど着ない服は持たず、よく着る服だけを厳選して持つことで、服を吊るす収納スペースを確保しています。また、よく着ている服ばかりで、洗濯の頻度が高いので、ほこりも気になりません。(少しだけ持っているあまり着ない服は、衣類カバーをかけています。)私を含め、子ども達のTシャツ類はそれほど高価なものは揃えていないので、生地の伸びもさほど気になりません。ニット類は、ハンガーに滑り落ちにくい工夫をして、伸びを防止しています。


■「ファミリークローゼット」で家事労力を少なく


 我が家では、「ファミリークローゼット」という約3畳の小部屋があり、ここに家族5人分の服を一箇所に集中収納しています。ここは、服の収納だけでなく、更衣室にもなっています。朝起きたら、皆ここで服を着替えにきます。


 よくある間取りでは、各居室に、適当な大きさのクローゼットが設けられています。そこに、その個室を使う人のものや衣類を収納するのが一般的です。


 収納の基本は、適材適所。使う場所に、ものを収納するのが王道です。ファミリークローゼットは、そのセオリーから外れています。


 とはいえ、乾いた服を取り込んで、畳み、個々の部屋のクローゼットにあちこち収納する家事労力は結構なものです。ファミリークローゼットなら、それが一箇所で済む分、労力が大幅に削減されます。ファミリークローゼットを採用する前は、リビングのソファに取り込んでもまだ畳んでいない洗濯物が山のようにおいてある光景がたびたびありました。ひどい日には、その山の中から家族が着ていく服を探すということもありました。


 ファミリークローゼットを作ってからは、ハンガーで干した洗濯物は、収納に直行。ファミリークローゼットの一時置きのポールにかけておけば、家族がクローゼット内の、それぞれの自分のスペースに移動してくれます。パジャマ類は、脱衣所に設置しているポールに直行。お風呂上がりには、すぐにパジャマを着ることができます。


 主婦からすると、家のあちこちに乾いた洗濯物を運ぶ手間は、毎日のことなのでかなり大変です。運ぶ場所が一箇所になるだけで、手間がぐっと削減され、洗濯物の山のない整ったリビングを保てるのです。「服を使う人」にとっては、自分の部屋で着替えず、ファミリークローゼットに行って着替えなければならないのは、少々面倒かもしれません。一方、リビングの洗濯物の山から服を探したりするのも不便です。幸い、我が家では、ファミリークローゼットに来て着替えをすることに不満の声を聞きません。ファミリークローゼットは、それほど意識しなくても、家族が自然に家事に協力できるツールなのです。個室で着替えるプライバシーは減りますが、一方で、ファミリークローゼットで一緒に着替える分、在宅時間が短い夫と子どもたちのコミュニケーションも増えていると感じます。


■一箇所に集中収納する場所がない時


 家族の服を一箇所に収納するのはとても良いアイデアだけど、そんなに大きな収納はないという場合は、本当によく使う服だけを家族分一箇所に集めてクローゼットやタンスに収納するという方法があります。ファミリークローゼットが個室である必要はありません。こうすることで、普段よく着る服は、おもに一箇所に運べば収納できるようになります。


 こうすると、毎日洗濯する場合、洗い替えを除くと下着などは2セットあれば十分なのがわかります。また、たくさん服を持っていても、お気に入りでよく着ているのは、ほんの一部なことにも気がつきます。そこに置くのに選ばれなかった服は、たくさん持っていることに意味はあまりないので、手放す対象になる服かもしれません。


 また、空いている一部屋を納戸のように使っている家をよく見かけますが、その部屋のガラクタを整理して、部屋ごとファミリークローゼットにしてしまうのも一つの方法です。窓があれば、換気もしやすいし、広いスペースがあれば着替えるときもゆとりがあります。まさしく、部屋がまるごと衣類の収納兼更衣室になります。個室にあるクローゼットは、他のものが収納できます。


 女の子がいる場合は、パーティションやカーテンで仕切るだけでも、同一空間を分けて視界を遮ることができます。入り口から離れた奥に女の子用の収納兼着替えスペースを設けます。それでも嫌という年頃の女子なら、自室で衣類を収納、着替えもいいと思います。でも、そのときは自分の衣類は自分で管理させましょう。


■住まいに暮らしを合わせるのではなく、暮らしに住まいを合わせる


 収納はいろいろな方法があり、一般的に良いと言われている方法や、間取りに従った方法ではうまく片付かない場合があります。家の間取りや思い込み、慣習に住まい方を合わせるのではなく、自分の暮らし方に住まいを合わせると、簡単に家を片付けることができます。正解は一つではなく、家族が使っていてストレスが少ないことが大事です。いろいろな方法を取り入れてみて、「我が家の最適解」を見つけてみてください。


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著者

尾崎 友吏子

ブログ「cozy‐nest小さく整う暮らし」主宰。にほんブログ村「シンプルライフ」「ミニマリスト」「ワーキングマザー育児」カテゴリーで上位人気を誇る。1970年生まれ。ニューヨーク州立大卒。不動産業などを経て、現在は建設業に従事。二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。著書に『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)がある。

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