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よみものどっとこむ

第9回

クローゼットは小さくていい

2016.12.12更新

読了時間

【 この連載は… 】 住まいを工夫すると、ライフスタイルが変わる。小さくてもゆとりある暮らしのキーワードは「ミニマムライフ」そして「自由」。時間と共に変化していく空間やモノと長く付き合う、心地よい住まいづくりの方法を紹介します。

 この連載は、「住まい」がテーマですが、今日はファッションについて書かせていただきます。ファッションそのものではなく、服のもち方、つまりクローゼットのあり方です。というのも、整理・収納の相談を受けると、「クローゼットが片付かなくて困る」という悩みがもっとも多いからです。


■着る体は一つだけ


 収納が大きければ、部屋が片付くだろうと多くの人が思っています。ところが、収納を大きくしたら、家が片付くかといえばそんなことはなく、たいていは収納庫にあるガラクタが増えるだけ。服でも、当然同じことが言えます。というのも、着る体は一つだけ。たくさんあっても着る服は限られるし、帽子や靴も同様で、頭は一つ、足も一対。毎日とっかえひっかえおしゃれしても、それほど多く必要ありません。


 「体は一つ」。そんな物理的な制限がなくても、それほどおしゃれでもない私の場合は、毎日そんなに違う服を着るわけではありません。たくさん服があっても、その中のベストコーディネートの2、3種類以外は、袖を通す回数がぐっと減るのです。


 以前、1ヶ月に、どの服をどれぐらい着用しているか、調べてみたことがありました。その時、服の総所持数は80着程度。その中の、5着ほどは、1ヶ月に10回以上登場(3日に1度は着ていたことになります)、ほかの10着ほどは月に5回程度(週に1回ほど)、それ以外の65着は、月に1回か、1度も着ていませんでした。80着のうちの、約2割の服で、ほとんど間に合っていたことになります。月に1度袖を通した服も「着ていないから今日は着てあげよう」ぐらいに思った服でした。

 私は、所持していた服の8割は処分しても、問題がないことに気がつきました。


■少数精鋭「理想のクローゼット」を作ってみよう


 服を減らしたい時は、着ない服を選ぶより、残す服に着目する方が、スムーズにいきます。私の場合は、iPhoneの既存アプリ「写真」で、持っている洋服を管理しています。アプリには、「アルバム」という機能が付いていて、任意の写真を好きな名前をつけたアルバムに入れることができます。「理想のクローゼット」「衣服もち数」「冬服」「夏服」「合(春秋)服」というアルバムを作っています。洋服を1点1点写真に撮り、それぞれのアルバムに写真を入れています。


 「理想のクローゼット」アルバムには、好きな洋服ブランドのサイトからスクリーンショットで撮った写真などと、手持ちで「理想のクローゼット」に加えてもよい服の写真を入れ、想像の中であれこれコーディネートを考えます。季節やTPO、組み合わせを考えて、どんなシーンにも対応できるように持ちます。手持ちの服で、それに加えられるものは残します。いきなり全部入れ替えると、出費がかさむので、徐々に入れ替えていきます。まず、手持ちの中で、「理想のクローゼット」に近いと思われる服を妥協して残します。そして、季節の変わり目や摩耗したのを見計らって、少しずつ理想のクローゼットを作っていきます。

 「衣服もち数」アルバムには、持っている服1点1点の写真すべてと、「冬服」「夏服」「合(春秋)服」アルバムには、持っている服のそれぞれの季節に着る服を入れ、その季節に着るのに必要十分か検討します。足りない場合は、「理想のクローゼット」に近い服を探して買い足し、不要になった服は手放します。


■簡単な服の手放し方


 「捨てるのはもったいない」。そう考えてなかなか手放せないという話をよく聞きます。でも、高価だった服を取っておいたからといって、お金が戻ってくるわけではありません。天然素材なら防虫などのメインテナンスも必要です。家に置いておいても何の役にも立ちませんが、リサイクルショップやオークション、フリマサイトなどで売ることもできるし、売れないものでも、資源ごみにだせば、その資源がまた有効に使われるかもしれません。

 そもそも、家に置いてあれば、その服を収納するスペースが必要です。手放せば、そのスペースをもっと別の有効な方法に使うことができます。我が家の場合は、先日の記事のように、畳む収納をやめ、クローゼットのポールを最大限に生かして、畳むより広い収納スペースを必要とする「服を吊るす収納」に変更しました。家族の衣類のメインテナンスにかける時間が大幅に節約できたのは嬉しいかぎりです。

 片付けを一度にしようとすると、なかなかまとまった時間を取ることができず、手を付けられません(現代の人は大抵忙しいのです)。ここでも、「徐々に」がポイントです。とある服が目に入ったときに、「理想のクローゼット」に入る服か、そうでないかを判断して、そうでないならクローゼットから除外します。少し時間はかかりますが、1日に15分だけでも意識的に整理すれば、必ずすっきりさせることができます。


 ■トレンドを追うよりスタイルを持つ


 ファッションには、流行がつきものです。流行を追うというおしゃれの楽しみ方がある一方で、自分の好きなスタイルを持ちファッションを楽しむという方法があります。もちろん、流行が自分の好きなスタイルならベストですが、流行は、誰かが服を売るために毎年生み出すものである、ということを忘れないようにしたいと思います。そうでないと、トレンドを追うごとに自分の好きなスタイルがわからなくなり、買っても買っても追いつかなります。めまぐるしく変化するトレンドは、私が「持っていない」服を「これも買わなきゃ、あれも買わなきゃ」という気分に追い立てます。流行を追うこと、それはいつまでも「足りない」と思わせる、業界の戦略。それに乗るのも、自分のスタイルを貫くのも自由です。が、当然、流行を追えば追うほど出費もかさみ、クローゼットはパンパンになり、整理を継続しなければ管理不能な状態になります。今「イケてる」ファッションは、5年後にはかなり野暮ったく映るでしょう。


■オールシーズン16着の服(私の場合)


 今、私のクローゼットには、服が16着あります。すべてがお気に入りの服で、季節の服は、普段着用しないスーツ以外は、ヘビーローテーションで着ています。


 半袖ブラウス (夏)

 長袖ブラウス (通年)

 七分袖ブラウス (通年) 2着

 長袖厚手ブラウス (春秋冬)

 カーディガン (春秋冬) 3着

 ジャケット (春秋)

 キュロット (通年) 2着

 スカート (春秋冬)

 ワンピース (冬以外) 2着 

 ブラックスーツ (通年)

 ライナー付きコート (秋冬)


 合計 16着


■ミニマムクローゼットのメリット


 少ない服でも満足できたら、メリットがたくさんあります。


 ○いつもお気に入りを着られる


 クローゼットに並んでいるのは、お気に入りの服だけだから、毎日ご機嫌で過ごせます。


○ムダな出費が減る


 服を選ぶ選択眼が養われるので、服を衝動買いしたり、安いからといって着ない服を無駄に買うことがなくなります。夫は、お気に入りのコートを20年間着倒しました。新しく買った同じモデルのお気に入りのコートは30万円しました。また20年着るとすれば、1年あたり15000円。ひと冬の間、12月から3月半ばまで、そのコートを着るのは75回とすると、1回あたりの着用で200円ですから、その1500回分を初期投資したことになります。一方、特価でつい買ってしまった980円のTシャツを、1度しか着なければ、1回あたり980円初期投資をしたことになります。ほとんど着ない980円のTシャツが、よく着る1着30万円のコートより着用1回あたりの単価が高くなることもあるのです。


○時間が節約できる


 服を選ぶのにほとんど迷わなくなります。服が少ないから、持っている服も一目で見渡せ、選ぶのも楽。忙しい朝の時間でもその日着る服をサッと選べます。100個ある選択肢の中で、最適な一つを選ぶのと、5つしかない選択肢の中から一番よい一つを選ぶのは、どちらが簡単か明白です。これが、毎朝のことだったら、どんなに大変でしょう。

 また、100個持っていたら、それをクリーニングに出したり、着ない服の防虫剤を入れたり、ホコリがつかないように工夫する必要もあります。服が少なければ、出しっぱなしでもホコリがかぶるヒマがありません。収納にゆとりがあれば、服を出し入れしやすいので、選ぶのも簡単です。

 あなたの貴重な時間は、服を整理する以外の、もっと大切なことに使えるはず。


○環境に優しい


 ほとんど着られることのない、安い服は、どこでどのように作られているか、考えてみたことはありますか? どこの国で、どんな労働力で、どんな材料を使って作られているのでしょうか。その服をほとんど着ないのなら、それらはムダとなってしまいます。そうしたムダは、私たちの環境と密接に関わっています。選択眼ができると、だんだんと買い物の失敗が減ります。大好きな服は愛着がわき、傷んでも補修され、最後まで大切に着ることができるようになります。資源も労働力も有限です。すっきりしたクローゼットは、環境にも優しいのです。


○クローゼットが小さくていい


 この連載の本題になりますが、収納スペースが小さくてすみます。私の服は、幅45センチでゆとりを持って収納できます。クローゼットが小さくなった分、ほかのスペースに使えます。


 このように、小さいクローゼットは良いことがたくさんあります。もし、「やってみようかな」と思われたら、どんな服を着たいのか、まず、想像の「理想のクローゼット」づくりを楽しんでみてください。

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著者

尾崎 友吏子

ブログ「cozy‐nest小さく整う暮らし」主宰。にほんブログ村「シンプルライフ」「ミニマリスト」「ワーキングマザー育児」カテゴリーで上位人気を誇る。1970年生まれ。ニューヨーク州立大卒。不動産業などを経て、現在は建設業に従事。二級建築士、インテリアコーディネーター、整理収納アドバイザー1級。著書に『3人子持ち働く母のモノを減らして家事や家計をラクにする方法』(KADOKAWA)がある。

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