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よみものどっとこむ

第9回

肩こりの原因

2017.03.17更新

読了時間

【 この連載は… 】 テレビ、雑誌などでお馴染みの「姿勢」の第一人者が、疲れない体をつくる知識とメソッドを徹底紹介。医学的理論に基づいた「全身のつながり」を意識した姿勢改善エクササイズで、腰痛や肩こり、慢性疲労などの不調を劇的に改善します。


「いかり肩」と「なで肩」をご存じでしょうか?

 肩こりになりやすい肩の形として、「いかり肩」と「なで肩」の2種類があります。それに加えて、どちらにも該当しないのに肩がこるという人もいます。

 肩こりや首こりを生じさせる原因には、過用(特定の筋の使いすぎ)、不良姿勢、寒冷・精神的緊張などによって、首から肩にかけての筋肉が短くなって頑張っている場合(肩をすくめた、いかり肩)や、逆に、合わせて8kgの両腕の重さに負けて、筋肉が伸びて筋力が弱くなった場合(なで肩)があります(図1)。


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 また、いかり肩やなで肩ではないにも関わらず、肩まわりの筋肉を使いすぎることで、肩こりや首こりが起こる人も多くいます。

 自分がいかり肩か、なで肩かは鏡に写った鎖骨の傾きを見て判断してみてください(図2)。

 時計盤で、9時と10時の間の半分以下、2時と3時の間の半分以下に鎖骨があればほぼ正常です(つまり、水平から15度の範囲)。この範囲よりも鎖骨が上を向いていればいかり肩、下を向いていればなで肩です。人によっては、非対称に、どちらか一方だけがいかり肩やなで肩になっている人もいます。


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 不良姿勢は、筋肉への負担を増加させて、筋肉の柔軟性を低下させ、肩こりの原因になります。

 猫背であごを前に突き出すような姿勢、さらにはストレートネックの人では肩こりがひどくなります。このような場合では、肩こり以外にも首こり、偏頭痛、耳鳴り、かすみ目、頸椎症、頸椎ヘルニア、胸郭出口症候群、肺活量低下、腰痛、自律神経障害として喘息、狭心症、胃下垂、胃酸過多(胸やけ)、十二指腸潰瘍なども引き起こすことがあります。

 こりがひどくなると、日常の生活も不自由になり、ビジネスパーソンなら会社に行くのも辛くなり、しかし、「肩こりぐらい」と誰に相談してもまともに取り合ってもらえず、欝状態になることすらあります。

 さらに食事もままならなくなり、カルシウムが欠乏して自由に動ける筋肉でさえ動きが重くなり、鬱状態がひどくなります。


 肩こりは、いかり肩となで肩で症状も異なります(図3)。

 いかり肩では、頭と肩全体をつなぐ筋肉が、ミルフィーユのように浅い筋肉から深い筋肉まで、常にこっています。僧帽筋上部線維と肩甲挙筋は硬く短くなり、僧帽筋下部線維は伸ばされて筋力が低下します。

 なで肩の人は、首と肩甲骨をつなぐ深い所の筋肉が特にこっています。肩甲挙筋と小菱形筋は硬く短くなり、僧帽筋上部線維は伸ばされて筋力が低下します。深いところの筋肉までこっている「ミルフィーユ肩こり」の人ほど、叩いたり揉んだりしてもなかなか改善しないのです。

 また、どちらの形でもないけどこる人も多くいます。書き物、編み物、パソコンや携帯など、長く同じ姿勢で肩まわりの筋肉を酷使することで肩こりや首こりが起きてきます。


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 肩こりに大きく関わる筋肉といえば、僧帽筋上部線維。しかし、この筋肉をストレッチすれば楽になる、というのは、場合によっては大間違いです。

 いかり肩の場合には、僧帽筋上部線維のストレッチングは非常に効果的ですが、なで肩の場合には、僧帽筋上部線維はストレッチングしては逆効果になります。

 なぜなら、なで肩の人は僧帽筋上部線維の筋力が弱いために、僧帽筋上部線維の長さは普通よりも延長しています。しかし、腕の重さを支えるために、弱いながらも常日頃頑張って、腕の重さに負けないように無意識に収縮しているために、肩がこるのです。

 この場合、僧帽筋上部線維のストレッチングをすると、さらになで肩を悪化することにもつながります。僧帽筋上部線維のストレッチングをしてしまうと、さらに筋肉が伸ばされて、筋力が低下して、結果的に肩こりはひどくなってしまうのです。

 たとえば、なで肩の人がウエイトレスの仕事をしているのであれば、お皿を運ぶたびに僧帽筋上部線維が耐えられなくなり、損傷を来すことにつながります。そのうえ、お盆にお皿やコップを載せて運んでいると、その重さに筋肉が耐えきれなくなり、微細損傷をきたすことすらあります。

 肩こりからの脱却には、以下が大切になります(図4)。


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 簡単なようで難しい、でも理解すれば対処できるのが肩こり・首こりです。

 次回からの3回で、「いかり肩」、「なで肩」、「どちらにも該当しない肩」について、それぞれ肩こり・首こり解消方法を紹介していきます。

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著者

竹井 仁

首都大学東京健康福祉学部理学療法学科教授。医学博士、理学療法士、OMT。教育機関で学生教育を実践するかたわら、病院と整形外科クリニックにおいて臨床も実践。各種講習会も全国で展開。専門は運動学・神経筋骨関節系理学療法・徒手療法。解剖学にて医学博士取得。「世界一受けたい授業」「ためしてガッテン」「林修の今でしょ!講座」など多数のメディアに出演。著書多数。 

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