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よみものどっとこむ

第5回

猫背は万病の元

2016.11.15更新

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【 この連載は… 】 テレビ、雑誌などでお馴染みの「姿勢」の第一人者が、疲れない体をつくる知識とメソッドを徹底紹介。医学的理論に基づいた「全身のつながり」を意識した姿勢改善エクササイズで、腰痛や肩こり、慢性疲労などの不調を劇的に改善します。


 日本人は諸外国の方から見ても、とても真面目な民族です。なぜかというと、同じ姿勢で長時間の作業に耐えられるからです。


 小学校から授業中は椅子に座り続け、前を向いて真面目に授業を受けることを教えられます。中学、高校になるとさらに椅子に座って宿題をしたり、塾通いが始まり、受験戦争の中で体の動きがこじんまりしていきます。社会人になるとデスクワークが増え、体を大きく動かすことも少なくなります(図1)。30代後半から筋力が低下してくるのに合わせ、猫背も進むのです。


 これは実は真面目というよりも、悪い習慣なのです。姿勢を変えずに長時間頑張れば、疲れるのが当たり前です。そして楽な姿勢をとろうと猫背が進むのです。


 また、自分の体の大きさに合わない高さの机や椅子を使っていると、猫背や反り腰になり、不良姿勢をますます悪くしていき、こりも拡がっていきます。最近の学校では、椅子だけでなく、机の高さも調節できるものが増えてきました。このような椅子や机を普及させるような環境整備も重要です。

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 猫背とは、胸の前の筋肉が短く硬くなり、背中の筋肉が伸びた状態で筋力が低下していく状態です。猫背姿勢で頭が体の前に出た姿勢は、肩凝りや首凝りの原因となります。


 食器を持ち上げることなく猫背で食べる姿勢、猫背での書き物姿勢、ほおづえをつく癖、スマホや携帯型ゲーム機を使うときの姿勢、テレビを見るときの猫背姿勢など、身に覚えがありませんか?


 猫背で、頭も体の前に出て、巻き込み肩やストレートネックなども加わると、色々な症状が出てきてしまいます。肩こり、首こり、片頭痛、かすみ目、耳鳴り、あごのかみ合わせ不良、口を開くと音が鳴る、水分の飲み込みでむせる、肺活量の低下、腰痛、便秘、お腹や二の腕に脂肪が付く、などなど様々な不調をきたしてしまいます。さらに猫背の人は、実年齢よりも老けて見られてしまい、損ばかりです。


 猫背は万病の元。猫背を治して正しい姿勢に近づけましょう。良い姿勢が無意識でも取れるようになると様々な不調も良くなっていきます。その上で、他の症状を改善するための体操を加えることが大切になります。


 ここでは猫背を治すための様々な体操を紹介しましょう。


①バンザイ筋膜リリース

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 あお向けで足を床に着けて、膝を曲げます。肩甲骨の下端が中心になるように、丸めたバスタオルを背中の下に敷き、頭の下に低めの枕を敷いて、あごを軽くのど元に引きつけたまま、バンザイします。その状態で胸の前の筋肉を30秒以上リリースします。これを3回繰り返してください。慣れてきたら時間は90秒まで延ばしましょう。

 このときのコツは、お腹に軽く力を入れて、腰を床に押しつけておくことです。これは、腹筋の力も強化しながら、猫背を改善する方法です。


②肘つけ四つ這いお尻引き筋膜リリース

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 両方の肘と小指をくっつけて、手のひらを上に向けて手の甲をしっかりと床につけた四つ這いをとります。ここからお尻を後ろに移動させます。このときに腰は丸まった状態で、胸の前から肩、そして骨盤までを30秒以上リリースします。これを3回繰り返してください。慣れてきたら時間は90秒まで延ばしましょう。

 このリリースでは、広背筋という背中にある長い筋肉もしっかりリリースできます。両肘が離れそうになったり、手の甲が床から離れそうになったら、そこでじっくりと気持ちいい感覚でリリースを続けます。


③腕の押し・引き・回し筋膜リリース

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 椅子になるべく背筋を伸ばした姿勢で座ります。

 背中は丸めすぎないようにしながら、平泳ぎの要領で両手を前に突き出し、30秒間リリースします。

 引き続き、あごは引き気味にて肘を曲げながら腕を開き、胸を張るように胸の後ろの背骨を伸ばすようにして、胸の前の筋肉を30秒間リリースします。あごをしっかりのど元に引きつけますが、うつむくのではなく、正面を見ていてください。

 さらに、両肘を肩より前に戻しながら、同時に両手のひらを前に向けるように両方の肩甲骨を引き起こし、30秒間リリースします。

 これを3回繰り返してください。

 肩まわりの筋膜も同時にリリースされますので、肩こりや首こりにもいい効果が出ます。

 さらに嬉しいことに、二重あごの改善にも効果的です。


 寝るときにも、枕が柔らかすぎると、あお向けで寝ているときに、頭は沈み込みますが、あごが突き上がってしまいます。そうして首の前の筋膜が伸びきることで、二重あごの原因になってしまうのです。なので、枕の選択も重要です。


 これらの体操は1日の中で頻回に行うことが大切です。また、お腹に力を入れることも重要です。ポッコリお腹の改善にもつながります。


 さらに、携帯やタブレットなどの使いすぎで巻き込み肩になっている場合は?

 巻き込み肩を治す方法を次回紹介しましょう。ご期待ください。

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著者

竹井 仁

首都大学東京健康福祉学部理学療法学科教授。医学博士、理学療法士、OMT。教育機関で学生教育を実践するかたわら、病院と整形外科クリニックにおいて臨床も実践。各種講習会も全国で展開。専門は運動学・神経筋骨関節系理学療法・徒手療法。解剖学にて医学博士取得。「世界一受けたい授業」「ためしてガッテン」「林修の今でしょ!講座」など多数のメディアに出演。著書多数。 

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