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よみものどっとこむ

第8回

正しい座り方

2017.02.15更新

読了時間

【 この連載は… 】 テレビ、雑誌などでお馴染みの「姿勢」の第一人者が、疲れない体をつくる知識とメソッドを徹底紹介。医学的理論に基づいた「全身のつながり」を意識した姿勢改善エクササイズで、腰痛や肩こり、慢性疲労などの不調を劇的に改善します。


 正しく座れているかどうかは、横から写真を撮って観察してみるといいですね。

その写真を見て、「猫背で背中が丸まっていないか、頭が体の前に出ていないか、あごが上にもちあがってないか、ストレートネックになっていないか、腰が反ったり丸まったりしていないか」などを観察しましょう。


 座っている時、こんな悪い姿勢になっていませんか? 例えば、猫背や、背もたれに深くもたれかかりお尻を前にずらした仙骨座り、反り腰(図1)。これらは癖にもなってしまう悪い座り方ですね。

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 さらに後ろからも写真を撮り、「いかり肩(すくめ肩)やなで肩がないか、左右の肩の高さが同じかどうか、背骨が横に曲がっていないか」などを観察しましょう。


 猫背や仙骨座りでは、腹筋や背筋に力が入りにくくなり、背骨や靱帯の力で楽な姿勢をとることになります。この姿勢が続くと、肩や首がこり、首が短くなって見えたり、腕も動かしにくくなって二の腕がたるんだり、胸が垂れたり、顔の表情筋が働きにくくなって顔がたるんだり、たれ尻になったりと、悪いことばかり起こってしまいます。


 あごを前に突き出して鏡をのぞきこんで化粧をする、あごを突き出させるように机の上で頬杖をつく、あごを突き出して携帯のメールを打つ、猫背であごを突き出してパソコンやテレビと長時間向き合う、食事の時お茶碗やお皿を持ち上げないで顔をテーブルに近づける、など思い当たる人は要注意です。


 また、立った姿勢と比較すると、座った姿勢は背骨の椎間板にかかる圧力が増加します。自律神経の働きからは、背骨の上の方が丸まっていると喘息や狭心症に、脊骨の中央あたりが丸まっていると胃下垂や胃酸過多(胸焼け)や十二指腸潰瘍に、背骨の下の腰部が前に丸まっていると膀胱炎や便秘になりやすいこともありますので注意が必要です。


 逆に、反り腰になると、腰痛が起きやすくなり、垂れ尻にもなりやすくなります。


 これらの姿勢は楽かもしれませんが、良い姿勢とはいえないのです。


 椅子に座るときの理想的で良い姿勢は、頭が身体の真上に乗り、猫背がなく、あごが前に突き出てなく、股関節と膝関節はほぼ直角に曲がり、足の底が地面にピッタリついている状態です(図2)。

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 つまり、前後左右斜めの筋・筋膜のバランスがとれた状態です。

 しかし、この姿勢を長く続けるのは疲れます。筋がこってしまいます。

 疲れたら休んで楽な座り方に変えて構いません。でも、少しずつでいいので、良い姿勢を長く続けられるようにしていきましょう。理想は、「良い姿勢=楽な姿勢」です。


 良い座り方のためには自分の体に合った椅子の高さが大切です。

 椅子の高さは、身長×0.25-(0~2)cmが理想です。

 また、作業する際の机の高さは、身長×0.25-(0~2)+身長×0.183-(0~2)cmが目安です。

 最近は、小学校でも机と椅子の高さを変えられる物が少しずつ普及してきました(図3)。中学校でもこの机と椅子を使っている学校があります。成長期において、小学校と中学校でこの種類の机と椅子を使えるなら、とても理想的です。

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 正しい座り方を身につけるための肩甲骨周りの体操を紹介しましょう。猫背治し、巻き込み肩治し、ストレートネック治しを紹介した第5回から第7回の体操ももちろん効果的ですが、ここではそれ以外の体操を3つ紹介します。


 長時間にわたって同一不良姿勢をとったり、パソコン作業を長く続けたり、長時間料理を作ったり掃除をしたり、悪い姿勢で読書、書き物、編み物、運転などを長く続けていると、肩甲骨周囲の血流が悪くなり、筋群が硬くなってしまいます。


 それによって、こりや痛みが引き起こされます。このような場合、肩甲骨まわりの筋をほぐして血行を良くしていくことも大切になります。


①肩甲骨10時-6時・2時-6時エクササイズ

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 椅子になるべく正しく座り、両肩を10時方向に引き上げて5秒とめたら、両肩の力を抜いて6時方向に戻して力を抜きます。次に、両肩を2時方向に引き上げて5秒とめたら,両肩の力を抜いて6時方向に戻して力を抜きます。この一連の動きを、5~10回繰り返してください。


②肩甲骨平泳ぎエクササイズ

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 椅子に座り、平泳ぎのように両肩甲骨を前に突き出すと同時に、左右の肩甲骨の間を離していき5秒とめます。このときあごは軽く引いておいてください。次に、両肘を後ろに引くことで、左右の肩甲骨の間を近づけて5秒とめます。このときも、あごは軽く引いておいてください。この一連の動きを、5~10回繰り返してください。


③肩甲骨時計回り・反時計回りエクササイズ

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 一方の腕は,背中の後ろに回すように大きく動かします。同時に、もう一方の腕は大きく上げて頭の上を越えるように動かします。両方の肩甲骨を時計回りに回して5秒止めてください。そして、今度は両方の肩甲骨を反時計回りに回して5秒止めてください。この一連の動きを、5~10回繰り返してください。


 これらの体操は、作業の合間などに疲れを感じ始めたら実行してください。可能ならば、①~③を連続で行っていただくと効果的です。


 さて今回、後ろからの写真の話の中で、「いかり肩(すくめ肩)やなで肩がないか」と書きましたが、次回からこの「いかり肩となで肩」について説明いたします。楽しみにお待ちください。

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著者

竹井 仁

首都大学東京健康福祉学部理学療法学科教授。医学博士、理学療法士、OMT。教育機関で学生教育を実践するかたわら、病院と整形外科クリニックにおいて臨床も実践。各種講習会も全国で展開。専門は運動学・神経筋骨関節系理学療法・徒手療法。解剖学にて医学博士取得。「世界一受けたい授業」「ためしてガッテン」「林修の今でしょ!講座」など多数のメディアに出演。著書多数。 

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