第163回
399〜401話
2021.11.17更新
「超訳」本では軽すぎる、全文解説本では重すぎる、孟子の全体像を把握しながら通読したい人向け。現代人の心に突き刺さる「一文超訳」と、現代語訳・原文・書き下し文を対照させたオールインワン。
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7‐1 人の近親を殺すことの重大さ
【現代語訳】
孟子は言った。「私は今さらながら、人の近親を殺すことの重大さを知った。すなわち人の父を殺せば、人も仕返しに自分の父を殺す。人の兄を殺すと、人も仕返しに自分の兄を殺す。ということは、自分が自分の親を直接殺さなくても、自分が殺したのとあまり変わりがないことになる」。
【読み下し文】
孟子(もうし)曰(いわ)く、吾(わ)れ今(いま)にして而(しか)る後(のち)、人(ひと)の親(しん)を殺(ころ)すの重(おも)きを知(し)るなり。人(ひと)の父(ちち)を殺(ころ)せば、人(ひと)も亦(また)其(そ)の父(ちち)を殺(ころ)し、人(ひと)の兄(あに)を殺(ころ)せば、人(ひと)も亦(また)其(そ)の兄(あに)を殺(ころ)す。然(しか)らば則(すなわ)ち自(みずか)ら之(これ)を殺(ころ)すに非(あら)ざるや、一間(いっかん)のみ。
【原文】
孟子曰、吾今而後、知殺人親之重也、殺人之父、人亦殺其父、殺人之兄、人亦殺其兄、然則非自殺之也、一閒耳。
8‐1 税金を使って民をいじめるのはおかしい
【現代語訳】
孟子は言った。「昔、国境に関所をつくったのは、乱暴人や他国からの暴力を防ぐためであったが、今の関所は、通行税などの税金を取り上げ、まるで乱暴をはたらくかのようである」。
【読み下し文】
孟子(もうし)曰(いわ)く、古(いにしえ)の関(かん)を為(つく)るや、将(まさ)に以(もっ)て暴(ぼう)を禦(ふせ)がんとす。今(いま)の関(かん)を為(つく)るや、将(まさ)に以(もっ)て暴(ぼう)を為(な)さんとす。
【原文】
孟子曰、古之爲關也、將以禦暴、今之爲關也、將以爲暴。
9‐1 自分自身が道にかなってないと誰も動くことはない
【現代語訳】
孟子は言った。「自分自身が道を行わなければ、一番身近な存在であるはずの妻子にだって道が行われることはない。人を使うのに道にかなったものでないと、そのことは、妻子だって行わせることはできない」。
【読み下し文】
孟子(もうし)曰(いわ)く、身(み)、道(みち)を行(おこな)わざれば、妻子(さいし)にも行(おこな)われず。人(ひと)を使(つか)うに道(みち)を以(もっ)てせざれば、妻子(さいし)にも行(おこな)わるること能(あた)わず。
【原文】
孟子曰、身不行道、不行於妻子、使人不以道、不能行於妻子。
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