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プロ野球語辞典 プロ野球にまつわる言葉をイラストと豆知識でカッキーンと読み解く 長谷川晶一

第2回

『プロ野球語辞典』12球団ファンクラブ会員 特別対談

延長戦!<ウラ>

2017.03.21更新

読了時間

誠文堂新光社『プロ野球語辞典』番外編! 12球団ファンクラブ評論家®でもある長谷川晶一氏(ヤクルトファン)が、同じく12球団のファンクラブに入会している、ベースボール居酒屋・リリーズ神田スタジアムの高橋店長(楽天ファン)と各球団のファンクラブの最新の動向について熱く談義。「オモテ」と「ウラ」の2回にわたってお送りします。
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『プロ野球語辞典』の著者であり、12球団ファンクラブ評論家®でもある長谷川晶一氏(ヤクルトファン)が、同じく12球団のファンクラブに入会している、ベースボール居酒屋・リリーズ神田スタジアムの高橋店長(楽天ファン)と各球団のファンクラブの最新の動向について熱く談義。本サイトでは、本書の未収録パートを掲載。延長戦もいよいよ大詰めです!


sub_IMG_8208左:12球団ファンクラブ評論家®の長谷川晶一氏、右:ベースボール居酒屋・リリーズ神田スタジアムの高橋店長

12球団ファンクラブあるある

とにかく「ファンクラブ」が気になってしかたがない 


 申し合わせたわけでもなく、気づいたら僕らが2人とも入会してたのは、ニッポン放送の「ショウアップナイターファンクラブ」。

 ラジオ番組のファンクラブですね。

 「今年50周年なので、こういうの始めました!」ってことでしたね。我々がちょっと感覚が壊れてるのは、「ファンクラブ」っていうキーワードに、異常に反応するっていう(笑)。

 ぼくは、12球団ファンクラブのおかげ、というかせいで、ほかのファンクラブを知りたくなって、矢沢永吉のファンクラブに入ったんですよ。

 あはははは(爆笑)

 永ちゃんファンってわけじゃないんですけど……。

 畑もなにも、ぜんぜん違う異業種……。

 抽選に落ちて入れないファンクラブもあったけど、でも長渕剛と矢沢永吉は入会できたんです。で、プロ野球のファンクラブではありえないようなポーチとかが入会特典についてるんですよ。「なんで男臭い熱狂的ファンにポーチが必要なんだよ!?」とも思うんだけど(笑)。でも、ミュージシャンのファンクラブに入る目的は、結局、チケットがとりやすいかどうかなんですよね。

 まあ、そうでしょうね。

 で、野球は、ファンクラブに入ってなくてもチケットはとれるんですよ。そうじゃないものを探してるのが、プロ野球のファンクラブの特徴なんですよね。


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やっぱり、

ファンクラブに入らない理由はない! 


 僕は、ヤクルト一球団だけのファンクラブに入っているころと比べて、より、野球が好きになりましたね。それまでヤクルトの情報を中心に受けて、ヤクルトの選手の動向にしか興味なかったし、もう少し広げるとしても、ヤクルトと戦う、巨人とかセ・リーグの情報。だからパ・リーグには目が向いてなかったけど、ソフトバンクの2軍のファンクラブとかができて、バッジがもらえるたりするわけですよね。そうすると、そういう選手がいるってことがインプットされるじゃないですか。あと、会報がとにかく送られてくるから、読むわけですよ。単純に選手情報、チーム情報が入ってくると、その球団の親会社なりの、体質みたいなものが見えてくる。それはやっぱり、12球団に入ることのメリットですね。高橋さんは12球団のファンクラブに入ってわかったことって、何かありますか?

 もちろん野球ファンである以上、12球団の存在は認知してますけど、ひいきの球団以外はある意味、他人というか。それが、ひいきの球団以外に対しても、決して縁は近くないけどちょっと遠くに住んでる親戚、ぐらいの距離感に思えるようになりましたね。僕は長谷川さんと逆で、一貫してパ・リーグファン。出身も東北だから、例えば広島カープっていう球団について、字面の情報とかで、昔強い時期があった、とかは知ってますけど、あくまでほんとに伝説上の存在くらいの感覚。見たこともない、本拠地球場に行ったこともないし。そういう球団が広島にあることは知ってる。子どものころは巨人戦しかテレビでやってなかったんで、巨人とたまに戦ってる球団ね、くらいの感じでしたけど。こうしてそれぞれ、広島のファンクラブに入って、オリックスのファンクラブに入って、ソフトバンクのファンクラブに入ったりすると、遠隔地の球団も、盆暮れの付け届けじゃないですけど、向こうから会報とか、メールとかをバンバン送ってきてくれるんですよね。

 「おじさんは元気だよー!」って、勝手に教えてくれるんですよね(笑)。

 ほんと、そうです。親戚のおじさん(笑)。

 ごぶさたしている姪っこの情報とかが入ってくるような感じのこともありますよね(笑)。

 そうですね。毎年、家族写真を送ってくる、遠縁の、ほんと、法事でしか会わないような親戚……かもしれないですけど、逆に毎年情報をくれると、親しみが湧くんですよね。

 「この子大きくなったなー」とか思うんですよね。

 「車買ったのかー」とかね(笑)。

 そうそう(笑)。そのチームのファンとして興味を持ったばかりの初心者だったら、間違いなく知識は深まるし、興味もより湧いてくると思います。チームへの愛が深まるだけじゃなくて、単純にコスパがいいから、損することはないと思うんですよね。やっぱり、入らない理由はない。で、マニアはマニアで、チケットのとりやすさとかがあるんで、そういう目に見えない特典みたいなものは活用したほうがいいと思いますよね。

 別に我々は、ファンクラブ入会者を増やそうっていう啓蒙活動してるわけじゃないですけど(笑)、野球が好きでひいきのチームはあるけれど、「ちょっと、よくわかんない」っていう理由でファンクラブに入っていないんだったら、まず入って、年何回か球場に行ったりして1年を過ごしたら、いろいろわかると思うんですよね。わかんないことは、隣に座ってる人とかに「今年ファンクラブ1年目なんですけど、来場登録はどこでやるんですか?」って聞いたら、ぜんぜん教えてくれるし。やってみて、結果的に特にいいことなかったら、やめればいいだけだと思いますね。

 そう考えると、ヤクルト、ロッテ、西武のファンクラブはいい気がするなー。

 ですねー。どの球団の手先になって、ライトなファンを勧誘したときに勧誘しやすいか、って言ったら、確かにこの3つは群を抜いてると思います。我々のような、内部の人間じゃなくても、よさのプレゼンがしやすいっすもんね。しかも、ロッテファンで西武のファンクラブ入ってる人とか、めちゃくちゃいっぱいいますよね。チケットが安く買えたりとか。タダ券ももらえるんで。

 球場にそんなに行かないのに入る意味は……確かにあまりないかもしれないけどね。

 なるほど。行かないで入る意味としては単純に、上納金というか……。

 お布施だね。

 そう、お布施ですよ。「信仰の証として、俺は1回も球場行かないけど、年間4,000円のお布施を阪神に欠かさずにします!」って人はいるかもしれないですね。言っちゃえば自己満足ですし、球団からすればその4,000円が糸井を補強する足しになってるかもしれないと思ったら……ま、実際、足しになってるはずですよね。

 やっぱり、ファンクラブって遠い親戚なんですよね。親戚とは縁切れないじゃないですか(笑)。いくら遠くてもね。よっぽどひどいことされたら絶縁だってなるけど、基本的にファンクラブは、いい仲間だから。やっぱりやめらんないですよね。

 そうなんですよ。少なくとも僕らは明確な損はしてないから、続けてるわけですよね。

 自分の好きなチームのファンクラブに入ったら、ほんとに変わりますよね。チームのことを好きになると思います。例えば北海道の人が千葉のロッテのファンクラブに入ると、チケットを使えないまま終わるって事は当然あるとは思うけど、入会特典グッズがもらえたり、会報が届いたりする。あの会報には、専門誌に書いてないようなことが書いてあったりして、専門誌とは違う、味のあるインタビューが読めますから。あと、とにかく、メルマガがすごいですね。

 アホみたいにきますね。僕は受信オフにしてないから、「打ったのはストレート」っていう、広島の、あの、試合中に点が入るごとにいちいち送られてくるやつ(笑)。届きますね。

 あれ、2016年の日本シリーズでも来ましたね(笑)。

 来ましたね(笑)。だいたい、打つときはストレートなんですけどね(笑)。

 あと、例えばロッテで、サファリハットがもらえる日なんかに行ったら、絶対うれしくなりますよね。サファリハットなんて、普段、絶対買わないのに(笑)。でもその日はかぶりながら観ちゃうんですよね。で、本末転倒が起きて、サファリハット欲しさに球場に行くことになるんだよね(笑)。

 我々の感覚が一般と乖離してる可能性も否めないですけど(笑)。

 まあね(笑)。

 その往復の電車賃で帽子買えるだろ、って言われたら確かにそうなんですけどね(笑)。

 しかももっといい帽子……(笑)。まあ、試合を観に行くのがメインですからね。

 もちろん、そうです。

 どうせ行くなら、何かもらえる日、ってなりますよね(笑)。

 試合を観て、グッズももらえたら、1粒で2度おいしいみたいになるんで。

 もし入るんだったら、既に入っている人がまわりにいれば、「友だち紹介キャンペーン」とかで2人とも得になるよ、とか言いたくなりますね(笑)。

 ロッテだと、5人紹介したら、サインボールもらえるらしいですよ! って、マルチ商法の人みたい……(笑)

 ネズミ講だ(笑)。

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著者

【著者】長谷川晶一 【絵】佐野文二郎

【著者:長谷川 晶一】1970年5月13日生まれ。早稲田大学商学部卒業。 出版社勤務を経て、2003年にノンフィクションライターに。 2005年よりプロ野球12球団のファンクラブすべてに入会する試みを始め、2017年まで13年連続で継続中。 現在、「12球団ファンクラブ評論家」の肩書きを商標登録済み。野球関連の著書多数。【絵:佐野文二郎】1965年11月3日生まれ。イラストレーター。『野球太郎』(廣文堂出版)の表紙において発泡スチロールを削りだした立体イラストを制作。近著に『高田文夫の大衆芸能図鑑』(小学館)がある。

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