第11回
【認知症介護の本】不安で落ち着かないとき
2018.09.25更新
ユマニチュードは、フランスで生まれ、その効果の高さから「まるで魔法」と称される介護技法です。ユマニチュードの哲学では、ケアをするときに「人とは何だろう」と考え続けます。人は、そこに一緒にいる誰かに『あなたは人間ですよ』と認められることによって、人として存在することができるのです。「見る」「話す」「触れる」「立つ」の4つの柱を軸にした「技術」で、相手を尊重したケアを実現します。この連載では、ユマニチュードの考え方と具体的な実践方法を紹介します。
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不安を取り除くための工夫はいろいろあります。
静かな環境で安心できる人と過ごす
外から入ってくる情報が多すぎると混乱するという認知症の特徴を思い出してください。たとえば、来客があった、テレビがつけっぱなし、うるさい環境にいた、緊張する状況にあったというような周囲からの情報が多すぎたと思われる場合は、静かな環境をつくります。
そこで、ご本人が安心できる人と一緒に過ごせればなおよいです。一緒にいる人は、「あなたのことを大切に思っていますよ」とユマニチュードの「見る」「話す」「触れる」技術をたくさん使って、ご本人がそれを理解できるような形で届け続けます。
「手続き記憶」や「感情記憶」を利用して、ご本人が自信を持ってできる作業を一緒にしたり、楽しい思い出について語り合ったりすることは、困ったときにはとても役に立ちます。
◆記憶の機能
出典:ジネスト・マレスコッティ研究所
思い出はケアの貴重な材料
そのためには、介護をするご家族がご本人のことをよく知っておくことが必要です。
折に触れて、ご本人に楽しかった思い出をたずね、それをノートに記録したり、写真を貼っておくとよいでしょう。
この「思い出ノート」は、別のご家族やケアの専門職にとっても、介護をするときのとても大切な情報源になります。
このノートはご本人に関わるすべての方々が「あなたのことを大切に思っています」と伝えることができるようになるための貴重な材料になるのです。
※そのほか、困った状況への対応を書籍で紹介しています。ぜひ手に取ってみてください。
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