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全文完全対照版 老子コンプリート 野中根太郎 訳

第60回

居位第六十

2019.03.01更新

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日本人の精神世界に多大な影響を与えた東洋哲学の古典『老子』。万物の根源「道」を知れば「幸せ」が見えてくる。現代の感覚で読める超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
「もくじ」はこちら

居位第六十

60 大国を治めるのは小魚を煮るようにするとよい

【現代語訳】

大国を治めるのは、小魚を煮るようにするとよい。
「道」に従って無為で天下の政治を行うならば、鬼神もその霊力を現さない。鬼神が霊力を現さないというより、その霊力は人を傷つけないのである。その霊力が人を傷つけないだけでなく、「道」と一体となった聖人もまた人を傷つけないのである。そもそも鬼神も聖人もどちらも人を傷つけないのであるから、その徳(恩恵)はそれぞれ人に集まることになる。

【読み下し文】

大国(たいこく)を治(おさ)むるは、小鮮(しょうせん)(※)を烹(に)るが若(ごと)し。
道(みち)を以(もっ)て天下(てんか)に蒞(のぞ)めば、其(そ)の鬼(き)(※)も神(しん)ならず。其(そ)の鬼(き)の神(しん)(※)ならずに非(あら)ず、其(そ)の神(しん)も人(ひと)を傷(そこな)わず。其(そ)の神(しん)の人(ひと)を傷(そこな)わずに非(あら)ず、聖人(せいじん)も亦(ま)た人(ひと)を傷(そこな)わず。夫(そ)れ両(ふた)つながら(※) 相(あ)い傷(そこな)わず、故(ゆえ)に徳(とく)は交〻(こもごも)焉(これ)に帰(き)す。

  • (※)小鮮……小魚のこと。小魚はうろこをはいだり、かき回したりしないで静かに煮るのがよいとされている。「大国を治むるは、小鮮を烹るが若し」という句は名言の一つとして有名になっている。
  • (※)鬼……鬼神のこと。もともとは死者の霊魂とされたが、広く精霊一般を指すようになった。
  • (※)神……霊妙不可思議な力のこと。
  • (※)両つながら……鬼と聖人と解するのが一般的であるが、人と鬼と解する説もある。

【原文】

居位第六十

治大國若烹小鮮。
以道蒞天下、其鬼不神。非其鬼不神、其神不傷人。非其神不傷人、聖人亦不傷人。夫兩不相傷、故德交歸焉。

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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術-相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(共に誠文堂新光社)などがある。

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