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孫子コンプリート 全文完全対照版 野中根太郎 訳

第39回

112話~114話

2018.03.09更新

読了時間

【 この連載は… 】 「超訳」本では軽すぎる、全文解説本では重すぎる、孫子の全体像を把握しながら通読したい人向け。現代人の心に突き刺さる「一文超訳」と、現代語訳・原文・書き下し文を対照させたオールインワン。

112 五種類の間諜

【現代語訳】

因間とは、敵国の民間人を利用して行うものである。
内間とは、敵国の官史を利用して行うものである。
反間とは、敵国の間諜を味方の間諜として使うことである(逆スパイ)。
死間とは、味方が偽りの行動を実際にし、味方の間諜がそれを真実として敵に知らせるものである。
生間とは、敵国に侵入し、必ず生還して情報をもたらすものである。

【読み下し文】

因間(いんかん)(※)なる者(もの)は、其(そ)の郷人(きょうじん)に因(よ)りてこれを用(もち)う。内間(ないかん)なる者(もの)は、其(そ)の官人(かんじん)に因(よ)りてこれを用(もち)う。反間(はんかん)なる者(もの)は、其(そ)の敵間(てきかん)に因(よ)りてこれを用(もち)う。死間(しかん)(※)なる者(もの)は、誑(きょう)(※) 事(じ)を外(そと)に為(な)し、吾(わ)が間(かん)をしてこれを知(し)らしめて、敵(てき)に伝(つた)うるの間(かん)なり。生間(せいかん)なる者(もの)は、反(かえ)り報(ほう)ずるなり。

  • (※)因間……115話に出てくる「郷間」のこと。本文にある「因間」を「郷間」とする説もある。
  • (※)死間……敵に知らしめ信じ込ませた情報が、後に偽りであったとわかるので殺される可能性が高く、「死間」と呼ばれる。
  • (※)誑……たぶらかす。欺く。

【原文】

因閒者、因其鄕人而用之、內閒者、因其官人而用之、反閒者、因其敵閒而用之、死閒者、爲誑事於外、令吾閒知之、而傳於敵閒也、生閒者、反報也、

113 聖智と仁義によって間諜を使いこなす

【現代語訳】

そこで全軍の中で、君主と将軍においては間諜よりも親しいものはなく、恩賞も間諜に対して最も厚く与えられ、間諜の行うことは最高機密となる。
君主や将軍が非常に優れた知恵の持ち主でなければ間諜を活用することはできない。仁(深くて適確な思いやりのある最高の人格)と義(正しい道理の判断とその貫徹心)の持ち主でなければ、間諜を思い通りにうまく使うことはできない。微妙な部分をよく洞察できないと間諜の情報から真実をつかむことはできない。
何と微妙で、奥深いことであろうか。およそ軍事において間諜が使われないところはないのである。
君主、将軍が推し進めていた間諜活動の情報が漏れる段階でないときに、別の者からそれが知らされたときは、その知らせてきた者と情報を外に漏らした担当間諜には死んでもらうことになる。

【読み下し文】

故(ゆえ)に三軍(さんぐん)の事(こと)、間(かん)より親(した)しきは莫(な)く、賞(しょう)は間(かん)より厚(あつ)きは莫(な)く、事(こと)は間(かん)より密(ひそか)なるは莫(な)し(※)。聖智(せいち)(※)に非(あら)ざれば間(かん)を用(もち)うること能(あた)わず、仁義(じんぎ)に非(あら)ざれば間(かん)を使(つか)うこと能(あた)わず、微妙(びみょう)に非(あら)ざれば間(かん)の実(じつ)を得(う)ること能(あた)わず。微(び)なるかな、微(び)なるかな、間(かん)を用(もち)いざる所(ところ)無(な)し。間事(かんじ)未(いま)だ発(はっ)せずして先(ま)ず聞(き)こゆれば、間(かん)と告(つ)ぐる所(ところ)の者(もの)とは、皆(みな)死(し)す。

  • (※)事は間より密なるは莫し(事莫密於閒)……この原文の「密」を「審」とし、「審(つまび)らかなる」と読む説もある。そうすると「間諜よりことの真相を知っている者はいない」と解釈することになる。
  • (※)聖智……一九七二年に発見された竹簡本にはこの「智」がなく、また後の「仁義」のうち「義」がない。どちらが正しいといえる問題ではないが、「智」も「義」もあったほうがよく意味が通る。なお、「聖」とは非常に優れていること。聡明なこと。聖智は非常に優れた知恵のこと。あるいは聡明な知恵のこと。

【原文】

故三軍之事、莫親於閒、賞莫厚於閒、事莫密於閒、非垩智不能用閒、非仁義不能使閒、非微妙不能得閒之實、微哉微哉、無所不用閒也、閒事未發而先聞者、閒與所吿者、皆死、

114 事前に重要人物の情報を集める

【現代語訳】

およそ攻撃したいと考えている敵軍、攻めたいと考えている城、殺そうと考えている人物については、必ず事前に、守備する将軍、左右の側近、謁見を取り次ぐ者、門番、身のまわりを世話する従者の姓名(人物)を知り、味方の間諜に必ずそれら人物の情報を詳しく調べさせるようにしなければならない。

【読み下し文】

凡(およ)そ軍(ぐん)の撃(う)たんと欲(ほっ)する所(ところ)、城(しろ)の攻(せ)めんと欲(ほっ)する所(ところ)、人(ひと)の殺(ころ)さんと欲(ほっ)する所(ところ)は、必(かなら)ず先(ま)ず其(そ)の守将(しゅしょう)(※)・左右(さゆう)・謁者(えつしゃ)(※)・門者(もんじゃ)・舎人(しゃじん)(※)の姓名(せいめい)を知(し)り、吾(わ)が間(かん)をして必(かなら)ず索(もと)めてこれを知(し)らしむ。

  • (※)守将……守備する将軍のこと。萩生徂徠は城を守る将軍という。
  • (※)謁者……奏者役。謁見(主人への面談)を取り次ぐ者。
  • (※)舎人……家事などの雑務を行う者。身のまわりの世話をする従者。

【原文】

凢軍之所欲擊、城之所欲攻、人之所欲殺、必先知其守將左右謁者門者舍人之姓名、令吾閒必索知之、


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。著書に『超訳孫子の兵法』、『吉田松陰の名言100』、『武士道の名言100』、『真田幸村の凛とした生き方』(以上、アイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術』(誠文堂新光社)などがある。

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