第47回
鑒遠第四十七
2019.02.12更新
日本人の精神世界に多大な影響を与えた東洋哲学の古典『老子』。万物の根源「道」を知れば「幸せ」が見えてくる。現代の感覚で読める超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
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鑒遠第四十七
47 余計なことを知ったり見たりしないほうがいい
【現代語訳】
家を出なくても天下のことはわかり、窓から外を見なくても天の理法はわかる。外に出かけ、遠くに行けば行くほど、本当の知(「道」の理解)は、少なくなる。
だから「道」と一体の聖人は、どこにも行かないで知り、何も見ないですべてがわかり、何もしないですべてを成し遂げる。
【読み下し文】
戸(と)を出(い)でずして天下(てんか)を知(し)り、牖(まど)(※)を闚(うかが)わずして天道(てんどう)(※)を見(み)る。其(そ)の出(い)づること弥〻(いよいよ)遠(とお)ければ、其(そ)の知(し)ること弥〻(いよいよ)少(すく)なし。
是(ここ)を以(もっ)て聖人(せいじん)は、行(い)かずして知(し)り、見(み)ずして名(あき)らか(※)にし、為(な)さずして成(な)す。
- (※)牖……窓のこと。
- (※)天道……天の理法。天の道。運夷第九、任爲第七十三参照。老子の特色は外に向けた自然観察による理解ではなく、内に向けた自己探求によって、真の理解に至るところとされる。
- (※)名らか……文字通りに「名づける」と解する説もないではないが、ほとんどの説の「名」は明のことと解する。なお、『韓非子』の引用句でも「明」となっている。
【原文】
鑒遠第四十七
不出戶、知天下。不闚牖、見天道。其出彌遠、其知彌少。
是以聖人不行而知、不見而名、不爲而成。
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