第43回
徧用第四十三
2019.02.05更新
日本人の精神世界に多大な影響を与えた東洋哲学の古典『老子』。万物の根源「道」を知れば「幸せ」が見えてくる。現代の感覚で読める超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
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徧用第四十三
43 不言の教え、無為の益
【現代語訳】
天下で(世の中で)最も柔らかいもの(水)が、天下で最も堅いもの(金属や岩石)を思い通りに動かす。形のないものが、すき間のないところまで入っていく。
私はこのことから、無為が有益であることを知った。不言の教え(言葉を用いない教え)と無為の益は、天下でそれに匹敵するものはほとんどないのである。
【読み下し文】
天下(てんか)の至柔(しじゅう)(※)は、天下(てんか)の至堅(しけん)(※)を馳騁(ちてい)(※)す。無有(むゆう)(※)は無間(むかん)(※)に入(い)る。
吾(わ)れ是(ここ)を以(もっ)て無為(むい)の益(えき)有(あ)るを知(し)る。不言(ふげん)の教(おし)え、無為(むい)の益(えき)は、天下(てんか)これに及(およ)ぶもの希(まれ)なり。
- (※)至柔……最も柔らかいもの。ここでは、水のことを指す。易性第八、任信第七十八参照。なお、微明第三十六も参照のこと。
- (※)至堅……最も堅いもの。ここでは金属や岩石を指す。
- (※)馳騁……馬を走らせること。ここでは相手を自由に動かすこと。
- (※)無有……形のないもの。
- (※)無間……すき間のないこと。
【原文】
徧用第四十三
天下之至柔、馳騁天下之至堅。無有入無閒。
吾是以知無爲之有益。不言之敎、無爲之益、天下希及之。
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