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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第3回

4話~6話

2016.07.21更新

読了時間

4 毎日反省すべき三つのこと


【現代語訳】

曾子(そうし)(※)は言った。「私は一日に何度も次の三つのことを反省する。人と話していいかげんなことを言わなかったか。友人と接していて信義に欠けるようなことをしなかったか。学んでいて、まだよく身につけていないのに人に教えていないか。こうした反省によって私は日々成長していきたい」。


(※)曾子……孔子の門人。魯の人。孔子より四十六歳若い。書店「三省堂」はこの文章から名付けられた。


【読み下し文】

曾子(そうし)曰(いわ)く、吾(われ)は日(ひ)に三(み)たび吾(わ)が身(み)を省(かえり)みる。人(ひと)の為(ため)に謀(はか)りて忠(ちゅう)ならざるか。朋友(ほうゆう)と交(まじ)わりて信(しん)ならざるか。習(なら)わざるを伝(つた)うるか。


【原文】

曾子曰、吾日三省吾身、爲人謀而不忠乎、與朋友交言而不信乎、傳不習乎、


5 大国を治める方法


【現代語訳】

孔子先生はおっしゃった。「大国を治めるには、次のことを守らなくてはいけない。事業は慎重に行い、しかも国民の信頼を得て行わなければならない。無駄な経費を削減し、また、国民を大切にしなければならない。そして、事を進める際には国民の仕事や日常生活をじゃましたり、支障にならない時期を選ぶべきである」。


【読み下し文】

子曰く、千乗(せんじょう)の国(くに)を道(おさ)むるには、事(こと)を敬(つつし)みて信(しん)あり、用(よう)を節(せっ)して人(ひと)を愛(あい)し、民(たみ)を使(つか)うに時を以(もっ)ってす。


【原文】

子曰、道千乘之國、敬事而信、節用而愛人、使民以時、


6 人と誠実につき合い、余力があれば教養を高めよ


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「若い時は、家庭では親孝行に努め、外に出たら奉仕することを心がけるべきだ。人と接する際には軽はずみなことをせず、約束をきちんと守るなど信義に厚くなければならない。多くの人々と懇意に接すべきだが、とくに仁のある誠実な人格者と親しくつき合わなくてはならない。以上を実践できたうえで、まだ余力があれば文芸などで教養を高めるとよい」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、弟子(ていし)、入(い)りては則(すなわ)ち孝(こう)、出(い)でては則(すなわ)ち悌(てい)、謹(つつし)みて信(しん)あり、汎(ひろ)く衆(しゅう)を愛(あい)して仁(じん)に親(した)しみ、行(おこな)って餘(よ)力(りょく)あれば則(すなわ)ち以(もっ)って文(ぶん)(※)を学(まな)べ。


(※)文……詩、書、礼、楽などの教養。文芸はとても重要であるが、まずは基本をやってからと孔子は考える。


【原文】

子曰、弟子入則孝、出則弟、謹而信、汎愛衆而親仁、行有餘力、則以學文、

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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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