Facebook
Twitter
RSS
論語 全文完全対照版 野中根太郎

第193回

486話~488話

2017.05.02更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

486 外面を飾りすぎる人は仲間ができにくい


【現代語訳】

曾子(そうし)は言った。「堂々としたもんだなあ、子張は。しかし、高ぶって外面を飾るところがあるので、一緒に修養して仁を進めようとは思わない」。


【読み下し文】

曾子(そうし)曰(いわ)く、堂堂(どうどう)(※)たるかな、張(ちょう)や。与(とも)に並(なら)んで仁(じん)を為(な)し難(がた)し。


(※)堂堂……容貌の立派なこと。


【原文】

曾子曰、堂堂乎張也、難與竝爲仁矣、


487 人はなかなか自分の真情を出さない


【現代語訳】

曾子(そうし)は言った。「私は孔子先生から次のようなことをお聞きしたことがある。人が自分の真情を出し尽くすということは、めったにあるものではない。あるとすれば親の喪の場合であろう」。


【読み下し文】

曾子(そうし)曰(いわ)く、吾(われ)は諸(これ)を夫子(ふうし)に聞(き)く。人(ひと)未(いま)だ自(みずか)ら致(いた)す者(もの)有(あ)らざるなり。必(かなら)ずや親(おや)の喪(も)か。


【原文】

曾子曰、吾聞諸夫子、人未有自致者也、必也親喪乎、


488 父の臣を用い、父の方針を守るというのは、なかなか難しい


【現代語訳】

曾子は言った。「私は次のようなことを孔子先生からお聞きしたことがある。孟荘子の親孝行において、他のことはまねもできようが、その父親の臣をそのまま召し使い、父親の治め方を改めなかったというのは、誰もがなし得ることではない」。


【読み下し文】

曾子(そうし)曰(いわ)く、吾(われ)は諸(これ)を夫子(ふうし)に聞(き)けり。孟荘子(もうそうし)(※)の孝(こう)や、其(そ)の他(た)は能(よ)くすべきなり。其(そ)の父(ちち)(※)の臣(しん)と父(ちち)の政(まつりごと)とを改(あらた)めざるは、是(これ)れ能(よ)くし難(がた)きなり。


(※)孟荘子……魯の大夫。名は速。荘子は諡。

(※)父……孟荘子の父で、孟献子。魯の賢大夫であった。


【原文】

曾子曰、吾聞諸夫子、孟莊子之孝也、其他可能也、其不改父之臣與父之政、是難能也、



【単行本好評発売中!】この連載が本になりました。全国書店もしくはネット書店にてご購入ください。

この本を購入する
シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

矢印