第3回
ハローワークの求人票の現実。だから欲しい人は集まらない
2018.05.31更新
【この連載は…】未曽有の「売り手市場」時代に、お金をかけずに“欲しい人材”の獲得に成功している中小企業がある。誰もが見落としていた「新しい採用戦略」とは何か? 日本唯一の「ハローワーク求人専門社労士」が教える、0円で優秀な人材を採用するハローワーク徹底活用術!
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ハローワークの利用者は、1日なんと17万人
2018年3月の有効求人倍率(季節調整値)は1・59倍となっており、求人があっても職種や年齢などで条件が合わない「ミスマッチ失業」は3%程度とされていることから、現在は「完全雇用」状態といえます。
この1年間で、ハローワークの窓口に行かれた方はいらっしゃいますか? ひと昔前までは、人であふれていました。リーマン・ショックのころなどは、中に入れないくらいの人でしたし、求人情報端末も名前を書いて順番を待っていたほどです。ところが最近はハローワークに行ってもガランとしています。そんな状況でもハローワークの利用者はどれぐらいいるかご存知ですか? 1日なんと17万人もいるというのですから驚きです((図1-1)厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」【平成29年7月発表】)。
図1-1 ハローワークにおける職業紹介実績
出典:厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績 」(平成29年7月発表)
もちろん、この人数には求職者以外の方も含まれていますし、皆さんが事業を営む地域でどれぐらいの利用者がいるのかは、最寄りのハローワークで確認が必要です。ともあれ、この後ご紹介させていただきますが、ハローワークで求人を出せば全国のハローワークの窓口だけでなく、インターネット上でも公開されることになりますので、毎日17万人以上の利用者に告知できる可能性が広がっているのです。
毎年、ハローワークにおける職業紹介実績が公表されていますが、平成28年度の新規求職者数は、少なくなってきてるとはいえ518万9000人で、就職件数は162万7000人。求人件数、会員数ともにトップクラスの転職サイト「リクナビNEXT」は、リクルート社の発表によると会員数が701万人(2017年4月末現在)とありますので、ハローワークの求職者数は一民間企業より少ないように見えます。
しかし、リクナビNEXTはインターネット上だけで登録ができ、一方、ハローワークの場合は、ハローワークの窓口に直接足を運んで、手書きで「求職申込書」を書く必要があること、さらに、ハローワークは年間の新規求職者であるのに対して、リクナビNEXTはサービス開始(2001年)からの累計会員数であることを鑑みますと、単純に比較することはできません。
ハローワークの年間就職件数が162万7000人とご紹介しましたが、この数字も多いのか少ないのかわかりづらいと思いますので、少し古いデータ(図1-2)となりますがご紹介します。
図1-2 入職者の入職経路(転職ルート)
(高まる入職者のハローワーク経由率)
〇 入職者の入職経路の構成比をみると、2010年で最も高いのは「広告」(29.2%)で約3割を占めるが、その割合は2000年代前半より低下している。一方で最近では、「その他」(商工会議所、地方公共団体の広報又は地方公共団体の職業紹介等も含む)と「ハローワークインターネットサービス」の割合が上昇している。「ハローワーク」経由は、2000年以降2割前後で推移しており、「ハローワークインターネットサービス」を合わせたハローワーク利用の入職者は2010年には26.2%となった。
〇 転職入職者の入職経路についても、2010年で「広告」(27.4%)が最も高いものの、「ハローワーク」(24.1%)と「ハローワークインターネットサービス」(4.8%)を合わせたハローワークの利用は28.9%となっている。
〇 転職入職者で入職者全体よりもハローワークが利用される要因としては、前職がある者には雇用保険受給者が多いことが考えられる。ハローワークの就職件数が伸びていること等も併せ、ハローワークの労働力需給調整機関としての機能は、近年は少しずつ高まってきている。
出典:厚生労働省「雇用動向調査」
これは就職先への入職経路を表していますが、ハローワークは就職者数のおよそ2割となっています。「たった2割か」ということもできますが、他社がまだ対策を打っていない手つかずの2割です。162万7000人に対して、他社に先んじて手を打つことができるのは価値があると思いませんか?
ハローワークの求人票の現実。だから欲しい人は集まらない
ここまでのお話だけでも、「ハローワークって意外と使えるかも?」って思っていただけたかもしれません。
ただ、皆さん、ハローワークで他社の求人票をご覧になったことはありますか?なぜこのような質問をしたかといいますと、他社の求人票どころか、ハローワークの求人票を一度も見たことがない、ということもよくあるからです。
民間企業が作成する求人広告とは違い、求人申込書などに記入してハローワークの求人票を作成するのは、あくまで各事業所なのです。しかし、その事業所の担当者が、地域の同業他社の求人票、条件はどのようになっているのか、ハローワークの求人票が、そしてハローワークでの求人の仕組みがどのようになっているのかを知らずに戦っていることが多いのが現状です。
極端な話ではなく、必要最低限の情報だけを記載した(図1-3)のような求人票がハローワークにはあふれています。
皆さま方の事業所が、誰もが知るような会社であれば、もしかしたらそれでも問題ないかもしれません。ただ残念ながら、「誰もが知るような会社」のほうが、得てして丁寧に魅力的な求人票を作っているものです。人が集まる事業所とそうでない事業所の二極化はこうして広がっていくのかもしれません。
図1-3 必要最低限の情報が記載されたよくあるハローワークの求人票
出典:ハローワーク
この本の構成
はじめに
第1章 ハローワークだからこそ、欲しい人材は採用できる
第2章 初めてハローワークで求人を出す人のための基礎知識
第3章 無料でここまでできる!ハローワーク求人の仕組み
第4章 欲しい人材を引き寄せるハローワーク求人票の書き方
第5章 ハローワーク採用の絶対法則
第6章 他社と圧倒的微差を作る13のポイント
おわりに
【単行本好評発売中!】
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