第4回
ハローワークでも経営幹部や高度専門職が採用できる
2018.06.04更新
【この連載は…】未曽有の「売り手市場」時代に、お金をかけずに“欲しい人材”の獲得に成功している中小企業がある。誰もが見落としていた「新しい採用戦略」とは何か? 日本唯一の「ハローワーク求人専門社労士」が教える、0円で優秀な人材を採用するハローワーク徹底活用術!
「目次」はこちら
ハローワークでも経営幹部や高度専門職が採用できる
本章(第1章)の最初に、一流のビジネスパーソンも必ずハローワークに登録する、ということを紹介させていただきました。このような意味からも、ハローワークでも経営幹部は採用できる可能性があるといえます。
ただ、中小企業にとって大手企業を経験したような「一流のビジネスパーソン」が果たして、自社にとって本当に有益な人材なのかは検討が必要です。大手企業出身者という肩書だけでは、中小企業で期待通りの成果を上げられずにつまずいてしまうケースがあることは、私だけでなく、皆さんも感じていられることでしょう。
現在の経営幹部の入社経路を聞いてみると、ハローワーク経由で、入社時は業界未経験者だったということが中小企業ではよくあることです。つまり、経験者=即戦力ということでも、未経験者≠未来の経営幹部というわけでもなく、採用と育成はセットで考えることが、特に中小企業では求められています。
それではハローワークで高度専門職の方の採用はどうでしょうか? 結論から申し上げれば、薬剤師や建築士のような職種の方もハローワークで採用できます。実際に採用できています。確かにこれらの高度専門職のほうが、ハローワークで仕事探しをする方は限定的かもしれませんが、だからといって、まったくいないというわけでもありません。例えば、次の表(図1-4)にて、医師、薬剤師等で見てみましょう(「医師」は求人・求職者ともにほとんどないので、ここでは「薬剤師」とする)。
図1-4 愛知県におけるハローワークでの薬剤師の就職件数
出典:愛知労働局 求人求職バランスシート(平成30年3月分)
表には就職件数9件という実績が上がっています。有効求人倍率も5・01と、決して低い数字ではありませんが、ハローワークを通じて薬剤師が求職活動を行っています。資格試験の「記念受験」の方が多いように、ハローワークの求人票にそれほど対策をしていない企業は非常に多く、実質的な求人倍率はもっと低いと考えれば、なおさらです。
以前、薬剤師の採用のお手伝いをしていた際に、あるハローワークで薬剤師の求職者数を調べてみたことがありました。すると男性の求職者はいませんでしたが、女性の求職者は3名いることがわかりました。求人申込をした後に職業紹介窓口の職員の方にお話をしたところ、この3名のうちの1名の方の支援をしていることがわかり、後日紹介していただくことができました。
このように薬剤師のような専門職の方もハローワークに登録されているのです。実際にはハローワークインターネットサービス等を通じて、この何倍かの方が探していると考えるだけで、採用できそうな気分にもなってきます。
他社がハローワークの価値に気づく前の、今こそチャンス
実は、先に挙げたような専門職のほうが、採用に成功するのではないかと思うことがあります。それはなぜかといいますと、ハローワークにおいては専門職の求人票のほうが「手つかず」の場合が多いのです。
その理由は、以下のようなものが考えられます。
- ・そもそもハローワークで採用できるとは期待していないので、対策を取っていない企業が多い。
- ・専門職を採用する事業所(士業事務所や設計事務所など)は小規模の場合が多く、採用担当者などもいないため、求人票の内容を精査することも少なく、事務の方が指示を受けた必要最低限の情報と条件を記載しているだけの求人票が多い。
専門職を例に挙げましたが、その他多くの業種・職種の求人票も同様に対策が取られていません。特に人材不足が深刻で、その対策に最も力を入れているはずの医療・福祉や不動産・建設・設備業界においても同じなのです。
ハローワークにおける求人の仕組みやハローワークの求人票がまさに「ブラックボックス」のようにその仕組みがわからず、対策を打つことができていないのです。
次章から、このブラックボックスの中身をひとつひとつ解明していくことにします。
この本の構成
はじめに
第1章 ハローワークだからこそ、欲しい人材は採用できる
第2章 初めてハローワークで求人を出す人のための基礎知識
第3章 無料でここまでできる!ハローワーク求人の仕組み
第4章 欲しい人材を引き寄せるハローワーク求人票の書き方
第5章 ハローワーク採用の絶対法則
第6章 他社と圧倒的微差を作る13のポイント
おわりに
【単行本好評発売中!】
この本を購入する
感想を書く