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「売り手市場」時代の 新しい採用戦略 ハローワーク採用の絶対法則

第16回

ハローワークを使えば、実は新卒(大学生・高校生)は無料で採用できる(下)

2018.07.17更新

読了時間

【この連載は…】未曽有の「売り手市場」時代に、お金をかけずに“欲しい人材”の獲得に成功している中小企業がある。誰もが見落としていた「新しい採用戦略」とは何か? 日本唯一の「ハローワーク求人専門社労士」が教える、0円で優秀な人材を採用するハローワーク徹底活用術!
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(前回の続き)

4.高卒採用の基本ルール

 高卒採用では、何よりも生徒の学内活動優先の制度・ルールが作られています。初めて高卒採用を行うという企業は、特にその制度・ルールを理解した上で遵守していただくことが採用への近道となります。ハローワーク主催の『新規学卒求人申込説明会』に参加した上で、不明な点は管轄のハローワークにご確認ください。以下に高卒採用の基本ルールを書きますので、参考にしてみてください。

・ハローワークを通して求人票を発行。

・求人票は公開求人(全国の高校へWeb公開)と指定校求人のいずれかを選ぶ。

・採用試験の開始日は毎年9月16日。

・高校生は学校推薦を通して応募してくる。

・高校生は1人1社しか受験できない(大学生のように複数同時応募ができない)。
※地域によって複数応募が可能となる開始時期が異なります。多くの地域は11月1日からとなります。

5.高校生の採用までの手順

 高卒採用では、求人活動による授業や学校生活への影響を最小限に抑えるために、採用スケジュールが定まっていると先にお伝えしました。具体的には、以下のような流れで進んでいくことになりますが、これは大卒採用とは大きく異なる点といえます。

(1)ハローワーク主催の『新規学卒求人申込説明会』に参加する(5月中旬から随時)

・参加は必須ではありませんが、初めて高卒採用を行う場合は参加することをおすすめします。

・新たな法の施行や改正などがある場合は、その説明も行われます。

・日程や参加方法はハローワークのホームページ等で告知されます。

 ↓

(2)ハローワークに【求人申込書(高卒)】を提出する

・求人申込書(高卒)の4枚のシートに必要事項を記入して提出する。

・求人申込書の書式が一般求人とも大卒求人とも異なります。

・7月1日からの学校への求人申込、学校訪問に間に合うかどうか逆算して提出する。管轄のハローワークで事前に日程を確認して、早めの提出をおすすめします。

 ↓

(3)ハローワークが求人票を受理し、発行する

・発行された求人票はハローワークの確認印を押された上で毎年7月1日から企業に返戻されます。

 ↓

(4)発行された求人票のコピーを高校に郵送or持参する(7月1日以降から)

・郵送する内容:送付状、求人票(表裏と青少年雇用情報)。

・高校生にもわかりやすい仕事紹介のパンフレットやチラシがあれば同封する。

・応募前職場見学の日時が決まっていれば「応募前職場見学実施予定表」も送る。

・なるべく7月15日より前に高校に届くように送る。

・可能な限り郵送よりも、持参して高校を訪問するほうが良い。

 ↓

(5)応募前職場見学を受け入れる(受け入れ可とした企業のみ)

・応募前職場見学とは……応募書類を発送する前に受験先決定の参考とするため、高校生が実際に職場を見学すること。

・事前選考にならないよう配慮が必要。

 ↓

(6)応募書類の到着(毎年9月5日〈沖縄県は8月30日〉から随時発送)

・企業は生徒からの応募書類の到着を待つしかない。

 ↓

(7)試験日時を決定し、学校に通知する

・採用試験は毎年9月16日解禁。

・書面にて通知する。

・電話連絡をした場合も、FAXもしくは郵送での通知も行う。

 以上が一連の流れとなります。
 なお、参考資料として「高卒求人票の例」(図3-10)を掲載しますので、あわせてご確認ください。

図3-10 高卒求人票の例

出典:平成29年度 新規学校卒業予定者の求人・募集の手引き~公正な採用選考のために~

6.発行された求人票のコピーをできるだけ早く高校に届けたほうが良い理由とは?

「高校生の応募は9月5日からで、採用選考も9月16日以降だから、求人は急がなくても大丈夫」と考えるのは早計です。なぜなら高校生が応募先を考える最初の時点で求人票が学校に届いている必要があるからです。
 それでは高校生が応募先を考える最初の時点がいつかといえば、1学期の終業式ごろ、つまり7月第3週ごろとなります。なぜなら7月1日ごろから、学校に届けられた各社の求人票を、学校が就職希望の生徒に本格的に求人票を見せ始める時期だからです。さらに言えば、学校に届けられた求人票は学校側で一覧表を作成して生徒に配布するのが一般的です。先生方が一覧表を作成する時間も考慮すると、遅くとも7月15日までには学校に届けていたいものです。

7.高卒の新卒採用にかかる費用は0円!?

 学生の売り手市場の続く採用活動の傾向として、大手をはじめ高卒採用にも力を入れ始めた企業が増えてきています。特にこれから初めて高校生の採用活動を行おうとお考えの中小企業は、戦略的、継続的に取り組む覚悟が必要です。今までご紹介してきた通り、高卒採用には一般求人や大卒求人にはない制度やルールがありますが、それを補うだけの魅力があります。以下の2点は、その最たるものといえます。

(1)会社の将来を担う若い人材の採用が可能

 なんといっても新規高卒の最大の強みは若さです。18歳で卒業するので、若いうちから社会人としてのマナーだけでなく会社の理念の浸透にも欠かせない人材となることでしょう。

(2)求人に費用がかからない

 地域のハローワークと高校が主体となって採用活動を行う高卒採用は、媒体掲載費などまったく費用がかかりません。極端に言えば、ハローワークにて作成した求人票を各学校へ持参するだけなので、高卒の新規採用のノウハウを身に付けることができれば、企業にとってかけがえのない財産となることでしょう。

「目次」はこちら

この本の構成

はじめに
第1章 ハローワークだからこそ、欲しい人材は採用できる
第2章 初めてハローワークで求人を出す人のための基礎知識
第3章 無料でここまでできる!ハローワーク求人の仕組み
第4章 欲しい人材を引き寄せるハローワーク求人票の書き方
第5章 ハローワーク採用の絶対法則
第6章 他社と圧倒的微差を作る13のポイント
おわりに

【単行本好評発売中!】

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著者

五十川将史

日本唯一のハローワーク求人専門社会保険労務士。ウエルズ社会保険労務士事務所代表。1977年、岐阜県生まれ。明治大学卒。大手食品スーパー店長、民間企業の人事担当者、ハローワーク勤務を経て、社労士の資格を取得し、独立。税理士会、金融機関、商工会議所、地域産業支援機関、日本FP協会等に向けた講演・セミナー・研修を年間60回超、受講者は3000名を超える。

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