Facebook
Twitter
RSS

第11回

目指すのは「知仁勇」

2019.08.08更新

読了時間

齋藤孝先生の最新刊は「頭のよさ」の本! 6月5日発売!「頭がいい」とは脳の「状態」なのです。頭のはたらきがいいときは、目の前の問題が簡単に解決できるし、未来を楽しく創り出していくことができる。すっきりと気分もいい。そんな状態のときをどんどん増やしていくにはどうしたらいいか?本書で詳しく解説します。
「目次」はこちら

 先読みができる力とは、どんなものか。
 たとえば、クイズ番組を観ていると、まだ問題を全部聞き終わっていないのに、答えを推理してすばやくボタンを押し、みごと的中させることがあるでしょう?
 あれは、まさに「先読みの力」です。
 知識が断片的な雑学としてあるのではなくて、つなげて考える力があるから、あれができるんです。
「この文章に続くのは、きっとこういう質問だ」
 知識を土台にしながら、クイズ問題の文脈を読みとって予測している。それが「先を読む力」になって瞬時に発揮されているんです。
 ただし、クイズ問題で先を読む練習をたくさんしている人が、自分の人生という現実問題に対しても同じように力を発揮できるかどうかは、またちょっと別です。

 ぼくは、現実において「先が読める」ことは、本当の頭のよさの重要な要素だと思っています。
 今後のなりゆきがどうなるかを前もって見通せることを、「先見の明」と言います。先を見すえる眼をもつことが大事なんです。
 それには、いま自分がいるところと、何年後かの自分というものを見すえて、それぞれの点を一本の線につなげていかないといけません。
「いま、楽ができるかどうか」といったことだけで、ものごとを判断してはダメです。目先の感情に流されずに、先のことを考える習慣をつけましょう。
 さらに、頭をよくしていくためには、志と情熱が大切です。熱い思いをもって、取りくむ。「なんとしてもやりとげたい!」という強い思いがある人は「いま何をすればいいのか」を真剣に考えることができるからです。
 本当の知力・知性とは、知識のあることだけではありません。「知(判断力)」「仁 (誠意)」「勇(行動力)」の3要素がそろっているか、です。
 知──知識があるだけでなく、大事な本質をとらえた判断ができるか。
 仁──人に対して、誠意、思いやりをもった対応ができるか。 
 勇──実際に行動を起こすパワー、勇気があるか。
「知仁勇」をそなえるには、志と情熱が必要なのです。

 第1の格言

 本当の頭の良さは

「知(判断力)」「仁(誠意)」「勇(行動力)」でつくられる。


 

 本連載は今回で終了となります。続きは書籍でお楽しみください。
 ご愛読ありがとうございました。
「目次」はこちら

 

【単行本好評発売中!】

この本を購入する

シェア

Share

著者

齋藤 孝

1960年静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)などベストセラーも多数。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。

矢印