第4回
【歌舞伎を見る前に】4.歌舞伎の音
2017.10.17更新
歌舞伎を見る前に知っておきたい基礎知識として演目の種類や独特な演出の仕方から、上演頻度の高い人気演目のあらすじと鑑賞ポイントを、マンガでじっくりと解説します。
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歌舞伎音楽の歴史
江戸時代前期、歌舞伎舞踊の音楽として長唄が登場。歌舞伎舞踊は女方が中心だったが、江戸中期になると立役も演じるようになり、常磐津の舞踊劇が流行する。江戸後期には清元が誕生し人気を得た。 竹本は「義太夫節(ぎだゆうぶし)」と言われ、人形浄瑠璃の音楽として江戸時代初期に誕生。歌舞伎では竹本とも呼ばれ、義太夫狂言以外にも舞踊の音楽として演奏される場合もある。
演奏する場所が決まっている
長唄連中(連中は演奏者のこと)は正面の雛壇か、下手(舞台向かって左)の「黒御簾(くろみす)」と呼ばれるスペースに隠れて演奏する。太夫と三味線による二人編成の竹本は、上手(舞台に向かって右)の「ぶん回し(回転扉)」か、その上の「床」と呼ばれるスペースに隠れて演奏する。常磐津と清元は舞台下手に位置することが多い。観客に見えるところで演奏するのを、長唄連中では「出囃子(でばやし) 」、語り物の場合は「出語(でがたり)」と言う。
複数の音楽を一緒に演奏する演目もある
それぞれの音楽が単独で演奏されることが多いが、二、三種類の音楽をともに演奏する「掛合(かけあい)」という形式もある。例えば『身みがわりざぜん替座禅』は長唄と常磐津、『紅葉狩(もみじがり)』は長唄、竹本、清元の三方掛合。
その他の音楽
勇壮な旋律の「大薩摩節(おおだつまぶし)」は『矢の根』『山門』などで演奏される。唄方と三味線方が立ったまま演奏する様子が、迫力があって印象的。浄瑠璃の一派だったが長唄に吸収された。浄瑠璃の一派「河東節(かとうぶし)」は、市川團十郎家が『助六』を演じる時だけ、演奏される。
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