Facebook
Twitter
RSS
論語 全文完全対照版 野中根太郎

第168回

435話~437話

2017.03.28更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

435 人は学ぶことで大きく差がつく


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「人間は生まれ持った本性、才能に大きな差はない。ただ、生まれてからの教育(習慣、教養など)で大きな差が出る」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、性(せい)、相近(あいちか)し、習(なら)いて相遠(あいとお)し。


【原文】

子曰、性相近也、習相遠也、


436 学ばない人は変わりようがない


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「人は生まれつきの本性と才能自体に大して差はないが、教育、学習で違いが出る。ただ生まれながらに道を知る聖人と困っても学んで向上しようとしない者は、移り変わりようがない」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、唯(た)だ上知(じょうち)(※)と下愚(かぐ)(※)とは移(うつ)らず。


(※)上知……生まれながらに道を知っている聖人。

(※)下愚……困っても苦しんでも学ぼうとしない者。


【原文】

子曰、唯上知與下愚不移、


437 正論は素直に認める度量を持つことも必要


【現代語訳】

孔子先生が、子游(しゆう)が長官をしている武城に行かれた。いたるところで琴の音が聞こえ、雅楽を楽しむ声が聞こえた。先生は、子游が礼楽の教えをもってこの武城という小さな町を治めているのを知ってうれしかった。先生は笑顔で、「鶏にわとりを料理するのに大きな牛を切るための包丁を使うのはどうだろうか(小さな町を治めるのに、子游ほどの力量はもったいないとのたとえ)」と言われた。

子游はまじめにとらえて答えた。「昔、私は先生から教わったことがあります。上に立つ君子が道を学ぶと人々を愛するようになり、人々が道を学べば、政治はうまくいくようになる、と」。

これを聞いて先生は、(言い訳をすることもなく)言われた。「みんなもわかっているだろうが、偃(えん)(子游)の言う通りだ。先ほどの私の言葉はからかっただけだ」。


【読み下し文】

子(し)、武城(ぶじょう)に之(ゆ)き、弦歌(げんか)の声(こえ)を聞(き)く。夫子(ふうし)、莞爾(かんじ)(※)として笑(わら)いて曰(いわ)く、雞(にわとり)を割(さ)くに、焉(いずく)んぞ牛刀(ぎゅうとう)を用(もち)いん。子游(しゆう)対(こた)えて曰(いわ)く、昔者(むかし)偃(えん)(※)や、諸(これ)を夫子(ふうし)に聞(き)く。曰(いわ)く、君子(くんし)道(みち)を学(まな)べば則(すなわ)ち人(ひと)を愛(あい)し、小人(しょうじん)道(みち)を学(まな)べば則(すなわ)ち使(つか)い易(やす)し、と。子(し)曰(いわ)く、二三子(にさんし)、偃(えん)の言(げん)是(ぜ)なり。前言(ぜんげん)は之(これ)に戯(たわむ)れしのみ。


(※)莞爾……にっこりと笑う。

(※)偃……子游の名。


【原文】

子之武城、聞弦歌之聲、夫子莞爾而笑曰、割雞焉用牛刀、子游對曰、昔者偃也、聞諸夫子、曰、君子學衜則愛人、小人學衜則易使也、子曰、二三子、偃之言是也、歬言戲之耳、


【単行本好評発売中!】この連載が本になりました。全国書店もしくはネット書店にてご購入ください。

この本を購入する
シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

矢印