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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第171回

441話

2017.03.31更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

441 学問をしないと徳も害となる


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「由(子路)よ。お前は六つの徳のおおわれている弊害について聞いたことがあるか」。

子路は立って答えた。「いいえ。まだ聞いたことがありません」。

先生は言われた。「まあ、座りなさい。話をしてあげよう。(一)仁を好んでも学問を好まないと、その害として情に溺れて愚かになる。(二)知を好んでも学問を好まないと、博学をほこって高遠になり、わけがわからなくなる。(三)信を好んで学を好まないと、その害としてかたくなになりすぎ、人を傷つけることになる。(四)直であること(正直、まっすぐ)を好んでも学を好まないと、その害として窮屈になって孤立することになる。(五)勇を好んでも学を好まないと、その害として乱暴になる。(六)剛を好んでも学を好まないと、その害として自分勝手なでたらめを行うことになる」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、由(ゆう)や、女(なんじ)は、六言(りくげん)(※)六蔽(りくへい)(※)を聞(き)けるか。対(こた)えて曰(いわ)く、未(いま)だし。居(お)れ、吾(われ)、女(なんじ)に語(つ)げん。仁(じん)を好(この)みて学(がく)を好(この)まざれば、其(そ)の蔽(へい)や愚(ぐ)。知(ち)を好(この)みて学(がく)を好(この)まざれば、其(そ)の蔽(へい)や蕩(とう)(※)。信(しん)を好(この)みて学(がく)を好(この)まざれば、其(そ)の蔽(へい)や賊(ぞく)(※)。直(ちょく)を好(この)みて学(がく)を好(この)まざれば、其(そ)の蔽(へい)や絞(こう)(※)。勇(ゆう)を好(この)みて学(がく)を好(この)まざれば、其(そ)の蔽(へい)や乱(らん)。剛(ごう)を好(この)みて学(がく)を好(この)まざれば、其(そ)の蔽(へい)や狂(きょう)(※)なり。


(※)六言……六つの話。仁、知、信、真、勇、剛のことをいう。

(※)六蔽……六つのおおわれている暗黒面。愚、蕩、賊、絞、乱、狂のことをいう。

(※)蕩……乱れる。わけがわからなくなる。

(※)賊……そこなう。害する。

(※)絞……首を絞められるような状態を指し、窮屈の意。厳しすぎて人情を失わせる。

(※)狂……軽挙妄動する。自分勝手なことをする。


【原文】

子曰、由女聞六言六蔽矣乎、對曰、未也、居、吾語女、好仁不好學、其蔽也愚、好知不好學、其蔽也蕩、好信不好學、其蔽也賊、好直不好學、其蔽也絞、好勈不好學、其蔽也亂、好剛不好學、其蔽也狂、


*441話が長文のため、今回は1話のみの掲載となります。


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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