Facebook
Twitter
RSS
論語 全文完全対照版 野中根太郎

第53回

148話~150話

2016.10.06更新

読了時間

述而(じゅつじ)第七

148 古典、歴史に学ぶことで今に役立つものが出てくる


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「私は昔から伝わる古典や歴史に学び、それを基本として述べているのであって、何もすべて自分で創作しているのではない。殷(いん)の時代に古典、歴史好きの老彭(ろうほう)(※)という賢人がいたというが、私もそのような人になりたいとひそかに願っているのだ」。


(※)老彭……いろいろな説があるが、殷王朝の賢大夫とするのが有力。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、述(の)べて作(つく)らず、信(しん)じて古(いにしえ)を好(この)む。ひそかに我(わ)が老彭(ろうほう)に比(ひ)す。


【原文】

子曰、述而不作、信而好古、竊比於我老彭、


149 学ぶことと教えることはあきない


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「わかったことを口に出して人に言いふらすこともなく、学ぶことをいやに思うこともない。そして、人に合った教えをあきずに与え続けることができる。これくらいが私のとりえである」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、黙(もく)してこれを識(しる)し、学(まな)びて厭(いと)わず、人を誨(おし)えて倦(う)まず。我(われ)に於(お)いて何(なに)かあらんや。


【原文】

子曰、默而識之、學而不厭、誨人不倦、何有於我哉、


150 いつも自分を省みる基準を持ちたい


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「道徳が身につかなくなっていないか、勉強と学問がとどこおっているのではないか、正しいことを聞いても実践できないのではないか、よくないことと気づいているのに改められないのではないか、この四つのことをいつも自戒している」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、徳(とく)の修(おさ)めざる、学(がく)の講(こう)ぜざる、義(ぎ)を聞(き)きて徙(うつ)る能(あた)わざる、不善(ふぜん)の改(あらた)むる能(あた)わざる、是(こ)れ吾(わ)が憂(うれ)えなり。


【原文】

子曰、徳之不脩也、學之不講也、聞義不能徙也、不善不能改也、是吾憂也、

シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

矢印