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イヤな気分をパっと手放す「自分思考」のすすめ 他人にも感情にも振り回されない方法 元自衛隊の臨床心理士 玉川真理

第1回

くだらないことでもいいからとにかくやってみる

2017.06.27更新

読了時間

自衛隊初の現場の臨床心理士として、トップの利用率と9割の復職成功率を誇り、これまで3万人以上の心を解放してきた玉川真里氏が、落ち込みから立ち直るメソッドをわかりやすく紹介します。
「目次」はこちら

 

くだらないことでもいいから、とにかくやってみる

落ち込みから抜け出せない……イヤだ……逃げたい!

そんなイヤな気分のとき、私たちの心の視野はとても狭くなっています。いろいろなものが見えなくなっています。

もし、今のあなたが逃げることで頭がいっぱいだったり、小さな幸せすら感じられなくなっていたら、「自分は何かにとらわれているのでは?」と疑ってください。

それは他者かもしれないし、病気かもしれない。今の環境かもしれません。 

いずれにしても、自分が何かにとらわれていることに気づかないと、そこから解放される道は見つからないのです。

多くの人はそれがわかっています。でも、立ち向かう勇気がなかったり、エネルギーをそれ以上使いたくないという理由で、それを避けています。

それでも泣き言は言うし、人に相談したりもします。彼ら、彼女らと向き合っていると、「誰かが悪い」「何かが悪い」という話がどんどん出てきて、「あなたはかわいそうと言ってほしい」……そういう感じなのです。

SNSなどで、私のアカウントに「死にます」とコメントしたり、メッセージを送ってくる人もいます。

私に向かってそう書いてくるのは、何かコメントがほしいからです。薄々でも、「この人なら助けてくれるかもしれない」といった期待があるからでしょう。あるいは、「あなたに何とかできるなら、してみてよ」というような、挑戦の意味でやっているかもしれません。

どのみち、私とのやりとりで何らかの変化や刺激があるのではないかと、どこかで想定しながらやっているのでしょう。

でも、おそらく死に向かって一直線に進んでいく人は、誰かに「死にます」と連絡することはないし、そういうそぶりもほとんど見せないでしょう。

つまり、ほとんどの人は、心のどこかで「どうにかしてほしい、どうにかなりたい」と思っているのです。

それだったら、どんなことでも、くだらないと思えることでもやってみることです。そこで必ずなにか気づきがあります。

苦しい体験を、どれだけ成長の糧にするか

私個人の話をさせていただくと、「気づき」は得意分野です。

この春、インフルエンザにかかってとても苦しい思いをしました。

寝ているだけでも体が痛いし、でも起きられないし、満足にしゃべることもできない。安静にしている以外どうしようもない状態でしたが、じっとしていれば回復が早いのかというと、そうでもありません。

そこで、足をバタバタさせたり、「あー」とか「うー」とか言ってみました。

そうしたら、声を出し続けるとけっこう気がまぎれるのを発見しました。同じ苦しい時間ですが、ずっと黙って耐えているよりはましでした。

たぶん、自分の意識が声を出すことや足の動きに向けられるので、その時間は苦しさが緩和されているような気がしたのでしょう。

プラセボ効果も試してみました。

ご存じの方も多いでしょうが、プラセボ効果とは、痛み止めだと思って飲むと、それが本当は胃薬でも歯の痛みがおさまってしまうような現象です。

インフルエンザのときに飲むタミフルも、「タミフルなんか効かない」と思っている人と、「タミフル、めっちゃ効く」と思いながら飲む人では結果が違うはずです。

なので、自分はこの薬を「自分に快をもたらしてくれるものだ」と決めて、それを体の中で増幅させるために、じたばたしながら「タミフルがんばれ!」「タミフルすごいぞ!」と、心の中でずっと叫んだのです。

私はもともと家系的に免疫力が弱いようで、毎年のようにインフルエンザにかかるなど、病気に弱いのです。でも、今回は東京での仕事を控えていてインフルエンザにかかったので、「この仕事を絶対に落としたくない、絶対にそれまでに解熱する!」という決断をして、立ち向かいました。そうしたら本当にその通りになりました。

ほかにも、ゆっくりトイレに行けることにものすごい幸せを感じたりもしました(自衛隊にいた頃、10時間歩き続ける訓練や、トイレのない山の中での訓練も体験したので、ドアを開けるときれいで温かいトイレがあることの幸せを、あらためて実感したのです)。

病気で自由に動けなくても、いろいろ試してみたことで、ただ「イヤだ」と思いながら寝ているのに比べたら、何倍もの収穫がありました。

苦しいとき、私はいつも「この苦しい体験をどれだけ自分の成長の糧にするか」というテーマでその時間を過ごします。今回もそれを実践してみたのです。

あなたも、ぜひこれを頭においてみませんか?

まだそこまでの心境になれない……という人は、まず、「自分がとらわれているものは何だろう?」と、自分に問いかけましょう。

「あっ、これだったんだ」と気づけたとき、あなたはとらわれから解放されるスタートラインに立つことができます。そして、いろいろな学びや発見が始まります。

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著者

玉川 真里

元自衛隊の臨床心理士。NPO法人ハートシーズ理事長。1973年岡山県生まれ。1991年に陸上自衛隊に入隊。女性初の大砲部隊野外通信手として活躍する。2008年、陸上自衛隊において現場初の臨床心理士として、最も自殺率の高い職業といわれる自衛隊の自殺予防対策を任される。より多くの人の心を救済したいとの思いから自衛隊を辞め、資産をすべて投入してNPO法人を設立。年間2000件を超える相談を受けている。著書に『もう、「あの人」のことで悩むのはやめる』(サンマーク出版)、『折れない 凹まない 振り回されない “心のクセ”を変える6つの方法』(大和出版)がある。

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