第25回
O脚いろいろ、O脚の矯正
2019.05.15更新
【 この連載は… 】 テレビ、雑誌などでお馴染みの「姿勢」の第一人者が、疲れない体をつくる知識とメソッドを徹底紹介。医学的理論に基づいた「全身のつながり」を意識した姿勢改善エクササイズで、腰痛や肩こり、慢性疲労などの不調を劇的に改善します。
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両足をそろえた姿勢で、両膝間の距離(大腿内側顆間距離)が2横指(およそ3㎝)以上離れていて、両膝が内反膝の場合はO脚とよばれます。逆に、膝蓋骨を正面にむけた立位で両大腿骨顆を付けた状態で、両内果間距離が2横指以上離れていて、両膝が外反膝の場合はX脚とよばれます。1横指から2横指以内だと亜外反膝になります。
ほとんどの子どもは、2歳までは軽いO脚ですが、成長とともに自然に改善され、3歳ではむしろX脚傾向になります。3歳をすぎてもO脚傾向が強いときは、要注意です。
片脚のみが内反膝の場合もあります。この例では右膝が内反膝です。右片足立ちで、内反傾向が増大するようであれば変形性膝関節症が疑われます。
膝関節のアライメントは脛骨からの軸が大腿骨の外側に変位します。右膝関節には内側の圧縮ストレスがかかり、外側には離開ストレスがかかることで痛みも出ます。また、そのアライメントで無理に膝を曲げたり伸ばしたりするため、それらに作用する筋群に過剰な負荷が加わり痛みが出ます。
正常の膝のアライメント
内反膝
さて、O脚の原因は1つだと思っている人が多いのですが、実際には3つあります。1つが変形性膝関節症のような構造的内反です。この構造的内反には、脛骨の外方弯曲も含まれます。2つ目が、運動連鎖に伴った機能的内反、3つ目が、代償に伴った機能的内反です。これらをそれぞれ説明していきます。
1.構造的内反
これは片足立ちになると膝の変形が増強するケースで、前述した状態です。
修正エクササイズには、幾つかありますが、ここでは、自分で出来る方法を記します。
・自己矯正モビライゼーション
両膝を近づけたままで、床に両膝をつきます。手を膝下の下腿外側に置きます。お尻を床に降ろしていくに従って、両手で下腿を内側方向に押してください。10回を1セットとして3セット行います。
脛骨の外方弯曲はこのケースでは左膝です。右膝は構造的内反です。左足で片足立ちになっても、膝の変形は増強しません。脛骨自体が外方へ弯曲しているケースです。右膝の修正は上記に準じますが、左膝は足底板(インソール)などで調整します。
2.運動連鎖に伴った膝関節の機能的内反
骨盤後傾からの下行性運動連鎖、あるいは足部の回外からの上行性運動連鎖によって生じます。
足部の回外(踵骨内反)による凹足がある場合、右の足部は回外して足部外側縁に体重をかけ、膝は内反傾向となり、股関節は内転位になります。骨盤の高さはこちら側で高くなります。
脛骨の軸に沿って近位に過度の外旋を引き起こし、内反膝と外側の脛骨大腿関節の離開を生じることになります。
この場合の修正エクササイズは、足部から骨盤への運動連鎖エクササイズを行います。
上行性代償の場合には、足部から膝、股関節、骨盤へと支持性を伝達していくエクササイズが有効になります。
・運動連鎖エクササイズ1
このアライメントを修正するために、まずは立位にて、右片足立ちをとります。そこから、右足部を回内するのに連鎖して右膝を内側に移動させ、さらに右股関節を外転させながら左骨盤を挙上させます。この肢位で最低5秒間は止めてください。10回から開始し、徐々に回数を増やしてください。5秒間保持の間に、息は止めないようにしてください。
次の段階では、股関節の外転に加えて外旋も強調します。まずは右片足立ちにて、体幹と骨盤を右に回旋させておきます。そこから、右足部を回内するのに連鎖して、体幹と骨盤を同時に左回旋させながら左膝も左側に開いていきます。さらに右下肢後外側からの筋・筋膜螺旋連結を用いて右股関節を外転・外旋させながら左骨盤を挙上させます。この肢位で最低5秒間は止めてください。10回から開始し、徐々に回数を増やしてください。5秒間保持の間に、息は止めないようにしてください。
3.代償に伴った膝関節の機能的内反
股関節外旋筋群が延長して筋力低下がある場合、股関節は内旋位になります。股関節内旋位で膝の力を抜くと外反膝になりますが、膝関節を過伸展すると内反膝になります。
正常膝
股関節内旋を伴った膝関節過伸展と内反膝
このような姿勢性内反膝は、大腿骨内旋、足回内、膝過伸展が組み合わさって生じます。大腿骨が内旋した場合、膝の距離が離れ、下腿が弓なりになってしまうのです。
この場合、股関節周囲の筋バランスを整えて、股関節伸展・外転・外旋筋群を強化するエクササイズが重要となります。
・股関節伸展・外転・外旋筋群のエクササイズ
腹筋群が弱い場合は、腹部の下に枕を入れますが、腹筋群を十分収縮できる場合は、固定させるために腹筋群を収縮させておきます。床から腹部が少し浮く程度に腹筋群を収縮させたまま、一側の股関節を伸展・外転・外旋させます。
この肢位で最低5秒間は止めてください。10回から開始し、徐々に回数を増やしてください。5秒間保持の間に、息は止めないようにしてください。
このようにO脚の原因は幾つかあり、それを自分で修正していくエクササイズも幾つかあります。何が原因かを知ることが大切です。
次回はX脚の幾つかの原因と、そのエクササイズについて述べます。
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