Facebook
Twitter
RSS
マンガでわかる「オペラ」の見かた 監修/小畑恒夫 イラスト/ヤギワタル

第4回

ロメオとジュリエット

2018.05.15更新

読了時間

「フィガロの結婚」「トゥーランドット」「椿姫」「トリスタンとイゾルデ」などなど……。オペラには、女と男の愛、騙し騙され合いの駆け引き、生死を賭けた戦い…などなど、人間のドラマが色濃く描かれています。本連載では『マンガでわかる「オペラ」の見かた』単行本出版を記念して、書籍から厳選コンテンツを特別公開!
「目次」はこちら

フランスの名作

シェイクスピアが描く究極のラブロマンス
ロメオとジュリエット

作曲:グノー
原作:ウィリアム・シェイクスピア『ロミオとジュリエット』
台本:ジュール・バルビエ、ミシェル・カレ(フランス語)
初演:1867年4月27日 パリ/テアトル・リリーク劇場 構成:5幕/約2時間40分

『ファウスト』に次ぐ代表作 愛のデュエットの魅力

グノー9番目のオペラ作品で、『ファウスト』に次いで目覚ましい成功を収めました。シェイクスピアの同名の戯曲が原作。グノーならではの流麗で切ない旋律が全編に溢れており、歌手がリサイタルで独立して取り上げる有名なアリアや、数々の愛のデュエットによって、存分にフランス・オペラの魅力を堪能できます。ジュリエットのワルツと呼ばれる、彼女が結婚などに興味はないわと歌う「私は夢に生きたい」。小姓スラフィのシャンソン「白いきじ鳩よ」などが有名。

愛のデュエットが、この作品の大きな特徴であり、公演の成功の鍵を握っています。初めてロメオとジュリエットが出逢った時、そしてあまりにも有名なバルコニーでの場面。最も甘美といわれる、寝室での婚礼のデュエット、最後に共に死んでく至上の愛の姿……。

20世紀前半、『ロメオとジュリエット』の上演が少なくなっていた時期がありましたが、近年では、有名なオペラハウスのレパートリーとして数多く上演されるようになりました。

男と女の究極の恋物語として、老若男女問わず人気のオペラ作品であるといえるでしょう。

グノー 敬虔な信仰心を持った、フランス歌曲の父

プロフィール

生名:シャルル・フランソワ・グノー
誕生日:1818 年6 月17 日
出身地:フランス/パリ
死没:1893 年10 月18 日

主なオペラ作品

・血まみれの修道女(1854年 パリ)
・いやいやながら医者にされ(1858年 パリ)
・ファウスト(1859年 パリ)
・鳩(1860年 バーデン=バーデン)
・ミレイユ(1864年 パリ)
・ロメオとジュリエット(1867年 パリ)
・ザモラの貢ぎ物(1881年 パリ)

『ファウスト』の成功 オペラと宗教曲の大家

パリ音楽院で音楽を学び、カンタータ『フェルナン』でローマ大賞を受賞したためローマに留学。パリに戻ってからはサン・トゥスタッシュ教会の聖歌隊楽長兼、教会オルガニストとなりました。
その頃、オペラをいくつも書きますが不振が続きました。しかし、『ファウスト』で大成功を収め、後の『ロメオとジュリエット』と共に広く知られることとなります。
後半生は主に宗教曲を手掛け、なかでもバッハの『平均律クラヴィーア曲集』の前奏曲に旋律を乗せた『アヴェ・マリア』は有名で、グノーのアヴェ・マリアとして現在でも親しまれています。

※カンタータ:17世紀後半にイタリアで生まれた、器楽伴奏付きの声楽曲。

「目次」はこちら


この本を購入する
シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

著者:小畑恒夫 イラスト:ヤギワタル

小畑 恒夫:昭和音楽大学教授、日本ヴェルディ協会理事、日本ロッシーニ協会運営委員。東京藝術大学卒業。オペラと声楽を中心に教育、研究、評論、啓蒙活動を行う。音楽専門誌での批評活動、オペラ公演のプログラムやCD解説の執筆、オペラ講座・放送などでも活躍。著書に『ヴェルディのプリマ・ドンナたち』(水曜社)『ヴェルディ 作曲家・人と作品』(音楽之友社)、共著に『オペラ・キャラクター解読辞典』(音楽之友社)、訳書に『ロッシーニ 仮面の男』(音楽之友社)『評伝ヴェルディ』(草思社)など多数。

矢印