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第6回

コラム:オペラの「声」の役割

2018.05.29更新

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【 この連載は… 】「フィガロの結婚」「トゥーランドット」「椿姫」「トリスタンとイゾルデ」などなど……。オペラには、女と男の愛、騙し騙され合いの駆け引き、生死を賭けた戦い…などなど、人間のドラマが色濃く描かれています。本連載では『マンガでわかる「オペラ」の見かた』単行本出版を記念して、書籍から厳選コンテンツを特別公開!
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オペラの魅力はその圧倒的な歌声

オペラは歌で進行する劇です。台詞がオーケストラの奏でる音楽に乗って歌われことで、表情豊かに聴衆に伝わり、演劇とは違った魅力を放ちます。一度、歌劇場に足を踏み入れたら、マイクなしで声を響かせるオペラ歌手の圧倒的な歌声に魅了されてしまいます。美しい声質と声量、そして訓練された発声法とその声を操るテクニック。空間に共鳴する豊かな歌声を体験する前に、ぜひ知っておきたいオペラ歌手の「声」の基本を紹介します。

女声

ソプラノ

高い声域の女声をさします。その声の高さから、若く美しいヒロインを演じることが多く、主に3つの声質に分類されます。特に装飾的で即興が得意なソプラノをコロラトゥーラ・ソプラノといいます。

┗レッジェーロ

軽ろやかで、若々しい声質

┗リリコ、リリコ・スピント

表情豊かな、叙情性のある、柔らかな声質

┗ドラマティコ

劇的な表現力に富む声質

メゾ・ソプラノ

女声の中間声域です。声の低さから、年配の女性や個性的な女性、小間使いなどの脇役を演じることが多いようです。

アルト(コントラスト)

女性の最低声域。イタリア語で「高い」を意味し、元々は男性の高い声域をさしていました。「ズボン役」といわれる、男装した女性が男役を演じることもあります。

男声

テノール

ソプラノの1オクターブ下、最も高い男声の声域です。若くハンサムなヒーローや優雅な男を演じることが多いようです。テノールより高い声域の裏声(ファルセット)を使うカウンター・テノールも含まれます。

┗レッジェーロ

若く、軽ろやかな声質

┗リリコ、リリコ・スピント

柔らかく、表情豊かな叙情性のある声質

┗ドラマティコ

重厚でたくましい印象を持つ声質

┗ヘンデル・テノール

ワーグナー作品の楽劇で英雄的な役を演じる声質

バリトン

低い音域の男声。人間味あふれる役や影のある中年を演じることが多いといいます。

バス

バリトンより低い声域の男声。深い陰影を表現する声で、威厳や気品のある役に適しています。

作品や劇場の規模、役柄などに合わせて、歌手の声域と声質を活かす配役が組まれます。
例えば、同じ声域をもつ歌手でも、ヘンデル作品を上演した18世紀の小さな歌劇場では、軽やかで、表情豊かな声質が求められ、19世紀のワーグナー作品のような大規模なオペラ(楽劇)では、大オーケストラに負けない重たい声質が求められるというわけです。一人のオペラ歌手でも年齢を重ねると声質が重たく変わり、その声質に合わせ、軽い声質から重い声質へとレパートリーを変えていくことがあります。

時代と共に消えた幻のカストラートって?

18世紀以前、イタリア・オペラのスターはボーイソプラノで歌う男性歌手「カストラート」でした。子どもの頃に去勢され少年の声を持ち続けた異端児は、19世紀初頭には姿を消し、幻の歌声に。

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著者

著者:小畑恒夫 イラスト:ヤギワタル

小畑 恒夫:昭和音楽大学教授、日本ヴェルディ協会理事、日本ロッシーニ協会運営委員。東京藝術大学卒業。オペラと声楽を中心に教育、研究、評論、啓蒙活動を行う。音楽専門誌での批評活動、オペラ公演のプログラムやCD解説の執筆、オペラ講座・放送などでも活躍。著書に『ヴェルディのプリマ・ドンナたち』(水曜社)『ヴェルディ 作曲家・人と作品』(音楽之友社)、共著に『オペラ・キャラクター解読辞典』(音楽之友社)、訳書に『ロッシーニ 仮面の男』(音楽之友社)『評伝ヴェルディ』(草思社)など多数。

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