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マンガでわかる「オペラ」の見かた 監修/小畑恒夫 イラスト/ヤギワタル

第8回

魔弾の射手

2018.06.12更新

読了時間

「フィガロの結婚」「トゥーランドット」「椿姫」「トリスタンとイゾルデ」などなど……。オペラには、女と男の愛、騙し騙され合いの駆け引き、生死を賭けた戦い…などなど、人間のドラマが色濃く描かれています。本連載では『マンガでわかる「オペラ」の見かた』単行本出版を記念して、書籍から厳選コンテンツを特別公開!
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ドイツの名作

ボヘミアの森での狩人の生活と悪魔の伝説
魔弾の射手

作曲:ウェーバー(ドイツ語)
原作:ヨハン・アウグスト・アーペル及びフリードリヒ・ラウン『妖怪物語』
台本:フリードリヒ・キント
初演:1821年6月18日/ベルリン/王立劇場 構成:3幕/約2時間20分

ロマン主義を確立したドイツ・オペラの記念碑的作品

ウェーバーの代表作。モーツァルトの『魔笛』、ベートーヴェンの『フィデリオ』に次いで、ドイツ・オペラの基礎となった作品。音楽とセリフで綴っていくドイツ歌芝居の形をとりながらも、文学、音楽、舞台装置などを総合的に融合させようとする、後にワーグナーが「楽劇」と呼ぶ総合芸術の先駆けでもありました。ワーグナーが最も影響を受けた作品でもあります。ボヘミアの深い森が舞台。封建時代の素朴な生活を描きながら悪魔の作った弾をめぐる物語です。

数多くのオペラ序曲中でも、この作品のものはあまりにも有名。ライト・モチーフという手法で、劇中様々に使用されるテーマがここで演奏されます。第1主題は、主人公の狩人マックスが射撃大会直前にもかかわらずスランプに陥って歌う絶望の歌。第2主題はヒロインのアガーテがマックスを想って歌う歓喜の歌。序曲の次に有名なのは「狩人の合唱」で、独立した男声合唱曲としてしばしば演奏されています。全曲中最も有名なアリアは、アガーテの敬虔な祈り「静かに清らかに」。民話や中世への憧憬を持つ作品は、これ以降ドイツ・オペラの主流となっていきます。

ウェーバー ドイツ国民歌劇の父

プロフィール

生名:カール・マリア・フォン・ウェーバー
誕生日:1786 年11 月18 日
出身地:ドイツ/オイティン
死没:1826 年6 月5 日

主なオペラ作品

・ペーター・シュモルとその隣人たち(1803年)
・シルヴァーナ(1810年)
・アブ・ハッサン(1811年 ミュンヘン)
・3人のピント(1821年)マーラー補筆(1888年 ライプチヒ)
・魔弾の射手(1821年 ベルリン)
・オイリアンテ(1823年 ウィーン)
・オベロン(1826年 ロンドン)

ドイツ国民歌劇の金字塔 『魔弾の射手』

『ラ・ボエーム』『トスカ』『蝶々夫人』などの人気作品を生んだプッチーニは、ヴェルディの後継者、20世紀初頭のイタリア・オペラ最高の作曲家とされています。
ヴェルディのオペラ『アイーダ』を見たことがオペラ作曲家を目指すきっかけだったといわれています。
彼の音楽の特徴は、ヴェルディまでの発展を継承しつつ時代にふさわしい豊かな管弦楽を追求しますが、旋律の美しさの面でも際立っているところです。旋律のラインは長くても覚えやすく、口ずさみやすく、オペラの初心者にとってプッチーニの作品は最も親しみやすいものでしょう。

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著者

著者:小畑恒夫 イラスト:ヤギワタル

小畑 恒夫:昭和音楽大学教授、日本ヴェルディ協会理事、日本ロッシーニ協会運営委員。東京藝術大学卒業。オペラと声楽を中心に教育、研究、評論、啓蒙活動を行う。音楽専門誌での批評活動、オペラ公演のプログラムやCD解説の執筆、オペラ講座・放送などでも活躍。著書に『ヴェルディのプリマ・ドンナたち』(水曜社)『ヴェルディ 作曲家・人と作品』(音楽之友社)、共著に『オペラ・キャラクター解読辞典』(音楽之友社)、訳書に『ロッシーニ 仮面の男』(音楽之友社)『評伝ヴェルディ』(草思社)など多数。

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