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マンガでわかる「オペラ」の見かた 監修/小畑恒夫 イラスト/ヤギワタル

第9回

カルメン

2018.06.19更新

読了時間

「フィガロの結婚」「トゥーランドット」「椿姫」「トリスタンとイゾルデ」などなど……。オペラには、女と男の愛、騙し騙され合いの駆け引き、生死を賭けた戦い…などなど、人間のドラマが色濃く描かれています。本連載では『マンガでわかる「オペラ」の見かた』単行本出版を記念して、書籍から厳選コンテンツを特別公開!
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フランスの名作

妖艶なカルメンに誘惑され捨てられたホセの絶望的な決断
カルメン

作曲:ビゼー
原作:プロスペル・メリメ『カルメン』
台本:リュドヴィグ・アレヴィ、アンリ・メイヤック(フランス語)
初演1875年3月3日/パリ/オペラ・コミック座 構成:4幕/約2時間30分

ビゼー最大の傑作オペラ フランス・オペラの代表曲

ビゼー最後のオペラにして最大の傑作。他の作品はほとんど上演されず、この一作でフランス・オペラの代表作といわれ、イタリアのヴェルディ、ドイツのワーグナーと並び称されるようになりました。原作の小説『カルメン』は特に評判にもならなかった作品でしたが、地方色豊かで、情熱的な内容にビゼーは惹かれました。オペラを注文した劇場側は煙草を吸う女工や密輸団など、柄のよくな人物が多数登場し人殺しが堂々と行われる内容に難色を示したため、いくつかの妥協案を出して制作にこぎ着けました。

スペイン風の舞曲ハバネラやジプシー民謡などに乗って歌い踊る場面はこの作品の大きな見どころ。特に第2幕のジプシーの踊りは全幕を通して最も異国情緒溢れる場面。カルメンがホセのためにカスタネットを手に歌い踊る場面も魅力的。

ホセを誘惑するカルメンが歌う「恋は野の鳥」(ハバネラ)。ホセの恋敵、闘牛士エスカミーリョの「闘牛士の歌」等々。恋した男を容赦なく捨てて、その男に刺されて死んでいくカルメン。後のイタリアで起こる、ヴェリズモ・オペラといわれる現実主義的作品の先駆的内容でありました。

ビゼー 『カルメン』の作曲で一躍フランスオペラの第一人者に

プロフィール

生名:ジョルジュ・ビゼー
誕生日:1838 年10 月25 日
出身地:フランス/パリ
死没:1875 年6 月3 日

主なオペラ作品

・ミラクル博士(1856年 パリ)
・真珠採り(1863年 パリ)
・美しきパースの娘(1867年 パリ)
・ジャミレ(1872年 パリ)
・カルメン(1875年 パリ)
・ドン・プロコピオ(1906年 モンテカルロ)
・イワン雷帝(1946年 ヴュルテンベルク)

劇音楽への情熱 『カルメン』で手にした地位

父は声楽教師、母はピアニストという音楽一家に生まれました。パリ音楽院に入学し、ローマ大賞はじめ数々の賞を獲得。フランツ・リスト作曲の演奏が難しい超絶技巧練習曲を難なく弾き、リスト自身から賞賛を得ました。ピアノの才能は抜群でしたが、オペラ作家を目指していたビゼーはピアニストの道に進むことはありませんでした。
劇音楽の作曲を多く手掛け、25歳の時のオペラ『真珠採り』で有名になり、『カルメン』が一躍フランス・オペラの代表作となりました。
『カルメン』初演の3ヶ月後、36歳という若さでこの世を去りました。

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著者

著者:小畑恒夫 イラスト:ヤギワタル

小畑 恒夫:昭和音楽大学教授、日本ヴェルディ協会理事、日本ロッシーニ協会運営委員。東京藝術大学卒業。オペラと声楽を中心に教育、研究、評論、啓蒙活動を行う。音楽専門誌での批評活動、オペラ公演のプログラムやCD解説の執筆、オペラ講座・放送などでも活躍。著書に『ヴェルディのプリマ・ドンナたち』(水曜社)『ヴェルディ 作曲家・人と作品』(音楽之友社)、共著に『オペラ・キャラクター解読辞典』(音楽之友社)、訳書に『ロッシーニ 仮面の男』(音楽之友社)『評伝ヴェルディ』(草思社)など多数。

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