第12回
切手代も必要ない。求職者に直接アプローチする「リクエスト」
2018.07.02更新
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切手代も必要ない。求職者に直接アプローチする「リクエスト」
求職者リクエストとは、ハローワークに求人を出している事業所であれば、自社の条件に合った求職者(公開を希望している方のみ)に求人票を送付してもらえるという仕組みです。
驚かれることが多いのですが、これも無料で利用できます。先に紹介したハローワークで配布される「求人申込書の書き方」等の資料では、このサービスの存在は公表されていませんので、すべてのハローワークでこのサービスがあるわけではありません。実際、私が住む岐阜県や愛知県、大阪府などで行われているものの、東京都内のハローワークでは、一般求職者に向けた「リクエスト求人」制度は現在のところありません(ただし、後ほどご紹介するハローワーク飯田橋の「中核人材確保支援センター」では管理職・技術職・専門職の実務経験者のみ可能)。
それでは、一般的な求職者リクエストの流れを確認したいと思います。
(1)管轄のハローワークに求人票を出します。
↓
(2)通勤圏内と思われるハローワークへ直接足を運びます。
↓
(3)求人条件に合う求職者リストを出してもらいます。
↓
(4)求職者リストから求人票を送ってもらいたい人をピックアップして、リクエストを依頼します。
↓
(5)該当の求職者にハローワークから連絡(求人票)が届きます。
↓
(6)求職者が興味を持てば、ハローワークからの紹介を通しての応募があります。
求職者リクエストのポイントは、以下のようになります。
1.管轄のハローワークに求人票を出します
総合案内で「リクエストを利用したい」と言えば、担当部門へ案内してもらえます。ほとんどが求人部門に案内されますが、職業相談部門の場合もありますので、庁舎がそれぞれ分かれているような場合は事前に電話等で確認することをおすすめします。
2.通勤圏内と思われるハローワークへ直接足を運びます
基本的に求人情報は、それぞれのハローワークに登録している求職者にしか送ることができません。管轄が異なる近隣のハローワークにも同時にリクエストを行おうとお考えであれば、どのようなルートや方法でハローワークを回れば一番効率が良いかをシミュレーションするのが良いと思います。
3.求人条件に合う求職者リストを出してもらいます
ハローワークの窓口では担当者に、「求人票を持ってきましたか?」と聞かれますので、事前に求人票を用意しておきましょう。もちろん、忘れたとしても窓口で検索してもらうこともできます。
4.求職者リストから求人票を送ってもらいたい人をピックアップして、リクエストを依頼します
多くのハローワークでは担当者に求職者リストを作成してもらうのですが、そのときの検索条件(地域、年齢層、男女、経験の有無、資格の有無等)も事前に検討しておきましょう。ターゲットを絞りすぎていると、対象者がゼロということもよくある話なので、窓口の担当者の方と相談しながら、検索条件は柔軟に考えていきましょう。
5.該当の求職者にハローワークから連絡(求人票)が届きます
求職者リクエストでは、求職者に以下のものが送られます。
・ハローワークからの手紙……今回、このリクエストが行われるに至った経緯について記載されています。
・求人票
一般的に求職者リクエストは、このハローワークからの手紙と求人票が送られることになります。この求人票については、私が職業相談をしていたときに「ハローワークからよくわからない求人票が届いたんですけど」という声を聞きました。私自身も同じようにハローワークで仕事探しをしている際に、自宅に求人票が送られてきて、「どうして私のところに送られてきたのだろうか?」、「文字ばかりの求人票を見ていてもよくわからないし、興味も湧かないな」と感じていたものでした。
このような疑問を少しでも解消するための工夫として、求人票を送ってもらう際、A4サイズで1枚程度の会社のリーフレットなどがあれば、求人票と一緒に送ってもらえることがあります。会社をアピールできますし、このような疑問を少しでも解消してくれるのではないかと期待しています。
ただし、ハローワークによってはそもそも同封物が不可であったり、同封できる用紙のサイズや枚数などが異なりますので、事前に、ご利用のハローワークに確認してください。
それでは、このA4サイズで1枚程度のリーフレットですが、どのようなものを同封したら良いのでしょうか。
私は一度こんな実験をしてみました。転職サイトに登録した求職者に送ることができる「オファー」や「スカウト」と呼ばれるメールを参考にして、文字だけの手紙を同封させていただいたのです。結果は1件も反応がありませんでした。ハローワークからの手紙や求人票も、そして同封した手紙までもすべて文字だけでしたので、殺風景なメッセージだと思われたからかもしれません。
そこで私は、多様なお店を回ってヒントを探ったのですが、求人に成功している企業は多様な取り組みをされていることがわかりました。
店舗を構える会社では、自前で制作した求人募集チラシがレジ横などに置いてあるのをよく見ます。店舗を構えない会社でも「社員紹介制度」を導入しているところでは、食堂やタイムカードの横などで配布や掲示を行ったりしています。こうした求人募集のアイデアをお借りして、リクエスト求人に添付してみてはいかがでしょうか。
このようなチラシであれば、自社で作成することもできますし、外部業者を利用しても大きなコストとはなりません。先にご紹介した「社員紹介制度」を利用する場合に、従業員の方に配布して紹介を呼びかけるツールとしても使えるなど、幅広い活用が期待できます。
6.求職者が興味を持てば、ハローワークからの紹介を通しての応募があります
求職者リクエストをしても、すぐに応募や面談につながるとは限りません。むしろ、近年は活用する企業も増えてきたことや、売り手市場ということも重なり、その反応率は決して高くありません。すぐに結果は出なくても、継続してやっていくこと、改善を重ねていくことが大切ではないでしょうか。
先にご紹介した通り、この求職者リクエストは、すべてのハローワークで実施されているサービスではありませんし、サービス内容もハローワークによってさまざまです(図3-6)。ご利用の前には各ハローワークへの確認をお願いします。また、以下にリクエストする際のルールの一例を書いておきますので、参考にしてみてください。
(リクエストのルールの一例)
・求人受理・求人条件変更後、1週間以上経過し、求人票の有効期限日(紹介期限日)までに14日以上あること。
・リクエストは原則、有効期限内に1回、リクエストできる求人件数は3件まで。
・1求人につき10件まで。
・求人1件につきおおむね5名まで、1事業所、最大10名まで。
・対象者は45歳未満の若年者のみ。
・正社員求人限定。
図3-6 ハローワーク名古屋南における「リクエスト」の流れ
出典:ハローワーク名古屋南
この本の構成
はじめに
第1章 ハローワークだからこそ、欲しい人材は採用できる
第2章 初めてハローワークで求人を出す人のための基礎知識
第3章 無料でここまでできる!ハローワーク求人の仕組み
第4章 欲しい人材を引き寄せるハローワーク求人票の書き方
第5章 ハローワーク採用の絶対法則
第6章 他社と圧倒的微差を作る13のポイント
おわりに
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