第3回
【歌舞伎を見る前に】3.「歌舞伎ならでは!」独特の演出
2017.10.10更新
歌舞伎を見る前に知っておきたい基礎知識として演目の種類や独特な演出の仕方から、上演頻度の高い人気演目のあらすじと鑑賞ポイントを、マンガでじっくりと解説します。
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見得の種類
見得には多様な種類があり、場面などによって使い分けられる。中には、名称のついたものもある。
・元禄(げんろく)見得
荒事の典型的な見得の一つ。右手は水平に伸ばし、左手はひじを曲げて上にあげ、左足を大きく踏み出すポーズ。『暫』の鎌倉権五郎など。
・石投(いしなげ)の見得
石を投げたようなポーズ。『勧進帳』の弁慶など。
・柱巻(はしらまき)の見得
建物の柱などに手足を巻きつけるポーズ。『鳴神(なるかみ)』の鳴神上人(なるかみしょうにん)など。
・天地(てんち)の見得
一人は高い場所、もう一人は低い場所、二人同時にポーズを決める。『山門』の石川五右衛門(ごえもん)と真柴久吉(ましばひさよし)。
・不動(ふどう)の見得
不動明王(ふどうみょうおう)のようなポーズ。『鳴神』の鳴神上人、『勧進帳』の弁慶など。
六方は、花道を通り引っ込むときに演じられる
六方で知られるのが「飛び六方」。片手を大きく振り、足を勢いよく踏み鳴らしながら花道を引っ込む。『勧進帳』の弁慶や『鳴神』の鳴神上人が有名。その他、『義経千本桜』の源九郎狐(げんくろうぎつね)が狐のようなしぐさで花道を引っ込む「狐六方(きつねろっぽう)」も有名。
引抜では後見が活躍
あらかじめ衣裳を重ね着して仕付け糸で留めておき、直前に後見(こうけん)(舞台上で役者をサポートる人)が仕付け糸を抜き取ると、下に着ていた衣裳が現れるという仕組み。
歌舞伎を代表する奇抜演出
義太夫狂言で、役者が人形の動きをまねて演じる「人形振り(にんぎょうぶり)」も、歌舞伎独特の演出の一つ。人形振りや、引抜、宙乗りは、観客を驚かせる奇抜な演出を意味する「ケレン」と呼ばれる。
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