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KEEP MOVING 限界を作らない生き方  武藤将胤

第3回

「なんてクレイジーなやつなんだ!」と言われた日

2018.06.07更新

読了時間

【 この連載は… 】 「ALS(筋萎縮性側索硬化症)」という難病をご存知ですか? 意識や五感は正常のまま身体が動かなくなり、やがて呼吸困難を引き起こす指定難病です。2014年の「アイスバケツ・チャレンジ」というパフォーマンスで目にした方も多いでしょう。あれから約4年経過した現在、まだ具体的な解決法はありません。本連載では、27歳でALSを発症した武藤将胤さんの「限界を作らない生き方」を紹介します。日々、身体が動かなくなる制約を受け入れ、前に進み続ける武藤さん。この困難とどう向き合っていくのか、こうご期待!

Chapter 1 制約が僕を進化させてくれる

「なんてクレイジーなやつなんだ!」と言われた日

 2017年3月、僕はアメリカ、テキサス州オースティンで開催された「SXSW2017」に参加しました。音楽、映画、テクノロジーの分野でさまざまなイベントが行われる大規模なカルチャー&テクノロジー・フェスティバルで、SXSWとは「South by Southwest(サウス・バイ・サウスウエスト)」の略です。
  この音楽フェスの場で、僕は「EYE VDJ」を披露しました。目の動きだけで、音楽と映像を操る、つまりDJ(ディスクジョッキー)とVJ(ビデオジョッキー)両方の役割を果たすというライブパフォーマンスです。
  そのときに、盛り上がったアメリカ人の観客から言われたのが、「おまえ、ほんとうにゲーリック病(ALSのこと)なのか? 信じられない。なんてクレイジーなやつなんだ!」という言葉。
  僕にとってはめちゃくちゃうれしいほめ言葉でした。

© WITH ALS

 なぜなら、僕は「クレイジー」といわれる人間になりたいとずっと思ってきたからです。
「クレイジー」には「頭がおかしい」みたいな意味もありますが、「ぶっ飛んでいる」「突拍子もない」「熱狂的にハマっている」みたいな意味もあります。そう、僕は「ぶっ飛んでいるやつ」でありたい人間なんです。
  きっかけになったのは、大学生の頃出会った、ひとつのCM映像でした。
「Think different.」というスローガンを掲げた1997年のアップル社のCMで、奇人、変人、革命者といわれてきた天才的な人たちの映像と共にメッセージが流れ、最後にアップルのロゴが出るというもの。
  メッセージは、「クレイジーな人たちがいる……」と始まります。アインシュタイン、ボブ・ディラン、キング牧師、エジソン、モハメド・アリ、マリア・カラス、ガンディー、ピカソといった世界にその名を轟かせる人たちのモノクロ映像が次々と流れ、「自分が世界を変えられると本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから」と静かに終わります。
  1997年当時まだ小学生だった僕は、そのCMをリアルタイムで観た記憶はないのですが、大学時代に、インターンをしていたベンチャー企業の人が教えてくれたのです。
  すごいインパクトを受けました。
  人から「クレイジー」と言われるくらいに自分の信念をもって何かにのめり込む、そんな熱さを持った人、自分が世界を変えられると本気で信じる人たちが、本当に世界を変えてきた―このメッセージが、深く心に刺さり、内側から自分が揺さぶられました。
  そして、「クレイジーってカッコいいなあ」「僕もこういう生き方をしたい」と強く思ったのです。
「よし、僕もクレイジーに行動するぞ!」そう決心した僕は、学生団体を立ち上げました。僕らの大学でまだ誰もやっていないことをやるための団体です。
  じつは、「将来は広告の世界に進みたい」と考えるようになったきっかけも、この「Think different.」のCMでした。わずか60秒、90秒の世界で、人をこんなに感動させられる、人の心にスイッチを入れることができる、広告のもつパワー、社会を動かす力の大きさを感じ、俄然、広告業界への関心が湧いてきたのです。
  そんなわけで、「いつだってクレイジーなやつらが世界を変えてきたんだ」「クレイジーにやろうぜ!」これが、大学時代からの僕の口グセでした。
  その僕がALSになり、できることにいろいろ制約が出てきているなかで行ったパフォーマンスで「なんてクレイジーなやつなんだ!」と言われたわけです。これ以上うれしいことはない、っていうくらいテンションが上がりました。

『KEEP MOVING 限界を作らない生き方』特設サイトはこちら

一般社団法人WITH ALS
ホームページ http://withals.com/
facebook https://www.facebook.com/project.withals/
Instagram https://www.instagram.com/withals_masa/

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著者

武藤将胤

1986年ロサンゼルス生まれ、東京育ち。難病ALS患者。一般社団法人WITH ALS 代表理事、コミュニケーションクリエイター、EYE VDJ。また、(株)REBORN にて、広告コミュニケーション領域における、クリエイティブディレクターを兼務。過去、(株)博報堂で「メディア×クリエイティブ」を武器に、さまざまな大手クライアントのコミュニケーション・マーケティングのプラン立案に従事。2013年26歳のときにALS を発症し、2014年27歳のときにALSと宣告を受ける。現在は、世界中にALSの認知・理解を高めるため「WITH ALS」を立ち上げテクノロジー×コミュニケーションの力を駆使した啓発活動を行う。本書『KEEP MOVING 限界を作らない生き方』が初の著書となる。

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