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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第155回

406話~408話

2017.03.08更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

406 道(道徳)は自分次第である


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「道、すなわち人としての道徳のあるべき姿は、人の働きで広めていくものである。道が人をどうこうできるものではない」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、人(ひと)、能(よ)く道(みち)を弘(ひろ)(※)む。道(みち)の人(ひと)を弘(ひろ)むるには非(あら)ず。


(※)弘……広げて大きくする。次の「道(道徳の意)」と合わせて「弘道」や、単に「弘」などの名前はここからとられていることが多い。


【原文】

子曰、人能弘衜、非衜弘人、


407 本当の過ちとは過ちを改めないこと


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「過ちを犯して、その過ちに気づいたのに改めないのが、本当の過ちである」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、過(あやま)ちて改(あらた)めず、是(これ)を過(あやま)ちと謂(い)う。


【原文】

子曰、過而不改、是謂過矣、


(※注)……この論語にあるように、孔子は過ちがあっても、改めればよいとする(8話、229話参照)。また、顔回をほめるときも、過ちを再びしないのがすばらしいという(121話参照)。子夏も、小人の過ちは必ず文かざるといい(478話参照)、子貢も、君子の過ちは日月の蝕のように、すぐ改めるのがよくわかると言った(491話参照)。


408 先達や他人に学んで進歩する


【現代語訳】

孔子先生は言われた。「私はかつて一日中食事もとらず、一晩中寝ずに思索に励んだことがあるが、大して得ることがなかった。やはり、先達の人に学んで手本とすることには及ばないようだ」。


【読み下し文】

子(し)曰(いわ)く、吾(われ)嘗(かつ)て終日(しゅうじつ)食(く)らわず、終夜(しゅうや)寝(い)ねずして、以(もっ)て思(おも)うも益(えき)無(な)し。学(まな)ぶに如(し)かざるなり。


【原文】

子曰、吾嘗終日不食、終夜不寢、以思、無益、不如學也、


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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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