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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第186回

468話~469話

2017.04.21更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

468 国政が乱れると楽も乱れる


【現代語訳】

音楽の長官の摯(し)は、魯を去って斉へ行った。君が二度目の食事をする時に楽を奏する役の干(かん)は楚へ行った。三度目の食事をする時に奏する役の繚(りょう)は蔡へ、四度目の食事をする時に奏する役の缺(けつ)は秦へ行った。鼓(つづみ)を打つ役の方叔(ほうしゅく)は、黄河のほとりに入った。振り鼓を打つ役の武(ぶ)は、漢中に入った。副楽長の陽と磬(けい)を打つ役の襄(じょう)は、海のほとりに逃げ隠れた。


【読み下し文】

大師摯(たいしし)は斉(せい)に適(ゆ)き、亞飯(あはん)干(かん)は楚(そ)に適(ゆ)き、三(さん)飯(はん)繚(りょう)は蔡(さい)に適(ゆ)き、四(し)飯(はん)缺(けつ)は秦(しん)に適(ゆ)き、鼓(こ)(※)方叔(ほうしゅく)は河(か)に入(い)り、播鼗(はとう)(※)武(ぶ)は漢(かん)に入(い)り、少師(しょうし)(※)陽(よう)、撃磬(げいけい)(※)襄(じょう)は海(うみ)に入(い)る。


(※)鼓……つづみを打つ役。

(※)播鼗……「鼗」は振りつづみ。「播」は揺り動かす。

(※)少師……大師を補佐する楽師。

(※)撃磬……石でつくった楽器の磬を打つ役。

(※注)……この論語に出てくる楽師たちのことはよくわかっておらず、朱子は孔子の言葉とは限らないとする。しかし、孔子が整備した魯の楽を、政治が衰えたため、楽師たちが四散してしまったことを嘆いたのであろうと思われる。


【原文】

大師摯適齊、亞飯干適楚、三飯繚適蔡、四飯缺適秦、鼓方叔入於河、播鼗武入于漢、少師陽擊磬襄入於海、


469 君子の戒め


【現代語訳】

周公旦(しゅうこうたん)は、その子・伯禽(はくきん)が魯公になって赴任する時に訓戒した。「君子は自分の親族のことを忘れてはならない。大臣たちに、自分が用いられていないとうらまれるようなことがあってはいけない。昔からの臣下は、大きな罪を犯したのでなければ見捨ててはいけない。一人の者に対して、何もかもが完全に備わっていることを求めてはならない」。


【読み下し文】

周公(しゅうこう)、魯公(ろこく)に謂(い)いて曰(いわ)く、君子(くんし)は其(そ)の親(しん)を施(す)(※)てず。大臣(だいじん)をして以(もち)(※)いられざるを怨(うら)ましめず。故旧(こきゅう)(※)は大故(たいこ)(※) 無(な)ければ則(すなわ)ち棄(す)てざるなり。備(そな)わるを一人(ひとり)に求(もと)むること無(な)かれ。


(※)施……棄てる。

(※)以……「用」と同じで、言うことを聞いて用いるの意。

(※)故旧……代々臣下であった者。

(※)大故……大きな悪いこと。大逆。


【原文】

周公謂魯公曰、君子不施其親、不使大臣怨乎不以、故舊無大故、則不棄也、無求備於一人、


*468話が長文のため、今回は2話のみの掲載となります。



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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