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論語 全文完全対照版 野中根太郎

第187回

470話~472話

2017.04.24更新

読了時間

【 この連載は… 】 毎日数分で「東洋最大の教養書」を読破しよう! 『超訳 孫子の兵法』の野中根太郎氏による、新訳論語完全版。読みやすく現代人の実生活に根付いた超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。

470 国が盛んな時、英才も多く生まれ育つ


【現代語訳】

周の盛んな時に一家から八人の英才が出た。伯達(はくたつ)、伯适(はくかつ)、仲突(ちゅうとつ)、仲忽(ちゅうこつ)、叔夜(しゅくや)、叔夏(しゅくか)、季随(きずい)、季騧(きか)である。


【読み下し文】

周(しゅう)(※)に八士(はちし)(※)あり。伯達(はくたつ)、伯适(はくかつ)、仲突(ちゅうとつ)、仲忽(ちゅうこつ)、叔夜(しゅくや)、叔夏(しゅくか)、季随(きずい)、季騧(きか)なり。


(※)周……ここでは周の初めの盛んな時のことを指す。

(※)八士……八人の英才。才徳ある人。なお、この八士について、成王の時代の人とも宣王の時代の人ともいわれていて、よくわかっていない。しかも、八士は一人の母が四度も双子を産んだとされており、信憑性(しんぴょうせい)を疑う学説もある。


【原文】

周有八士、伯逹、伯适、仲突、仲忽、叔夜、叔夏、季隨、季騧、


子張(しちょう)第十九


471 士の条件


【現代語訳】

子張が言った。「士たる者は、世の中の重大な局面に直面した時は命を賭け、利益を目の前にしたら、それは道義上正しいものかを考え、祭祀(さいし)にあっては誠をもって敬意を尽くし、喪にあっては哀悼の情を極めんことを思うべきである。以上が揃えば、士と言ってよいだろう」。


【読み下し文】

子張(しちょう)曰(いわ)く、士(し)は危(あや)うきを見(み)ては命(いのち)を致(いた)し(※)、得(う)るを見(み)ては義(ぎ)を思(おも)い、祭(まつ)りには敬(けい)を思(おも)い、喪(も)には哀(あい)を思(おも)う。其(そ)れ可(か)なるのみ。


(※)命を致し……自分の生命を差し出す。


【原文】

子張曰、士見危致命、見得思義、祭思敬、喪思哀、其可已矣、


472 徳や道は広く徹底して進めていくもの


【現代語訳】

子張は言った。「徳を広く修めず、限られたものしか修めなかったり、正しい道を信じて進むことが強いものでなかったりすると、その徳も道もあるのやら、ないのやらわからなくなり、何の役にも立たなくなる」。


【読み下し文】

子張(しちょう)曰(いわ)く、徳(とく)を執(と)ること弘(ひろ)からず(※)、道(みち)を信(しん)ずること篤(あつ)からず(※)んば、焉(いずく)んぞ能(よ)く有(あ)りと為(な)し、焉(いずく)んぞ能(よ)く亡(な)しと為(な)さん。


(※)弘からず……徳の量が狭い。

(※)篤からず……厚く堅くない。


【原文】

子張曰、執德不弘、信衜不篤、焉能爲有、焉能爲亡、



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著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術─相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 老子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 菜根譚コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(以上、誠文堂新光社)などがある。

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