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第7回

「性格」の正体を知ることで、自分や他人のありのままの姿が見えてくる

2019.03.22更新

読了時間

臆病、意地っ張り、せっかち…。あなたは自分の「性格」に苦労していませんか? 性格は変えられないというのはじつはウソ。性格とは、人が生きていく上で身に付けた「対人戦略」なのです。気鋭の認知科学者である苫米地英人博士が、性格の成り立ちや仕組み、変え方などを詳しく解説します。
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Part2.「性格」についての悩みを、本気で解決する方法

 PART1では、世間で「性格」と呼ばれているものが、いかにあいまいな、実体のないものであるかをお伝えしてきました。

 私は「性格」や「心」といった概念が存在すること自体を、決して悪いことだとは思っていません。
 すべての情動や人の行動を、「脳の情報処理現象」として片づけてしまうのは、(実際にはその通りであっても)少々味気ない気がしますし、実体がないことをきちんと理解したうえで、こうした概念を娯楽として楽しむのは、人間らしい、豊かなことでもあると思います。

 ただ、すでにお話ししたように、人々が「性格」というものの存在を信じてしまうと、そこにはさまざまな弊害が生じます。

 たとえば、仕事に行き詰まりを感じたときや人間関係でトラブルを抱えたとき、実際は自己イメージやブリーフシステムなど、ほかに原因があるのに、「性格を変えなければ」と意味のない努力を重ねたり、「こういう性格だから仕方がない」とあきらめてしまったりしていては、解決は遠のくばかりです。
 また、実体も客観性もないにもかかわらず、「性格」というものが、しばしば他者を差別したり断罪したりする材料として用いられるのも、大きな問題です。

 だからこそ、「性格」と呼ばれているものの正体を知ることが大事なのだと、私は思います。
 それによって初めて、今まで「性格」という言葉の陰に隠れて見えずにいた、自分や他人のありのままの姿を知ることができ、問題を解決するためにしなければならないことが見えてくるからです。

 PART2では、引き続き「性格」と呼ばれているものの正体を暴きつつ、みなさんが抱えているさまざまな問題を本当の意味で解決に導き、みなさんがより自由に生きられるためのヒントを、いくつかご紹介したいと思います。

■ ポイント

・「性格」や「心」といった実体のないものを「娯楽」として楽しむのはOK。
・しかし人間関係のトラブルなどを性格のせいにしてしまっては問題解決から遠のくばかり。

 

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著者

苫米地 英人

1959年、東京都生まれ。認知科学者、計算機科学者、カーネギーメロン大学博士(Ph.D)、カーネギーメロン大学CyLab兼任フェロー。マサチューセッツ大学コミュニケーション学部を経て上智大学外国語学部卒業後、三菱地所にて2年間勤務し、イェール大学大学院計算機科学科並びに人工知能研究所にフルブライト留学。その後、コンピュータ科学の世界最高峰として知られるカーネギーメロン大学大学院に転入。哲学科計算言語学研究所並びに計算機科学部に所属。計算言語学で博士を取得。徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、通商産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任。

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