Facebook
Twitter
RSS

スポンサーリンク

全文完全対照版 老子コンプリート 野中根太郎 訳

第34回

任成第三十四

2019.01.23更新

読了時間

日本人の精神世界に多大な影響を与えた東洋哲学の古典『老子』。万物の根源「道」を知れば「幸せ」が見えてくる。現代の感覚で読める超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
「もくじ」はこちら

任成第三十四

34 本物の大人物は、自分のことを大人物とは考えない

【現代語訳】

大道(偉大なる「道」)は、あふれ出た水のように、左にも右にもゆきわたる。万物はそれを頼りにして生まれてくるが、「道」は、そのことを言いふらさない。功績があろうとも、その功名を得ようとしない。万物をはぐくみ育てても、その主人とはならない。いつでも無欲であるから、小と名づけることができる。万物は「道」に帰ってくるが、「道」はそれらの主人とはならない。これは大と名づけることができる。
だから「道」と一体となっている聖人が大となりうるのは、自分から最後まで大とは考えないからこそ、逆に大きな存在となるのである。

【読み下し文】

大道(だいどう)(※)は汎(はん)(※)として其(そ)れ左右(さゆう)すべし。万物(ばんぶつ)はこれを恃(たの)みて生(しょう)ずるも而(しか)も辞(じ)せず。功(こう)成(な)りて名(な)を有(ゆう)せず。万物(ばんぶつ)を衣養(いよう)(※)するも而(しか)も主(しゅ)と為(な)らず。常(つね)に無欲(むよく)なれば、小(しょう)と名(な)づくべし。万物(ばんぶつ)焉(こ)れに帰(き)するも而(しか)も主(しゅ)と為(な)らざれば、大(だい)と名(な)づくべし。
是(ここ)を以(もっ)て聖人(せいじん)の能(よ)く其(そ)の大(だい)を成(な)すは(※)、其(そ)の終(つい)に自(みずか)ら大(だい)と為(な)らざるを以(もっ)て、故(ゆえ)に能(よ)く其(そ)の大(だい)を成(な)す。

  • (※)大道……老子のいう「道」と同じ。強いて訳せば偉大なる「道」となろうか。なお、『帛書』は単に「道」という。
  • (※)汎……水があふれて広がること。
  • (※)衣養……はぐくみ育てる。包み込むように護り育てる。
  • (※)是を以て聖人の能く其の大を成すは……この原文「是以聖人之能成其大也」がない文献もある。文章のつながりからあったほうがよい。なお、『帛書』にもあった。

【原文】

任成第三十四

大道汎兮、其可左右。萬物恃之而生而不辭。功成不名有。衣養萬物而不爲主。常無欲、可名於小。萬物歸焉而不爲主、可名爲大。
是以聖人之能成其大成、以其終不自爲大、故能成其大。

「目次」はこちら


【単行本好評発売中!】

この本を購入する

スポンサーリンク

シェア

Share

感想を書く感想を書く

※コメントは承認制となっておりますので、反映されるまでに時間がかかります。

著者

野中 根太郎

早稲田大学卒。海外ビジネスに携わった後、翻訳や出版企画に関わる。海外に進出し、日本および日本人が外国人から尊敬され、その文化が絶賛されているという実感を得たことをきっかけに、日本人に影響を与えつづけてきた古典の研究を更に深掘りし、出版企画を行うようになる。近年では古典を題材にした著作の企画・プロデュースを手がけ、様々な著者とタイアップして数々のベストセラーを世に送り出している。著書に『超訳 孫子の兵法』『吉田松陰の名言100-変わる力 変える力のつくり方』(共にアイバス出版)、『真田幸村 逆転の決断術-相手の心を動かす「義」の思考方法』『全文完全対照版 論語コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』『全文完全対照版 孫子コンプリート 本質を捉える「一文超訳」+現代語訳・書き下し文・原文』(共に誠文堂新光社)などがある。

矢印