第7回
韜光第七
2018.12.12更新
日本人の精神世界に多大な影響を与えた東洋哲学の古典『老子』。万物の根源「道」を知れば「幸せ」が見えてくる。現代の感覚で読める超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
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韜光第七
7 私利私欲のない無私の人は、自分を貫ける
【現代語訳】
天は永遠であり、地は久遠である。天地が長久であるのは、天地が自ら生き続けようなどとはしないからである。だから長く生き続けられるのだ。
同じように「道」と一体となっている聖人は、自分のことを後まわしにするが、かえって人より先んじ、自分のことを人の外側に置くが、かえって人に招かれてそこにいる。これは無私、すなわち私利私欲がないからではなかろうか。だからこそ、自分を貫いていけるのだ(自分を実現できる)。
【読み下し文】
天(てん)は長(なが)く地(ち)は久(ひさ)し(※)。天地(てんち)の能(よ)く長(なが)く且(か)つ久(ひさ)しき所以(ゆえん)の者(もの)は、其(そ)の自(みずか)ら生(しょう)ぜざるを以(もっ)て、故(ゆえ)に能(よ)く長生(ちょうせい)す。
是(ここ)を以(もっ)て聖人(せいじん)は、其(そ)の身(み)を後(あと)にして而(し)かも身(み)は先(さき)んじ、其(そ)の身(み)を外(そと)にして而(しか)も身(み)は存(そん)す。其(そ)の無私(むし)なるを以(もっ)てに非(あら)ずや、故(ゆえ)に能(よ)く其(そ)の私(し)を成(な)す。
- (※)天は長く地は久し……かつて我が国においては、天皇誕生日を「天長節」、皇后誕生日を「地久節」といった。その言葉の出典である。
【原文】
韜光第七
天長地久。天地所以能長且久者、以其不自生、故能長生。
是以聖人後其身而身先、外其身而身存。非以其無私耶、故能成其私。
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