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よみものどっとこむ

胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第23回

生まれなかった子どもが教えてくれること

2017.12.07更新

読了時間

【 この連載は… 】 人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。

 病気も障がいも、死産も流産も、子どもが選んできています。そんなお話をすると、親を喜ばせるために生まれてくるという話と矛盾しているじゃないかという人がいます。だって、病気や障がいがあって生まれてきたり、死産や流産を喜んだりする親なんているはずがありませんから。

 もちろん、その通りです。しかし、少し視野を広げてみると、ちょっと違う世界を垣間見ることができます。子どもが願っていることが見えてくるのです。

 子どもが病気になったり、障がいをもっていたり、死産、流産をすることは大変な苦しみ、悩みが伴います。しかし、世の中には、ほかにもたくさんの苦悩があります。子どもがすくすくと元気に育っている人は、幸せいっぱいでしょうか。不幸を感じないのでしょうか。そうとは限りません。自分自身が病気だったり、夫婦関係が険悪だったり、経済的に不安があったり、人間関係で苦しんでいたり、苦しみや悩みを探そうとすれば、いくらでも見つかります。

 子宮外妊娠で、赤ちゃんをあきらめざるを得なくなったお母さんのお話です。このままでは、赤ちゃんが育たないばかりか、母体に大出血が起こって、お母さんの生命にも危険が及びます。赤ちゃんをあきらめるしか道はありませんでした。お母さんはとても悲しみました。こんなことになったのは、赤ちゃんの意志なのかどうか、お母さんは知りたくなりました。そして赤ちゃんとさよならをする前に、赤ちゃんがどう思っているのか、たいわ士さんに聞いてもらうことにしました。すると、こんな答えが返ってきました。

「世の中にはどうにもできないこともあるけれども、乗り越えたら必ずいいことがあるって、お母さんに教えてあげたいの。そのために来たのよ」

 お母さんはつらかったことと思います。しかし、このつらさからは、逃げられません。真正面から受け止めるしかないのです。でも、悲しいだけじゃないよ、必ずいいことがあるよと、赤ちゃんは伝えてくれました。それは、お母さんにとっては大きな勇気になったと思います。これからも、妊娠・子育てに限らず、いろいろなことが起こってくるでしょう。お母さんは、何かつらいことがあったら、このメッセージを思い出すはずです。そして、がんばって乗り越えることでしょう。

 赤ちゃんが亡くなることは悲しいことです。しかし、その体験を通して、お母さんはすごいパワーをもらいました。生きるエネルギーをもらいました。そんなことまで考えながらお母さんのお腹に宿る赤ちゃんもいるのです。

 そういう子たちが、一番望まないことは、お母さんが自分を責めることです。

 責めたくなる気持ちもわかりますが、そんなときはどうぞ思い出してください。彼らは、自分が望んで、病気や障がいがあったり、死産、流産を選んだりしています。そこから、お母さんに、大切なことに気づいてもらいたいのです。もっと強く生きられるお母さんになってほしいのです。悲しいこと、つらいことを乗り越えて、笑顔で生きていくお母さんを見たいのです。

 自分を責めても何も解決はしない。それより、前を向いて、力強く歩いていってほしい。彼らは、そう願っています。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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