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よみものどっとこむ

胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第25回

虐待の連鎖を断ち切るために生まれてきた

2017.12.14更新

読了時間

【 この連載は… 】 人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。

 何のために生まれてきたかを語る上で避けられないのが、今や大変な社会問題となっている虐待です。よく、「赤ちゃんは親を選んできたというけれども、虐待される子どもも、そういう親を選んできたのですか?」と聞かれます。そうだとしたら、あまりにも切ないことです。でも、すべてかどうかは定かではありませんが、その厳しすぎる環境を選んできている子どもがいることは間違いないようです。

 私のクリニックにも来てくださっている胎話士の未来見基(MIKIMIKI)さんですが、彼女は、ひどい虐待を受けた半生を送ってきました。彼女には胎内記憶があります。ご両親を選んで生まれてきたことをよく覚えています。

 「ゆがんだ家庭に幸せをもたらそう」と未来見基さんは、この世に生まれることを決めました。しかし、お母さんのお腹に入ってすぐに、自分と同じ目的をもって生まれた幼い2人のお兄さんが、お母さんに折檻されているのを見て、「私には荷が重すぎる」と感じたそうです。でも、もう引き返せない状態で、彼女は、嵐の中に投げ出されることになりました。しつけという名の折檻が始まりました。叩かれ、蹴飛ばされ、なじられました。15歳のときには、虐待に耐えられずに、自殺しようとまで思い詰めますが、ビルの屋上の柵を乗り越えようとしたら、片足が柵に引っかかってしまいました。それで我に返った未来見基さんは生きる選択をするわけですが、それからも虐待は続きます。

 しかし、未来見基さんが結婚して出産したときから、風向きが変わってきます。お母さんが未来見基さんの身の回りの世話をしてくれるようになったのです。3人の子どもが生まれ、お母さんと同居をするようになりました。風向きが変わったと言っても、2人のぶつかり合いは続きました。そんなある日、未来見基さんは、自分がコントロールできなくなって、長男に体罰を加えてしまいました。「やっちゃいけない」と思いながらも手が出てしまう。苦しかったことでしょう。

 あるとき、未来見基さんは、長男に謝りました。そのときの長男の言葉に、未来見基さんの心は大きく揺れました。涙がとめどなくあふれ出てきたのです。

「どんなお母さんでも、ぼくたちは大好きだよ。生まれてきて良かった。お母さん、産んでくれてありがとう」

 すべての子どものお母さんへの思いは、この言葉に詰まっています。

 その日を境に、未来見基さんの中で何かが変わりました。長男が自分に向けてくれていた思いを自らがもち、それを自分の母親へと向けるようになりました。そこから事態は好転していきました。

 未来見基さんの家系は、4代にもわたって虐待が繰り返されてきていました。この連鎖をどこかで断ち切らなければならない。未来見基さんと未来見基さんのお兄さんたちは、勇気をもって、その役割を引き受けたのです。そして、未来見基さんの子どもは、がんばっているお母さんを助けるために、この世にやってきたのです。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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