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第1回

はじめに

2019.05.30更新

読了時間

齋藤孝先生の最新刊は「頭のよさ」の本! 6月5日発売!「頭がいい」とは脳の「状態」なのです。頭のはたらきがいいときは、目の前の問題が簡単に解決できるし、未来を楽しく創り出していくことができる。すっきりと気分もいい。そんな状態のときをどんどん増やしていくにはどうしたらいいか?本書で詳しく解説します。
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 みなさん、こんにちは。
 これからぼくが語るのは、「頭がいい」とはどういうことか、という話です。
 きみたちに、本当の頭のよさを身につけてもらいたい──これがこの本のねらいです。

 よく「あの人は頭がいい」とか「自分は頭がよくないから」とか言いますよね。
 それって、根拠はなんだろう?

 ぼくは、「頭がいい」というのは脳の「状態」だ、と考えています。
 頭のいい人、よくない人というように、分けられているわけじゃない。みんな、頭のはたらきのいい状態と、そうでない状態がある。その「はたらきのいい状態」を増やしていけば、だれもがどんどん頭がよくなる、という考え方です。

 頭がいい状態は、気持ちがいいんです。
 いままでわからなかったことがわかったとき、できなかったことができたとき、
「あっ、そうか!」
「できた!」
 と、その瞬間、頭のなかにパッと明かりがついたような感じがするでしょう?
 気分もすっきり爽快になります。
 逆に、わからないとき、できないときには、頭のなかも気分もずっとモヤモヤが続きます。
 頭のいい状態を増やせると、すっきりと気分がいい状態も増えるのです。

 頭のよしあしを、ほかの人と比較するのは意味のないことです。
 だって、どんなにうらやんだところで、ほかの人の頭脳と自分の頭脳を取り換えるわけにはいかないのです。自分は自分の脳でずっと生きていくしかない。だから、人をうらやむひまがあったら、自分の「頭のいい状態」を少しでも増やしましょう。

 頭のよさは、人間に幸せをもたらしてくれるものです。
 太古の昔、進化の過程において、力の弱いちっぽけな人間が生き延びていくためにどうしたらいいか、ということで、知恵をはたらかせるようになった。脳が発達することで、人類は生き延びてこられたんです。
 人間が、強く生き抜いていくために獲得した能力、それが頭のよさ。頭をよくすることは、生きていくための幸せに強く結びついているのです。

 頭がいい状態を増やしていくことで、きみたちは、目の前の状況を切り拓いていく力、現実を変えていく力をもてるようになります。頭のよさは生きていく力なんです。そのためにはどうしたらいいか、考え方の根本をこれからお教えします。
 中学生、高校生のいまから一生使えるものの考え方を身につけて、頭のよさを磨いていけば、きみたちは「無敵」です。
 さあ、頭のいい状態を増やし、現実を変える力を手に入れる旅に出発しましょう!

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【単行本好評発売中!】

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著者

齋藤 孝

1960年静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒。専門は教育学、身体論、コミュニケーション技法。『身体感覚を取り戻す』(NHK出版)で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(草思社)で毎日出版文化賞特別賞を受賞。『語彙力こそが教養である』(KADOKAWA)、『大人の語彙力ノート』(SBクリエイティブ)などベストセラーも多数。著書発行部数は1000万部を超える。NHK Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。

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