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胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第4回

妊娠中、ついついイライラしてしまう

2017.10.02更新

読了時間

人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。
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 妊娠中のお母さんは、お腹の中の赤ちゃんを守り、育てるために、とてもデリケートになっています。不安もあるし、まわりからいろいろ言われたりして、ストレスもかかっています。そのために、感情の起伏が激しくなってしまうことがよくあります。

 不安やストレスがあると、お腹が張ったり、痛みが出たり、吐き気がしたりして、それがまた不安を増長させるという悪循環になってしまいます。

 初産婦さんばかりではなく、2度目、3度目のお産だという方の中にも、不安やストレスをたくさん抱えている人もいます。前のお産で嫌な目にあったりすると、それが忘れられずに、また、同じような思いをするのではないかと思って、妊娠を素直に喜べない人もいます。

 そんなとき、お腹の中の赤ちゃんは、どんなことをしていると思いますか。

 私は、この話を聞いたとき、自分がどうがんばっても妊娠できない男性であることが、悔しくてたまらなくなりました。

 子どもたちは、自分がお腹の中にいるときに、お母さんが不安やストレスでイライラしてしまっていると、こんなふうなことをしているのです。

「中からなでなでしていたよ。ハグはできないけど、ハグしているつもりで、体をぴったりとくっつけていたよ」

 どうでしょう。想像してみてください。イライラしているお母さんがいます。お腹の中をのぞいてみると、小さな手が、「そんなにイライラしないでね」と、お母さんをなでなでしているのです。

 もし、今現在、妊娠している人がいれば、自分の気持ちが不安定になったとき、お腹の中に意識を向けてください。赤ちゃんが、一生懸命に、お母さんを励ましている、慰めているのを、実際になでられていたり、体を寄せてきたりするという感覚で感じられないでしょうか。

 お母さんが落ち込んでいるとき、小さなお子さんが近寄ってきて、「大丈夫?」と、頭をなでてくれたりすることがあります。そんな行為に、お母さんは元気をもらうことができます。子どもたちは、お腹の中でも、お母さんのイライラや不安を感じ取って、少しでもお母さんを元気づけようとしているのです。男の私からすると、何とうらやましいことでしょう。

 あるお母さんは、妊娠7か月のときに、お父さんが家出してしまいました。これからどうすればいいのかと、途方に暮れていました。悲しくて泣いていました。そんなとき、ふっとお腹の中で動きを感じました。意識をお腹の中に向けました。そうしたら、お腹の中の赤ちゃんが、なでなでしていることがわかったと言います。そのことがきっかけで、このお母さんは、お父さんがいなくてもこの子を育てていく、と強い心をもつことができて、1人で出産し、シングルマザーとして子育てをがんばっているそうです。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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