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胎内記憶でわかった こどももママも幸せになる子育て 産婦人科医 池川明

第6回

「ママ、元気がないときには、大好きなケーキを食べるといいよ」

2017.10.09更新

読了時間

人間の神秘「胎内記憶」から子育てを考える。胎内記憶研究の第一人者の医師がたどり着いた境地とは? 親の論理ではなく「子どもの本音」に耳を傾けた、子どもの「才能=生きる力」を強くする胎教法と育児法を紹介。
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「お腹の中で、お母さんに自分の気持ちを一生懸命伝えてきたの」

 こういう子どもはたくさんいます。

 伝えたいことの大部分は、「応援」なんですね。お母さんが少しでも楽になるように、元気になるようにと、赤ちゃんは、お腹の中で一生懸命なのです。

 懸命に応援しても、それだけでは足りない場合があります。悲しいことがあって落ち込んでいるお母さん、ストレスにつぶされそうになっているお母さん。「がんばれ、がんばれ」の応援だけでは、元気になってくれません。

 そんなときに、赤ちゃんはどんな手を使うと思いますか。どうやったら、お母さんは元気になるのかな、とあれこれ考え、いろいろと工夫をしています。

 たとえば、お母さんはおいしいケーキを食べたら元気になると知っている赤ちゃんは、自分の頭の中で、ケーキをイメージします。それもお母さんの大好きな種類のケーキです。チーズケーキ、タルト、シフォンケーキ、モンブラン……。赤ちゃんは、いつもお母さんの行動や思ったことを観察していますから、お母さんの好きなものをよく知っています。さきほど、お母さんが感じたことはお腹の中の赤ちゃんに伝わると言いましたが、逆に、赤ちゃんがイメージしたことは、お母さんも感じるのです。

 赤ちゃんがケーキのイメージをすると、お母さんの頭に、ぱっとケーキが浮かびます。ストレスでくたくたになっているお母さんです。ケーキが大好き。そのケーキが頭に浮かんだら、もう行動はひとつですね。すぐに、ケーキ屋さんへ飛んで行って、大好きなケーキを買ってきて、食べるでしょうね。「ああ、幸せ〜」なんて気分になれるわけです。もちろん、これですべてが解決されるわけではありませんが、ほっと一息入れるというのは大事なことで、ストレスも少しは軽減されて、元気を取り戻して、「よし」という気持ちになるものです。

 そうやってお腹の赤ちゃんが、お母さんをリードしてくれることがあるのです。

 子どもは、うちのお母さんは「ビジョン型なんだ」とか、「においが得意」とか、「触るとわかってくれる」と言います。ビジョン型のお母さんなら、イメージを届けたり、夢を見させたりします。においが得意なお母さんなら、においを感じさせます。ケーキの甘いにおいを感じて、ケーキ屋さんへ飛んで行くわけですが、そのにおいも、お腹の中の赤ちゃんがコントロールしているようです。触るとわかるお母さんなら、なでなでしたり、トントンしたりして、わからせようとします。お母さんごとに、それぞれ得意な分野があるので、それに合わせて、赤ちゃんたちはお腹の中からアプローチします。それも、お母さんに自分の気持ちを伝えたいという気持ちから行っていることが多いようです。

 私の世代だと、『鉄人28号』というテレビのアニメ番組がありましたが、リモコンで鉄人ロボットを操るようなものだと思えてきます。若い人たちだと、『ガンダム』や『エヴァンゲリオン』でしょうか。あんなふうに、赤ちゃんがお母さんを操縦しようとしている。おもしろいじゃないですか。

 妊娠中に、「急にケーキが食べたい」と思ったら、「ケーキを食べて元気を出してね」というお腹の赤ちゃんからのメッセージだと考えてください。「ありがとうね、ママのこと思ってくれて。ケーキを食べて元気になるよ」と、お礼を言ってあげてください。それだけで、赤ちゃんはうれしくてたまりません。

 赤ちゃんは、お母さんが楽しくしているのが一番うれしいのです。

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著者

池川 明

1954年東京生まれ。帝京大学医学部大学院修了。医学博士。上尾中央総合病院産婦人科部長を経て、1989年に池川クリニックを開設。胎内記憶・誕生記憶について研究を進める産婦人科医としてマスコミ等に取り上げられることが多く、講演などでも活躍中。母と子の立場に立った医療を目指している。著書に『おぼえているよ。ママのおなかにいたときのこと』『ママのおなかをえらんできたよ。』(以上、二見書房)『笑うお産』(KADOKAWA)など多数。

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