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10代のための疲れた体がラクになる本 「朝起きられない」「集中できない」「やる気がでない」自分を救う方法 長沼睦雄

第1回

「学校に行けない」はなぜ起きる?

2023.06.27更新

読了時間

「授業に集中できない」「すぐにイライラする」「記憶力が低下した」……。これらは、慢性疲労が原因かもしれません。HSP第一人者の長沼睦雄医師が、疲れのメカニズム、疲労からの快復方法などを易しく解説した本が発売。本文から一部を特別公開します!
「目次」はこちら

▼はじめに

 きみはいま、学校に行けていますか?
 体の具合が悪くて困っていませんか?
 この本は、
「原因のわからない体調不良で苦しんでいる」
「体がだるくてたまらない」
「学校がとにかく疲れる、何もかもがしんどい」
 こんな悩みをかかえるみなさんに、健康と笑顔を取り戻してもらうための本です。
 10代ではないけれど、「疲れが全然とれない」「不調が続いてつらい」などの悩みをかかえて困っているみなさんにもお役に立ててもらえると思います。

 私は北海道帯広市で精神科のクリニックを営んでいます。大人も診ていますが、もともと小児精神科を専門としていたため、子どもや10代の人たちがたくさんやってきます。近年とくに増えているのが、原因のわからない疲れや不調によって生活に支障をきたしている人たちです。
 病院で検査してもとくに異常が見つからず、「これは心の病気でしょう。精神科か心療内科に行ってください」と言われて来院される人が増えているのです。
 近年、「心の病気」という言葉を非常によく見聞きするようになりましたが、人間の精神と肉体は切り離すことができません。心に病をかかえていれば、体にもどこかに必ず不調、不具合があらわれます。心の病気といっても、「心だけを患っている」ことはないのです。ですから、私はつねに心の状態と体の状態とをセットで考える必要がある、と考えて診療をしています。
 心と体をつなぐのは「脳」です。「脳と心と体のつながり」という視点から見ていくことで、原因のよくわからない体調不良や疲れ、過敏性などがなぜ起きているのかがすべて説明できるのです。
 この本は、そういう考えから「つらく困った不調から抜け出す方法」を紹介していきます。

 本書は2部構成になっています。
 前半の「知識編」では、体の疲れや不調がどういうメカニズムで起きるのかを解説します。「知ろうとする」ことから回復への第一歩が始まります。
 脳や体の部位の名称、聞き慣れない医療の専門用語などが出てきて、ちょっとむずかしく感じるところもありますが、最初からすべてを理解できなくて当然です。
 大切なのは、「なぜだろう?」「どうしてだろう?」と疑問をもち、「知ろうとする気持ち」です。
 夜空の星々を見て「あれは○○座だ」とわかるのは、星座の知識があるからです。なんの知識もない状態でただ星空をながめていても、星座は見えません。「星のことを知りたい」「星座について知りたい」という気持ちをもっている人だけが星座を覚え、星座が見えるようになっていくのです。
 体についても同じです。最初はよくわからなくても、新しいことがわかるようになると、「もっと知りたい」「もっと理解したい」という興味や意欲がわいてきます。それが自分の体や症状への理解を深めることになるのです。
 後半の「実践編」では、体調を整えるのに効果的なセルフケアの方法をいろいろ紹介していきます。ぜひ実践してみてください。知識は、実践を伴うことで初めて役に立つ〝知恵〟となるのです。
 原因不明の疲れや不調がストレス反応から起きていることがわかり、セルフケアを実践すると、少しずつ体や心の状態が回復していきます。気分もあがり、頭も体もスッキリしてきます。
 いまのしんどさから脱け出して、もっとラクに、楽しく生きられるようにするためのヒントをこの本のなかから見つけ出して、ぜひ自分のものにしてください。
 不安で憂うつな状態から抜け出したみなさんの毎日に、明るい笑顔と希望が戻ることを心から願っています。

▼学校に行けなくなってしまう体調不良、これって何なの?

 頭痛、めまい、不眠、頭のモヤモヤ(ブレインフォグ)、痛み、疲れ、過敏など、同時に起こるさまざまな症状によって、困っている人たちがとても増えています。
 病院に行ったら、はっきりと診断がついて治療できるかというと、それがなかなかそうはならないんですよね。「はじめに」に書いたように、「これは心の病気でしょう。精神科か心療内科に行ってください」と言われたり、「思春期特有の症状ですから、そのうち治りますよ」と言われてしまったり。いろいろな診療科を転々としているような人もいます。
「友だち関係がうまくいっていない」「いじめに遭っている」「先生と合わない」「勉強がわからない」「テストを受けたくない」といった人間関係や勉強の問題で不登校になってしまう人は、「学校に行きたくない」のですが、体の不調で行けない人は「行きたくない」と思っているわけではないんですよね。
「元気になって、ちゃんと行きたい」「明日は行こう」「来週は絶対に……」と思っているのに、朝起きるとやっぱり体調が悪くて行けない。そのうちに行けない日がどんどん増えていきます。
 ときには、「サボろうとしているだけじゃないの?」とか、「そのくらいなんてことないよ」「甘えているんだよ」「心が弱いせいだ」などと言う人もいて、「本当に体調が悪くてつらいのに」と深く傷ついてしまうこともあります。

 いったい体に何が起きているのでしょうか。
 症状は人によってそれぞれ異なりますが、共通していることがあります。それは、「ストレス反応によって脳や体に炎症が起き、自動調節機能が崩れて、脳や臓器などの機能が乱れてしまっている」のです。
 炎症──初めてこんな言葉を聞いて、「なんのこと?」と驚いた人もいるかもしれませんね。「できもの」ができているというわけではないので、あまり不安がらなくても大丈夫です。
 ただ、炎症をそのまま放置して慢性化させてしまうと、やっかいな病気につながってしまうおそれがあります。そういう意味では、早く炎症に気づいて、早く対処することが大切なのです。
 この本では、体に原因不明の不調が起きてしまう原理を、「慢性の炎症」をキーワードとしてわかりやすく解説していきます。
 自分の体に何が起きているのかを、まず知ってください。ラクになるための道は「知る」ことから始まります。

「目次」はこちら

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著者

長沼 睦雄

十勝むつみのクリニック院長。1956年山梨県甲府市生まれ。北海道大学医学部卒業後、脳外科研修を経て神経内科を専攻し、日本神経学会認定医の資格を取得。北海道大学大学院にて神経生化学の基礎研究を修了後、障害児医療分野に転向。北海道立札幌療育センターにて14年間児童精神科医として勤務。平成20年より北海道立緑ヶ丘病院精神科に転勤し児童と大人の診療を行ったのち、平成28年に十勝むつみのクリニックを帯広にて開院。HSC/HSP、神経発達症、発達性トラウマ、アダルトチルドレン、慢性疲労症候群などの診断治療に専念し「脳と心と体と食と魂」「見えるものと見えないもの」のつながりを考慮した総合医療を目指している。

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