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第2回

「性格」は存在しない

2019.02.14更新

読了時間

臆病、意地っ張り、せっかち…。あなたは自分の「性格」に苦労していませんか? 性格は変えられないというのはじつはウソ。性格とは、人が生きていく上で身に付けた「対人戦略」なのです。気鋭の認知科学者である苫米地英人博士が、性格の成り立ちや仕組み、変え方などを詳しく解説します。
「目次」はこちら

Part1.「性格」とは何か

 最初に、みなさんにお尋ねします。
 あなたは、ご自分をどのような性格だと思っていますか?

 おそらく、みなさんは次のように答えるでしょう。
「どちらかといえば明るい性格だと思います」
「真面目で几帳面な性格です」
「人からよく、大胆な性格だといわれます」
 答えは、もちろん人によって異なると思いますが、いずれにせよ、ほとんどの人が「自分は~な性格である」という、なんらかの認識を持っているはずです。

 また、心理学の世界では学者たちが、人の性格を分類するさまざまな方法を生み出していますし、世の中には、簡単な質問への回答をもとに、性格をいくつかのパターンに分類する「性格診断テスト」や、生年月日、血液型等による「性格診断占い」なども数多く存在します。
 性格に関する研究が行われたり、テストや占いなどが作られたりするのも、「人にはそれぞれ、性格がある」という共通認識を、多くの人が持っているからです。

 そして、みなさんは「性格」というものに対し、次のようなイメージを抱いているのではないかと思います。

 ・性格は、人が生まれながらにして持ち合わせているものである
 ・性格が、その人の行動を左右している
 ・性格は、絶対的なものである
 ・性格は、そう簡単には変わらない

 よく会話の中で、「隠しごとができないのは、生まれつきの性格だから仕方がない」「面倒見のいい性格で、困っている人を見ると放っておけない」といった言葉を耳にするのも、こうしたイメージが前提にあるからでしょう。

 実際、「性格」という言葉を辞書で引くと、たいてい「人が生まれつき持っている性質や気質」「その人の行動の仕方に現れる、特有の感情や意思の傾向」といった説明が書かれています。

 しかし、実は「性格」というものは存在しません。
「人が生まれつき持っている性質や気質」などないのです。

 みなさんが「性格」の存在を信じているのは、物心ついたときから、親や学校の先生に「この子は明るい性格だ」「真面目で責任感の強い性格だ」と言われて育ち、テレビや本、雑誌などで、「性格」という言葉が当たり前のように使われているのを見聞きしているからにすぎません。

 このように書くと、みなさんは「そんなはずはない」と思うでしょう。
「私は楽観的だし、よく笑うし、誰とでもよく話す。一方で、友人の××さんは、無口だし、口を開けば悲観的なことを言うし、あまり笑わない。私は明るい性格だし、××さんは暗い性格だといえるのではないだろうか」
 そうおっしゃる方もいるかもしれません。

 でも、よく考えてみてください。
「性格」というものを、目で見ることはできませんし、脳のどこかに、「性格」というものが存在しているわけでもありません。
 人類の長い歴史の中で、「人が生まれつき、性質や気質を持っている」ことを客観的な証拠に基づいて証明できた人は、一人もいないのです。

 それに、「明るい性格の人」は常に明るいのでしょうか。
 とてもショックなことがあれば、一時的に落ち込むこともあるでしょうし、環境や一緒にいる相手によっては、あまり笑わなかったり、無口になったりすることもあるでしょう。
 逆に「暗い性格」と思われている人が、実は気の置けない人、趣味が合う人とはよく話したり笑ったり、いざというときに意外な強さや明るさを発揮したりするかもしれません。

 人は誰でも、さまざまな面を持っています。
 他人が見ているのは、その人のほんの一面でしかなく、本来、「この人は明るい性格である」「この人は暗い性格である」などと簡単に決めつけることはできないのです。

 ただ、一方で、人にはそれぞれ、「行動の仕方に現れる、特有の感情や意思の傾向」があるのもたしかです。

 たとえば、あなたに、次のような傾向があったとします。
「ときには悲観的になることもあるけれど、楽観的なことの方が多い」
「泣いたり怒ったりするよりも、笑うことの方が多い」
「無口なときもあるけれど、しゃべっている時間の方が長い」

 もしかしたらあなたは、こうした傾向をもとに、「自分は明るい性格だ」と判断するかもしれません。
 しかし、「楽観的にものを考える」「よく笑う」「よく話す」というのは、生まれつき持ち合わせている性質や気質ではありません。
 脳が後天的に獲得した「認識のパターン」に基づいた、「思考や選択、行動の傾向」にすぎないのです。

 ちなみに私は、この認識のパターンのことを「ブリーフシステム」と呼んでいます。

■ ポイント

・「生まれつき持っている性格」は存在しない。
・「明るい」「暗い」などの特性も、相手や場合によって変わる。
・ 行動や意思の傾向は、「ブリーフシステム」によって決まる。


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著者

苫米地 英人

1959年、東京都生まれ。認知科学者、計算機科学者、カーネギーメロン大学博士(Ph.D)、カーネギーメロン大学CyLab兼任フェロー。マサチューセッツ大学コミュニケーション学部を経て上智大学外国語学部卒業後、三菱地所にて2年間勤務し、イェール大学大学院計算機科学科並びに人工知能研究所にフルブライト留学。その後、コンピュータ科学の世界最高峰として知られるカーネギーメロン大学大学院に転入。哲学科計算言語学研究所並びに計算機科学部に所属。計算言語学で博士を取得。徳島大学助教授、ジャストシステム基礎研究所所長、通商産業省情報処理振興審議会専門委員などを歴任。

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