第6回
成象第六
2018.12.11更新
日本人の精神世界に多大な影響を与えた東洋哲学の古典『老子』。万物の根源「道」を知れば「幸せ」が見えてくる。現代の感覚で読める超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
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成象第六
6 万物を生む深遠なる母性
【現代語訳】
谷の神は不死身である。これを玄牝(深遠なる母性)という。玄牝の門(深遠なる母性の門)を天地の根源という。ずっと続いて存在しているが、そのはたらきは尽き果てることはない。
【読み下し文】
谷神(こくしん)は死(し)せず、是(こ)れを玄牝(げんぴん)と謂(い)う。玄牝(げんぴん)の門(もん)(※)、是(こ)れを天地(てんち)の根(こん)と謂(い)う。綿綿(めんめん)として存(そん)するが若(ごと)く、これを用(もち)いて勤(つ)きず(※)。
- (※)玄牝の門……深遠なる母性。女性器そのもの。なお、福永光司氏は「『老子』のなかには「道」が万物を生成する造化のはたらきを女性の生殖作用に譬(たと)え、「道」の無為自然の在り方を女性(牝、雌、母)の強靱(きょうじん)な受け身の精神に譬えて説明した叙述が少なくない。この章もその一つ」としている(『老子(上)』朝日文庫)。
- (※)勤きず……尽き果てることがない。なお、「勤(つか)れず」と読み、「勤」は「労」のことで、疲れないと訳する説も多い。
【原文】
成象第六
谷神不死、是謂玄牝。玄牝之門、是謂天地根。
綿綿若存、用之不勤。
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