第71回
知病第七十一
2019.03.18更新
日本人の精神世界に多大な影響を与えた東洋哲学の古典『老子』。万物の根源「道」を知れば「幸せ」が見えてくる。現代の感覚で読める超訳と、原文・読み下し文を対照させたオールインワン。
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知病第七十一
71 知っていることでも、まだわかっていないことがあると自覚する
【現代語訳】
知っていても、まだわかっていないことがあると自覚しているのが最上のことである。わかっていないのに、よく知っていると思うのが欠点である。
そもそも欠点を欠点として自覚していれば、それは欠点でなくなる。「道」と一体となっている聖人に欠点がないのは、欠点を欠点として自覚しているからであって、だからこそ欠点がないのである。
【読み下し文】
知(し)りて知(し)らずとするは上(じょう)なり。知(し)らずして知(し)るとするは病(へい)(※)なり。
夫(そ)れ唯(た)だ病(へい)を病(へい)とす、是(ここ)を以(もっ)て病(へい)あらず(※)。聖人(せいじん)は病(へい)あらず、其(そ)の病(へい)を病(へい)とするを以(もっ)て、是(ここ)を以(もっ)て病(へい)あらず。
- (※)病……患、難のことで、ここでは欠点の意味。
- (※)夫れ唯だ病を病とす、是を以て病あらず……この後の「聖人は」以下の文と重なるため、古い注釈がまぎれ込んだものではないかとしてこれを省いて解釈する説もある。
【原文】
知病第七十一
知不知上、不知知病。
夫唯病病、是以不病。聖人不病、以其病病。是以不病。
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